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諏訪湖飛来のオオワシ「グル」 今冬まだ姿なく

1999年に保護した当時のグルと林さん=林さん提供

写真

 冬になると諏訪湖に飛来し、写真愛好家らの間で「グル」の愛称で親しまれている一羽のオオワシ(国天然記念物)が、今季はまだ姿を見せていない。幼鳥のときに諏訪湖で保護されて以降、毎冬欠かさず飛来。グルのファンたちは湖畔で毎日のように観察し、二十季連続の節目となる来訪を待ち続けている。

 グルは一九九九年一月、諏訪湖に落下して衰弱しているところを保護され、日本野鳥の会諏訪支部長の林正敏さん(74)=岡谷市=が自宅で四十九日間介抱して放した。愛称は保護した当時に聞いた「グルッ」という鳴き声にちなんだ。

 オオワシはロシアで繁殖し、冬になると日本にやってくる渡り鳥。主な越冬地は北海道で、県内で毎シーズン飛来するのは諏訪湖だけという。

 グルは例年だと十二月中に諏訪湖に姿を見せる。最も遅く確認されたのは放鳥した翌年の二〇〇〇年一月二十八日。林さんは「オオワシの平均寿命は解明されていないが、飼育下の個体が五十二歳まで生きた記録がある。グルの推定年齢は二十四歳。これほど固執しているのだから、元気ならやってくる」と話す。

 湖畔には昨年十二月上旬から写真愛好家らが集まり始めた。湖面や付近の里山に双眼鏡を向け、右翼の切れ込みが特徴のグルを探している。愛好家グループ「グルマニア」メンバーの藤沢義昭さん(68)=辰野町=もほぼ毎日湖畔に通って観察。「子どもや孫が帰省するような思いで毎冬楽しみにしているが、待ちくたびれてしまう」と気をもんでいる。グルに魅了され、妻と一緒に毎冬諏訪に長期滞在するという神奈川県小田原市の写真家柴田博司さん(70)は「飛来した瞬間の感動が忘れられない。あのスケール感はたまらないですよ」と話し、大きな翼を広げて目の前に現れることを願っていた。

 (中沢稔之)

 

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