血ぬられた墓標 BLACK SUNDAY (a.k.a. THE MASK OF SATAN) 伊 1960年 83分 監督 マリオ・バーヴァ 原作 ニコライ・ゴーゴリ 出演 バーバラ・スティール ジョン・リチャードソン イヴォ・ガラーニ ゴシック・ホラーの傑作である。テレンス・フィッシャーが監督した『吸血鬼ドラキュラ』の模倣作には違いないのだが、撮影出身のバーヴァならではの美学とテクニックが本作を至高の作品に仕上げている。私は『吸血鬼ドラキュラ』よりも好きだし、優れているとさえ思う。白黒であることもゴシックな雰囲気を高め、且つ想像力を掻き立てられる。一時期、白黒映画をデジタル処理してカラーにすることが流行ったことがあったが、なんでもカラーにすりゃいいってもんじゃあねえんだ、このバカチンが。 白黒でなければ出来ない特撮シーンもある。蘇った魔女に性器、否、精気を吸われたバーバラ・スティールが1カットでみるみる老けてしまうショットがあるのだが、あれはおそらく照明によるからくりだろう。例えば青のペンで皺を書き、照明を青から無色に徐々に変えることで皺を浮き上がらせたのである。かなり高度なテクニックであり、カメラマンのバーヴァだからこそ出来た特撮と云えよう。こんなのは今ではCGで処理しちまうが、なんでもCGでやりゃいいってもんじゃあねえんだ、このバカチンが。 とにかくすこぶるよく出来た作品である。未見の方は是非このオールド・ファッションな怪奇映画を堪能して頂きたい。  ↑この穴ボコだらけの顔がガキの頃はやたらと怖かった。 |