三谷GP初制覇 静岡ケイリンGP
2万2000人の観衆が、新記録を目撃した。静岡競輪場(静岡市)で初めて開催された「KEIRINグランプリ2018」(GP)は30日、最終11Rで戦われ、三谷竜生(奈良、31歳、101期)が初優勝した。三谷は賞金1億160万円を加算し、山田裕仁(61期、引退)の最高年間賞金獲得額の記録を約1100万円更新。約2億5500万円とした。シリーズ3日間の総売上額は、約113億円(目標125億円)だった。
■ヒーロー
富士山バンクで初めて開催された1億円争奪レースは、三谷竜生が2年連続2度目の挑戦でV。年間獲得賞金額は、山田裕仁(61期引退)が02年にマークした2億4434万8500円を超える2億5531万3000円。競輪史上で最高の“マネー王”となった。
■作戦が当たった
前を取らなかったのはレース前から考えていた通りの作戦だった。「脇本君が後ろ攻めがいいと話していたので。スタートで前がいいなら(Sを)取りに行くつもりでいました」。絶対的な信頼を寄せる脇本が打鐘前から気合のこもったスパート。鐘4角で近畿ラインが完全にレースを支配した。その後は、冷静に車間を切って清水の捲り上げを止めると、直線で迫ってきた浅井を抑え、いち早くゴール線を駆け抜けた。「番手で、できることをしようと思っていた。村上義さんが落車したのは残念だったけど、近畿としてはいい形で終わることができた」
勝ちたい気持ちが誰よりも強かった。G1親王牌の初日だった10月5日に、大好きだった母(湖雪さん、61歳)を亡くしていたのだ。「もう少し一緒にいたかった。今年のGPは母のためにも勝ちたかった。GPの優勝を見せることはできなかったけど恩返しができたかな。ありがとうと言いたい」。涙を流しながら勝利の報告を行った。
1億円の使い道は「物欲がないので決めていない」と笑うが、GPを制した来年は、常に人気と注目を集める1番車。追われる立場になる。「GPに向けてやってきたことは間違っていなかった。これからもレーススタイルを変えず、責任感の中でもそれに恥じないように頑張ります」。来年の走り初めは和歌山G3(1月11~14日)。10日ほどの充電期間を経て、また頂点を目指した戦いがスタートする。 (森川)
=2018/12/31付 西日本スポーツ=