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トレンドマイクロにも聞いて判断

 ウイルス対策ソフト大手のトレンドマイクロにも話を聞いた。「Windows 10がセキュリティー機能を充実させていることは当社でも把握している。単純な機能比較では同じように見えるかもしれないが、専業ベンダーとして世界的に活動している当社の優位性はまだある。法人向けには組織全体の管理機能を、個人向けにはパソコンやスマートフォンに詳しくない人へのサポートサービスを訴求していく」(新井一人バイスプレジデント)とのことだった。

 筆者はこれらの意見を踏まえ、実家の新しいWindows 10パソコンでは他社製ウイルス対策ソフトを入れなくても大丈夫だろうと判断した。2台だけを個人用途で使うなら法人向けの管理機能は必要ない。今のところ標準のWindows Defenderの機能で十分だと考えた。

 今後も他社製ウイルス対策ソフトが永遠に不要とは限らない。Windows Defenderの利用者が増えれば、攻撃者による弱点の研究が進み、そこを突いたサイバー攻撃が増える懸念はある。だが、Windows Defenderで防げないセキュリティー脅威が多発するようなら、それが分かった時点で他社製ウイルス対策ソフトを導入すればいいとも思う。企業ならば判断変更に伴って何百台ものパソコンにウイルス対策ソフトをインストールするのは大変だが、個人なら比較的容易だ。

他社製をやめる手順

 パソコン買い替え時に他社製ウイルス対策ソフトの使用をやめるには、(1)新しいパソコンにプリインストールされている他社製ウイルス対策ソフトをアンインストールする、(2)古いパソコンで使っていた他社製ウイルス対策ソフトの利用契約をやめる、という2つの作業が必要である。

 (1)については、購入したパソコンにA社のウイルス対策ソフトの12カ月分の無料利用権が付いていたが、これをアンインストールした。そして、Windows 10標準のWindows Defenderが動作していることを確認した。

 12カ月間はA社のウイルス対策ソフトを無料で使い続けるという選択肢もある。だが、2019年末ごろには「このままではパソコンが危ない! 利用延長しませんか?」との巧みな勧誘メッセージが頻繁に表示されるだろう。両親は何も知らずにクレジットカード番号を入力して料金を支払う可能性が高い。

 この種のウイルス対策ソフトはパソコンで操作するたびに「A社があなたのパソコンを守っています」とアピールの表示をしてくる。過去に母から筆者へ「ウイルスに関する表示が頻繁に出るが、このパソコンは大丈夫か?」との電話がかかってきたこともある。慣れた人にとって害はないが、慣れない両親にはかえって操作の妨げになる。だから前もってアンインストールした。

自動継続の解約を忘れずに

 (2)については、古いWindows 7パソコンでB社のウイルス対策ソフトを使っていた。母によれば「最近、クレジットカード番号を入力して利用延長の手続きをした」という。今後使わないにもかかわらず、自動延長でクレジットカードの引き落としが続くとまずいと思い、B社の窓口に電話した。

 正月休み中だったが、B社の電話窓口は営業しており、オペレーターが対応してくれた。利用記録を調べてもらうと「2019年10月までの利用契約が済んでおり、その後は自動延長する設定になっている」とのことだった。「もう使わないことにしたので、自動延長をやめたい」と申し出ると、「それではパソコンが危ない」と脅されることもなく、すぐに対応してくれた。