<金口木舌>ファクトチェック広がる予感

 年初から予言めくが、今年は日本のジャーナリズムにとって大きな転換点になるかもしれない。報道の在り方に新たな潮流が出てくるのではないか

▼沖縄を除く全国で4月に統一地方選挙が実施される。夏には参院選がある。衆参同日選も取り沙汰される。そんな中、ネット上を飛び交うさまざまな情報の真偽を検証する新聞報道が相次ぐのでは、という予感がある。いわゆる「ファクトチェック」だ
▼本紙は昨年9月の沖縄県知事選の期間中、初めてファクトチェックを実施した。選挙後、地方紙を中心に多くの記者から、取り組みの経緯や手法、課題などについて問い合わせがあった
▼実は戸惑いを感じた。そんなに注目されることなのか。こちらとしてはただ、誤った情報を有権者に届けたくない、読まれる記事を書きたい、との思いで取り組んだ
▼記者たちは「従来の選挙報道の枠では考えられない」「どうしてネットメディアではない新聞社にファクトチェックができたのか」と畳み掛けるように聞いてきた。既存の枠を打破したい、貪欲な記者魂を強く感じた
▼本紙の取り組みは知事選で終わらない。県民投票を巡る間違った情報の検証に加え、新年から連載「沖縄フェイクを追う」も始めた。選挙イヤーの今年、他県でもファクトチェックを取り入れる新聞が出てくるはずだ。新たな可能性にわくわくする。