好きじゃない君と初めて手を繋いだとき、じぶんのなかにある何かが確かに死んだ。 あの日の夏の空は晴れわたっていて空には青一色しかなくて、じっとしていると空が落ちてきそうだった。落ちてきてほしかったのに落ちてこなくて悲しかった。
無意味だった。世界中を探したって、自分のしていることほど無意味に感じられるものは少ないだろうな。
「光ははやいんです、一秒間に地球を七周するくらいにはやいんですよ」「そうなんですか」「そうして光は消えていくんです」「どこに?」「宇宙に」「へえ」
世界一無意味だと思って泣いたあの日のことをいまも忘れられない。家に帰ってから、両手を洗ったよ。石鹸を付けて水で流すを何度も何度も繰り返し念入りに洗った。繋いだ手の感触を洗い流すように洗った。世界中のどこかで、今、自分ほど無意味なことをしている人間はいるだろうか。そんなこと考えていたら気付いたら石鹸は半分くらいに減っていた。たぶんこれも無意味なんだから、もうどうでもいいよどうでも。
無意味だった。世界中を探したって、自分のしていることほど無意味に感じられるものは少ないだろうな。
「光ははやいんです、一秒間に地球を七周するくらいにはやいんですよ」「そうなんですか」「そうして光は消えていくんです」「どこに?」「宇宙に」「へえ」
世界一無意味だと思って泣いたあの日のことをいまも忘れられない。家に帰ってから、両手を洗ったよ。石鹸を付けて水で流すを何度も何度も繰り返し念入りに洗った。繋いだ手の感触を洗い流すように洗った。世界中のどこかで、今、自分ほど無意味なことをしている人間はいるだろうか。そんなこと考えていたら気付いたら石鹸は半分くらいに減っていた。たぶんこれも無意味なんだから、もうどうでもいいよどうでも。