「 幻が死ぬ前に 」



欠けては丸くなる月のように
ゆっくりゆっくり
また 元通り

あしたへ続いている青い汽車は
がったんごっとんと
ぼくを乗せて

うまく言えないけど
このうたはきみのうた

ぼくよりちょっと生きたくらいで
分かったふりをしないで
ぼくだってちゃんと分かってる
幻が死ぬことを

不安と白い息が交じる夜は
くっつきぐっすり夢を見る

夢の中でもはぐれないように
しっかりしっかり手を繋いでいて

ふたり悲しいとき
ひとりで悲しまないで

ぼくより先に泣かないで
やっぱりきみと同じでいたい
ぼくだってちょっと痛いくらいじゃ
泣かないから

ぼくよりちょっと生きたくらいで
分かったふりをしないで
ぼくだってちゃんと分かってる
幻が死ぬことを

幻が死ぬ前に
きみとは さようなら