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第27回:ダブルデート『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解説

  • 2018.12.29 Saturday
  • 18:21

 

 

 

 

 

さて、いよいよレストランのシーンを解説する時が来た。

 

新約聖書外伝『ジェームズの黙示録』の再現シーンだよ。

 

 

長かった前フリはコチラ!

 

 

 

ホンマ長かった。

 

初めてこのシリーズを読んでもうた人は、何のことか意味わからんやろ。

 

 

さあ始めよう。

 

あの場面における登場人物は4人と1人。

 

まずはミルドレッドとジェームズのカップル。

 

役割は使徒ペテロと大ヤコブ(James the Greater)だな。

 

 

 

そして奥の席に座る元夫チャーリーと同棲相手のペネロープが「父と子」を演じます。

 

そして忘れてはいけないのが、「聖霊」を演じるアンジェラの霊魂ですね…

 

 

 

つまりこういうことだ。

 

ペテロと大ヤコブが天の神殿へ招かれた『Apocryphon of James(ジェームズの黙示録)』の完全なる再現だな。

 

 

 

最後に役者が揃ったって感じ!

 

ディクソンはバーでボコボコにされてるけど(笑)

 

 

まずはミルドレッドとジェームズがメニューを見ているところから始まる。

 

 

緊張するジェームズと退屈そうなミルドレッドの間で、こんな会話が交わされていたね…

 

 

ジェ「ついにここまで来れた」

 

ミ「そうね」

 

ジェ「俺は臭いもの好きなんだ…。だからチーズたっぷりのものを選ぶよ…」

 

ミ「そうね」

 

 

 

ここ飛ばしてもいいんじゃない?

 

特に意味無いでしょ…

 

 

スルーしたらアカン!

 

とんでもなく失礼な奴やな、ジェームズは!

 

なんでミルドレッドが「チーズ臭い」と決めつける?!

 

 

ハァ?

 

 

ジェームズはミルドレッドのほうを見ながら「cheesy thing」と言ったんだよ。

 

これは「安っぽいチーズみたいに臭い」という意味で、女性に向かって言ってはいけない言葉…

 

ちなみに「cheesy」は「臭い芝居」をする役者にも使う言葉なんだ。

 

この演技でアカデミー主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンドに失礼だよね(笑)

 

 

なんか臭うな。

 

 

なに?

 

ワイはチーズ臭なんかせえへんで…

 

毎日ちゃんと風呂に入って洗っとるわ!

 

 

お前ではない。ジェームズだ。

 

ジェームズからアンジェラ臭がプンプン臭う…

 

 

アンジェラ臭!?

 

アンジェラもCheesyだったの!?

 

 

そうじゃないよ。

 

思い出してほしい…

 

アンジェラが最後の日に母ミルドレッドと口喧嘩する場面で、弟のロビー君が母ミルドレッドのことを「腐れマ〇コ」と呼んだよね…

 

彼は別の日にもその言葉を口にしていた。

 

たぶん姉アンジェラとの間では母のことを「腐れマ〇コ」と呼んでいたんだろう…

 

 

だからミルドレッドを見て「cheesy thing」と言ったジェームズには、おそらくアンジェラが入っている。

 

だから開口一番「ついにここまで来れた」と言ったんだよ。

 

だってアンジェラが苦労してセッティングしたんだからね…

 

 

マジですか…

 

まあ火事場で一度憑依してるから、二度目があってもオカシクないけど…

 

でも火事場解説の時は「ジェームズに憑依するのはこの場面だけ」って言ってなかったか?

 

 

あの時はそう思っていたんだけど、どうやら違ってたようだ。

 

よくよく考えてみたら、聖書の中でイエスはよく「小さき者」という表現を使っていた。

 

「自分は小さき者である」と何度も口にするんだよね。

 

旧約聖書にも「小さき者の中から王が現れる」と書かれている。

 

 

それに、チャーリーとペネロープが入店して来るところでも怪しい描写があったぞ。

 

まずミルドレッドとチャーリーがガンを飛ばし合い、それに気付いてジェームズが後ろを振り返る。

 

その時、ペネロープだけが前を見たままで、全く状況に気付いていないのだ…

 

 

 

つまり、この時のペネロープの中にはアンジェラは入っていない…

 

それもそのはず、別のところにいたんです…

 

ジェームズの中に…

 

 

なるほど…

 

もしアンジェラがペネロープの中に入ってたら、まず母を確認するかも…

 

 

だよな。

 

 

そしてバーでのディクソンのシーンが挿まれて、再びレストランに戻る。

 

ジェームズは突然「小さい子用のトイレに行く」と言い、席を離れた。

 

すると、その時を待っていたかのようにチャーリーが奥の席からやって来る…

 

 

ああ、ジェームズ!

 

警察署火事の時と同じく絶妙なタイミングだ!

 

 

やっぱり中身はアンジェラとしか思えないよね。

 

アンジェラは事前にペネロープとしてチャーリーに「助言」をしていたんだよ。

 

「ある言葉」をミルドレッドへ伝えるように、と。

 

だからチャーリーはジェームズがトイレに行くのを待っていた。

 

そしてアンジェラは、頃合いを見計らってジェームズをトイレへ行かせたんだ。

 

ここまではシナリオ通りだね、きっと。

 

 

地上に留まれるタイムリミットは残りわずかだもんな…

 

もうすぐ期限の40日が過ぎてしまう…

 

頑張れアンジェラ…

 

 

ミルドレッドのテーブルへやって来たチャーリーは、ジェラシーがミエミエだった。

 

自分は死んだ娘と同じ19歳のペネロープと同棲してるくせに笑えるよね。

 

 

 

何かで読んだことがある。

 

男は別れた女がいつまでも自分のことを好きでいてほしい生き物なんだってさ。

 

バカじゃねーの?(笑)

 

 

お前もいつかわかる。

 

 

さて、ミルドレッドとチャーリーの会話を見ていこう。

 

この場面は「使徒ペテロ」と「父」の組み合わせだね…

 

 

ミ「何か言いたいことがあるんでしょ」

 

チャ「まさかお前とダブルデートが出来るとは思わなかった」

 

ミ「そろそろあの馬糞臭い子は門限じゃないの?」

 

チャ「このあとサーカスを観に行こうと思ってたんだが、その必要はなくなった。あの小人、ジャグリングできるよな?」

 

ミ「私はあの人と特別なディナーをしてるの。彼は私を気に入ってる。意味わかる?」

 

チャ「別にお前の解説を聞きたいわけじゃない。お前が小人とディナーをしてることくらい見ればわかる」

 

ミ「あんたに解説なんかしてないわ!」

 

 

 

いくらイエスが馬小屋で生まれたからって「馬糞臭い」は酷いよね(笑)

 

 

だが、この時「聖霊」はペネロープではなくジェームズの中…

 

つまり「小さき者ジェームズ」が「小さき者イエス」の役割になっていることに注意が必要だ。

 

 

そうなると、使徒ペテロとイエスが共にした「特別ディナー」とは…

 

 

最後の晩餐!

 

『THE LAST SUPPER』レオナルド・ダ・ヴィンチ

 

 

そしてチャーリーが、この後にペネロープを連れて行こうとしていた「サーカス」とは、イエスの処刑のことだね。

 

昔の処刑は「見世物」だった。権力者が庶民に与える娯楽でもあったんだよ。

 

イエスの時も民衆は大熱狂した。

 

最終決定権をもつ総督ピラトは、民衆の「死刑コール」に押されて嫌々GOサインを出したんだったね。

 

 

ミルドレッドが「彼は私を気に入ってる」と言ったのは、最後の晩餐の時にイエスから「岩(ペトロ)の上に教会を立てる」とか「ペトロに天国の門の鍵を渡す」とか直々に指名されたからや…

 

 

「解説してる・してない」のやり取りもウケる。

 

ミルドレッドは完璧に使徒ペテロのことを解説してるからな(笑)

 

 

そしてチャーリーは「お前って奴はまるで…」と言いかけてペネロープの方を見る。

 

ペネロープが「いつまでそっちにいるの?料理が来てるのに!」といった感じでアピールしていたからね。

 

 

 

あの雰囲気は、アンジェラが入ってない感じだね。

 

このシチュエーションの意味が全然わかってないっぽいもん。

 

 

それにペネロープにアンジェラが入った時に特有の「不審な挙動」や「バカっぽさ」がない。

 

 

しかし「天の父」が「子」を置いたまま玉座を離れてはいかんな。

 

玉座を離れるために「子」を作ったのだから(笑)

 

 

そういえば、この映画では「親が子を離れさせるモチーフ」が何度も登場しましたね…

 

まずミルドレッドは大ゲンカの末にアンジェラを外へ追いやった。

 

あの場面でロビー君が「cunt(女性器)」という言葉を出して二人に「ここでその言葉は出すな!」と突っ込まれるのは、「母」抜きで「父」から「子」が誕生したキリスト教へのジョークだったんでしょう。

 

 

聖母マリアがいるじゃんか。

 

 

あれは代理出産や。人類史上初の。

 

 

そしてウィロビーの妻アンも子を車内に置き去りにする形で「親と子の分離」を表現していたな。

 

中身はアンジェラだけど。

 

 

さて、ヒートアップしかけた元夫婦のもとに、アンジェラ入りのジェームズが絶妙なタイミングで戻って来る。

 

父が肝心な話をせずに母と口論を始めたもんだから止めに入ったんだね。

 

 

 

チャ「まあいい聞け。俺はお前の話をしに来たんじゃない。お前が小人とデートをしたけりゃ好きなだけするがいい。俺はお前に《気の毒だったな》って言いに来たんだ」

 

ミ「気の毒?」

 

チャ「お前の掲示板の件は気の毒だったと思う」

 

ミ「いいの。過ぎたことは諦めるしかない」

 

チャ「それを聞いて安心した。あの夜は飲み過ぎたんだ。申し訳ない」

 

ミ「!?」

 

 

 

「父」が犯人だった。聖書と同じように。

 

 

そうだね。

 

あの「3つの看板」には「三位一体」の他にも「3つの十字架」が投影されていた。

 

イエスの処刑は他でもない「父」の計画だったから、チャーリーが看板を「処刑」したわけだ。

 

 

 

そして「父」はようやく大事な言葉を思い出す。

 

この映画で最大の笑いどころだ…

 

 

チャ「All this anger, man, Penelope said to me the other day,  it just begets greater anger , y'know? And it's true.」

 

 

 

「人間よ、《怒り》という感情はな、より大きな怒りを生むだけなのだ。わかるか?これは子であるイエスが私に教えてくれたこと。ホントだよ」(笑) 

 

 

「子」がいなかった旧約時代の「父」はまさに《怒り》の神でしたからね。

 

人間の行いに怒っては天罰を下すの連続で、ユダヤ人にはほとんど恐怖とも言える畏怖が植え付けられ、大量虐殺の憂き目に遭った周辺民族は憎しみをおぼえ、負の連鎖が拡大していた…

 

だけどそれは間違ってると自分の分身であるイエスが教えてくれた…というジョークになっているんだ。

 

 

すかさずジェームズに入ってるアンジェラが合の手を入れる。

 

待ってましたとばかりに…

 

 

ジェ「ペネロープが《Begets》と言ったのか?」

 

チャ「そうだ。《it begets greater anger》とな…」

 

 

 

さりげなく聞き返して大事なことをもう一度言わせたな!

 

アンジェラ、グッジョブ!

 

そしてチャーリーの操縦は簡単(笑)

 

 

「beget」という言葉も面白い。

 

「父」が「母」抜きで「子イエス」をもうけたことのジョークになっているんだよ。

 

「beget」とは「父が子をもうける」という意味の言葉で、聖書に頻出する単語なんだ。

 

聖書は「父によるアダムの創造」から始まって「父、子、父、子…」と連鎖していく物語だから…

 

ちなみに母が子を産むのは「bear」という。

 

 

なるほどな。

 

 

そしてチャーリーはジェームズに捨て台詞を残して席へ帰っていく…

 

このセリフもジョーク満載だ。

 

 

チャ「この小っちゃいお嬢ちゃん(little lady)をよろしく頼むぜ、物好きな突然変異さん(sport)よ。どう見てもあんたよりデカい(big lady)けどな(笑)」

 

 

 

突然変異!?

 

 

チャーリーはジェームズを「sport(変わり者・突然変異)」と呼んだ。

 

小人症であるジェームズへの侮辱であったのだろうが、アンジェラが憑依してるジェームズのことを偶然にも言い当てている。

 

 

そしてこの映画で小人のジェームズが「大ヤコブ(James the Greater)」の役割を演じていることへの内輪ジョークでもありますね。

 

さて、ミルドレッドはチャーリーの余計な一言で怒りがこみ上げてきた。

 

この場で爆発しそうになってきたんだね…

 

 

ジェ「大丈夫?」

 

ミ「私、今すぐ帰ったほうがいいみたい」

 

 

 

ああ!ピンチだ!

 

せっかくプラン通りに行ってたのに、チャーリーの予想外の発言で、怒りの連鎖を止めるどころか、逆効果に…

 

 

ここですかさずジェームズの中のアンジェラは、最終手段に出る。

 

まず悲しそうな目で母ミルドレッドを見つめた…

 

 

ミ「そんな目で見るのはやめて。デートはまた別の日だってできる。そうよね?」

 

ジェ「なぜまたの機会があると決めつける?あんたは俺といることをずっと嫌そうにしてたじゃないか!」

 

 

 

そう!「また」はない!

 

もうすぐアンジェラは地上を去るんだ!永遠に!

 

 

ミルドレッドは小人のジェームズに「またはない」と言われて、さらに怒りがこみ上げて来る…

 

 

ミ「Oh, for Christ's sake(勘弁して頂戴), James...」

 

 

 

「キリスト」いただきました!(笑)

 

 

笑えるよね。

 

真顔でシリアスなシーンをやってるだけに、ジョークの可笑しさが増すんだ。

 

さて、ミルドレッドの怒りは止まらない…

 

 

ミ「I didn't force you to come on this date, alright ? You forced me !」

 

ジェ「Forced you? I asked you on a date. Wow ! Well, y'know, I know I ain't much of a catch OK ?」 

 

 

 

ミ「私はあんたにデートに行こうとお願いしたわけじゃない!あんたが私に強要したの!」

 

ジェ「強要しただと?俺はデートのことを聞いただけだぜ!俺だって自分がモテないことくらい知っている!」

 

でしょ?

 

 

違うんだな。

 

ここでは「ある有名な場面」を説明しているんだ。

 

 

有名な場面?

 

 

こうも訳せるよね…

 

 

「私はあなたに《この日が来てください》なんてお願いしなかった!あなたが強要したのです!」

 

「俺が強要しただと?俺はあの日お前に《俺は行くけど、どうする?》と聞いただけだ!俺がいつも回りくどい言い方なのは自分でもわかってるが…」

 

 

さて「私」と「俺」は何の話をしているのかな?

 

 

え~と…

 

ミルドレッドは使徒ペテロで、ジェームズに入ってるのはアンジェラだ…

 

アンジェラはイエスの役割だから…

 

 

わかったで…

 

「この日」とは使徒ペテロの処刑の日や…

 

イエスはペテロに「死ね」とは言わんかった…

 

「俺は行くけど、どうする?」と聞いたんや…

 

Domine quo vadis?』

Annibale Carracci

 

 

その通りだ。

 

師である自分の処刑の日に続いてまたもや逃げた「弱虫ペテロ」に呆れたイエスは、直接的に言うのではなく間接的に促したんだったな。

 

これ見よがしに十字架を背負いながら「お前が行かないなら俺がひとりで行く」と…

 

 

そういえば「弱虫ペダル」と「弱虫ペテロ」は響きが似てるね。

 

 

たぶん駄洒落だと思うよ。弱虫だった人間が強くなって道を進んでいく物語だから。

 

さて、ジェームズに入ってるアンジェラは、こう続ける…

 

 

ジェ「確かに俺は小さき者だ!used carsを売っていて、drinking問題を抱えている小さき者だ!そんなことくらい百も承知だよ!だけどそれならお前は何者だってんだ?お前は笑顔ひとつ見せない不機嫌顔の掲示板女だ!他人に対する思いやりのカケラも無い!」

 

 

 

「used cars」を売る?「drinking問題」?

 

 

「cars」は「curse(悪態・毒舌)」の駄洒落だな。

 

先程の「for Christ's sake」もそうだが、英語では「Jesus」や「Christ」という名前を使って悪態をつく。

 

そして「curse」にはキリスト教用語で「破門」という意味もある。

 

 

「drinking問題」とは「喉の渇きと心の渇き問題」のことでしょう。

 

イエスは愛を「心の水」だと喩えた。

 

愛の無い者は、永遠の渇きに苦しむと。

 

 

ミルドレッドのことを不機嫌で他人を傷付けてばかりと言ったのは、この絵のことやな…

 

ダ・ヴィンチに限らず、だいたい絵の中のペテロは不機嫌顔や…

 

 

 

まだ続くよ。さらにジョークを増して…

 

ジェ「しかも夜には《SETS FUCKING FIRE TO POLICE STATION》だ! I'm the one who's not a catch?!」

 

 

ここは何だろう?

 

聖書で警察署に火なんか付けたっけ?

 

 

警察署ではないけど裁判所を兼ねた大祭司の館で「火を付けた」よね。

 

イエス逮捕の時に逃げたペテロは、後からこっそりイエスの裁判の様子を覗きに行った。

 

そこで炎で照らされて「あなたはイエスの弟子ですよね?」と女中に聞かれる。

 

ペテロは思わず「そんな人は知らない」と答えた。

 

イエスの預言どおり三度もね。

 

『ペテロの否認』

ヘンドリック・テル・ブルッヘン

 

 

「I'm the one who's not a catch?!」がナイス過ぎる。

 

「師である俺が捕まっていたんじゃなかったっけ?!」だから(笑)

 

 

ああ…

 

使徒ペテロは師イエスを見殺しにした…

 

そしてミルドレッドもアンジェラに「あんたなんか知らない!レイプされてしまえばいい!」と言ってしまった…

 

 

そしてジェームズに入ってるアンジェラは、席を立ち、最後に悲しそうな表情でこう吐き捨てる。

 

 

ジェ「I didn’t have to come and hold your ladder!」

 

 

直訳すれば「わざわざ来て、あんたのハシゴなんか押さえるんじゃなかった!」だね。

 

自分のことしか考えられず変われない惨めなミルドレッドは、偉そうなことを言いながらローマから逃げた使徒ペテロの姿そのものだ。

 

 

そしてこのセリフには他にも様々な意味が込められている。

 

「come and hold your ladder」で「あなたの手助けをするために現れる」だから、アンジェラの一連の行動のことを指しているんだよ。

 

犯人逮捕のためにスリービルボードを出させたことや、警察署放火の際に救ったこと、そしてダブルデートをセッティングしたこと…

 

その想いをことごとく踏みにじられたことに対する憤りを爆発させてしまったんだね、アンジェラは…

 

 

もう時間が残されていなかったしな…

 

最後にキレてしまったんだ…

 

鈍感でバカな母親に…

 

 

そしてアンジェラ入りのジェームズは、チャーリーとペネロープがいる奥の席をチラリと見てから去っていく…

 

おそらくこれは…

 

 

 

「もうママなんか知らない!パパのところへ行ってやる!」のチラ見だ…

 

 

笑えるよな(笑)

 

そしてアンジェラのブチギレが功を奏し、ミルドレッドは目を覚ます…

 

ワインボトルとグラスを持ち、チャーリーとペネロープの席へと向かうのだ…

 

 

 

なぜボトルとグラスを持っていったんだろう?

 

別に一緒に飲もうとしてたわけじゃないのに…

 

 

「受け入れ」の象徴だよ。

 

イエスは最後の晩餐の後、ゲッセマネの園で血の汗を流しながら「父」に祈った。

 

できることなら「死という運命の盃」から逃れさせてください、と…

 

だけど「父」は何も答えなかった。これでイエスは自身に与えられた運命を避けられないものとして受け入れる。

 

『ゲッセマネの祈り』

ジョルジョ・ヴァザーリ

 

 

なるほど!

 

 

そして、ボトル片手に近付いてくるミルドレッドの姿を見て、チャーリーとペネロープの間に緊張が走った。

 

 

 

あのいかにも育ちの悪そうなジュースの飲み方と変な表情!

 

僕らの知ってるアンジェラ入りのペネロープ「ペネンジェラ」が帰って来た!

 

 

 

実によく出来ている。

 

そして「家族水入らず」で、こんなやり取りを交わす…

 

 

チャ「ここで名場面は勘弁だぜ」

 

ミ「あなたが彼に《怒りはより大きな怒りを生む》と言ったの?」

 

ペ「ああ!そう!それ私!でも自分で考えたんじゃなくて…何だっけ…そうそう!《Bookmark》に書いてあったの!」

 

ミ&チャ「・・・?」

 

ぺ「そのBookは…私が読んでた…Polioの話で…」

 

ミ&チャ「・・・?」

 

ぺ「Polo?馬が出て来るのはどっち?」

 

チャ「ポロだ」

 

ぺ「そう!ポロ!」

 

 

 

ペネンジェラ節が炸裂や。

 

せやけど何で《Bookmark》を強調したん?

 

 

この映画で最高のジョークだからだよ。

 

あれは「しおり」じゃなくて「Book of Mark」なんだ。

 

聖書の『マルコによる福音書』のことなんだよね(笑)

 

 

ああ!言われてみれば確かに似てる…

 

 

この映画は『マルコによる福音書』からたくさんヒントを得ているんだよね。

 

まずミルドレッドが「スリー・ビルボード」を立てること…

 

9:5 ペテロはイエスに向かって言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、素晴らしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。

 

そしてペネロープが動物園をリストラされた時の理由…

 

9:35 そこで、イエスはすわって十二弟子を呼び、そして言われた、「一ばん先になりたい者は、すべての人の後になり、すべての人に仕える者になりなさい。」

 

さらには「小人」の喩えとか…

 

9:37 「誰でも、このような小さき者を、私の名のゆえに受け入れる者は、私を受け入れるのである。そして、私を受け入れる者は、私を受け入れるのではなく、私をおつかわしになった方を受け入れるのである」。

 

 

そして『マルコによる福音書』は「憑依」の物語ともいえる…

 

霊が人間のみならず動物にも入りこんで様々な出来事が生じるのだ…

 

この『スリー・ビルボード』同様にな…

 

 

そうなのか…

 

あとでウィキソースで読んでみよう…

 

 

そしてペネンジェラは唐突に「馬」と「ポロ」の話をする。

 

なぜだかわかるかな?

 

 

理由なんてあるの?

 

 

「Mark(マルコ)」は中国語で「馬可」という…

 

つまり「馬可」と「Polo」で…

 

「マルコ・ポーロ」…

 

 

ズコっ!

 

ここでオヤジギャグかよ!

 

 

信じるも信じないも全てあなた次第…

 

ただ、脚本を書いたマーティン・マクドナーは、コーエン兄弟に心酔する男…

 

駄洒落魔コーエン兄弟の熱烈なフォロワーだってことをお忘れなく…

 

 

 

コーエン兄弟は駄洒落好き。我々公園兄弟もそう思う。

 

 

わかりました。それでいいです…

 

 

そしてミルドレッドは少し何かを考えて、ワインボトルとグラスをテーブルに置き、こんな言葉を元夫におくる…

 

 

ミ「この子は大事にするのよ、チャーリー。わかってる?」

 

 

その言葉にチャーリーはキョトンとした。

 

まさかそんなセリフを元妻の口から聞くとは思ってもみなかったからね…

 

ペネンジェラも少し驚くんだけど、すぐに笑みを浮かべる。

 

 

 

やった!

 

アンジェラの作戦、大大大成功!

 

あの鬼母ミルドレッドから、ついに優しい言葉を引き出した!

 

 

ジェームズとしてブチ切れたのが「禍を転じて福と為す」となったな。

 

あれで潮目が変わった。

 

 

ですね。

 

タイムリミットの40日目がくる前に、両親の心配事が片付きました。

 

 

今回は濃厚だったな…

 

あとは感動のフィナーレだ。

 

 

やっとここまで辿り着けた。

 

2018年の間に終わらせるというタイムリミットに僕もどうやら間に合いそうだ。

 

 

でも、ここまで証拠を並べて論理的に解説してるのに、まだまだ信じようとしない人たちが大勢いるよね?

 

「偉い評論家の先生も絶賛するほどの真面目な映画なのに憑依とか言っててバカじゃないの?」って…

 

なぜだろう?

 

 

そういう連中は聖書もバカにするんだろうな。

 

「聖霊とか憑依とか頭オカシイんじゃない?」って(笑)

 

まさに『マルコによる福音書』の最終章だ。

 

16:14 その後イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。


 

コペルニクスが地動説を唱えた時もそうだったんでしょうね…

 

「コイツなに言ってんだ?」って感じで…

 

でも僕はただ自分の書くべきことを書いていくだけ。

 

真実を求める人たちへ、そのヒントとなる言葉を伝えていくのが僕の使命…

 

まさにこんなふうに…

 

16:15 そして彼らに言われた、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ」

 

というわけで、次回は感動の最終回です。

 

乞うご期待!