次いで、サッカー。冒頭のように、静岡がトップだったのは過去の話だ。今回のランキングは、戦後(1945年以降)の戦績から集計しているため、90年ごろまでの貯金で静岡が1位になっているが、最近は決勝戦で静岡の高校を見ることは少なくなった。

 節目は、93年のJリーグ開幕。「サッカーブームが到来して競技人口が増えると同時に、全国各地で選手養成に力を入れるようになり、地域格差が小さくなっていった」(サッカージャーナリストの安藤隆人氏)。その結果、“静岡一強時代”は過ぎ去った。

 かつては、“高校サッカー御三家”といえば、静岡、埼玉、広島の3県を指したが、この10年は千葉と福岡の2強時代といえる。

 特に千葉には、市立船橋高、流通経済大柏高、習志野高、八千代高と強豪校がひしめいており、全国大会で優勝するより県大会を制する方が難しいといわれている。

 続いてバスケ。秋田が総合ランキングで4位に入ったが、これをけん引したのが能代工高(男子)の戦績だ。高校バスケの二大大会であるインターハイ、JX-ENEOSウィンターカップ共に通算で優勝は20回を超える。2位を大きく引き離す“超一強”が存在したのが高校男子バスケの特徴だ。

 特に、80~90年代が能代工高の黄金期で、全国各地のバスケ少年が能代工高への進学を目指した。このころ、能代工高のバスケ部は、部員の半分から3分の2が県外からの入学者で占められていた。しかし、最近は県外から優秀な生徒を集められなくなった。

 これは、北陸や、大阪、福岡など他地域の私立高校が、授業料を免除する特待生制度で優秀な生徒を受け入れるようになったためだ。公立の能代工高には特待生制度がない。さらに、「雪国で冬は地吹雪が強く、親が子どもを下宿させたがらない」(地元関係者)ことも影響しているようだ。

 能代工高は、07年のインターハイ優勝を最後に低迷を続けている。最近では1回戦や2回戦で敗退することも。男子バスケもサッカー同様、かつての一強時代から、戦国時代へと移り変わっている。