【記者コラム】愛校心の絆が紡ぐ伝統の力 中部大春日丘 ラグビー部2019年1月7日 18時0分
第98回全国高校ラグビー大会の愛知県代表は6大会連続8度目出場の中部大春日丘。高校日本代表候補7人を擁することしのチームは史上最強と前評判も高かった。「ことしこそは初のベスト8入り、それ以上もある」―。そんな期待をしたのは記者だけではない。 高校日本代表候補の1人、フランカー古庄竜也(3年、ふるしょう・りゅうや)も、「ベスト8を懸けた3回戦には天理(奈良)が来ると思う。天理に勝ったら、僕は正直、優勝まで行けると思っています」と自チームに期待していた。「ベスト8」から上方修正した「ベスト4」よりさらに上に目標を置いていた。 昨年末、花園の初戦を前にした練習の取材に行った。初戦のテレビ放送には、日本代表で活躍する同高OBのトヨタ自動車FW姫野和樹(24)がゲスト解説することになっていた。そのことについて尋ねると、古庄は「この練習着、姫野さんにもらったんです」とうれしそうに「K・Himeno」の名前が入った左袖を見せてくれた。その表情からは、右ひじの脱臼や左手首骨折など相次ぐ故障から復活し、最後の花園に懸ける思いと自信が伝わってきた。 しかし実際はことしの元旦、天理戦に敗れ、今大会も同高の最高位、3回戦を突破することができなかった。FWの力勝負では上回ったように見えたが、古庄は「相手には自分たちの強みを出させない、うまさがあった」と脱帽していた。 天理は3大会ぶり63度目の出場。優勝6度、準優勝7度を誇る伝統校は花園での戦いを知り尽くしていた。対する中部大春日丘は6大会連続とはいえ、8度目の出場。第76回大会で、愛知県勢で唯一、花園で優勝した西陵商(現西陵)も29度目の出場での快挙だった。花園の舞台で実際に体をぶつけ合っていくことでしか伝統という目に見えない力は積み上げられないのかもしれない。 古庄は明大に進み、ラグビーを続ける。敗戦後、「大学生になっても、後輩たちを応援し続けたい」と気丈に語ってくれた。その言葉の裏には、姫野が日本代表となっても激励に来てくれた感謝をつないでいこうという気持ちがあるに違いない。そして、そんなすてきな先輩たちの思いが、春日丘の伝統を紡いでいくと私は信じたい。 (伊東朋子)
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