【大相撲】稀勢の里、稽古総見で左脚痛め、途中で打ち切り2019年1月8日 紙面から
大相撲の横綱審議委員会(横審)による稽古総見が7日、東京・両国国技館で行われ、初場所に進退を懸ける横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=は横綱鶴竜と大関豪栄道を相手に計6番取り3勝3敗だった。「攻めていた」と前向きだったが、左脚を痛めて稽古を打ち切ったこともあり、周囲からは期待と不安の声がともに上がった。 背水の陣の稀勢の里が、がむしゃらに攻め続けた。最初の一番。豪栄道の右からの投げをこらえると、体ごとぶつかるように押し出し。激しい息遣いで、うなり声を上げながらの6番だった。 「攻めていたと思う。(昨年秋場所前の)9月の総見より体もすんなり動いた。もっと、前に前に攻める意識を持ってやっていきたい」 鶴竜には1勝3敗だったが、豪栄道を相手に2戦2勝。10勝を挙げた昨年秋場所の前の総見と同じく、横綱、大関陣と五分だった。それだけに悔やまれるのは、倒れた際に左脚を俵に強打して稽古を打ち切ったこと。帰り際に気にするそぶりを見せなかったとはいえ、不安は残る。 昨年の九州場所は、横綱として87年ぶりに初日から4連敗。途中休場した場所後には、史上初めて横審から奮起を促すための「激励」を受けた。今回は横審の委員へ復活をアピールするはずだったが、やや不完全な内容。北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「気力は感じた。体はかなり戻っているように見える」と評価しつつも、「一生懸命なのは分かるが、少し不安が残るということですね」と懸念も口にした。 不安の声は、ほかからも上がった。本紙評論家の北の富士勝昭さん(元横綱)は「一見、元気そうに見えたね、一見ね」と終始、慎重な口ぶり。早々と息を切らせた姿に「長続きしないよね。すぐに音を上げちゃう」と指摘するなど、表情はさえなかった。 9日には二所ノ関一門の連合稽古が控える。「やるだけですね」と口元を引き締めた稀勢の里。稽古場から結果を出し続け、勢いにつなげるしかない。 (志村拓)
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