前回に引き続きXenoblade2のクリア後感想を書いていきます。今回はストーリー&キャラ編です。
今作のストーリーは「主人公レックスまたはホムラ&ヒカリに好感を持てるかどうか」で評価が分かれると思います。残念ながら私は好きになる事ができませんでした。嫌いではないのですが…
※この記事には多大なネタバレが含まれているほか、相変わらず辛口…もとい愚痴なのでご注意を。
(12/15あまりの読みづらさのため加筆修正しました)
ストーリー
ストーリーは土日の朝に放送されるような熱血少年アニメと深夜アニメを足して、最終的にはゼノブレイドの根幹部分の補完をした感じ。
今作のストーリー感想を書くにあたって<王道>と<ベタ>の個人的な違いを明記しておきます。(あくまで個人的な感覚です)
【王道】展開が分かっていても胸が熱くなる。見たことある内容でも心動かされる。
【ベタ】想定内すぎて何の感慨も湧かない。場面によっては苦笑したり見てるこっちが恥ずかしくなる。
どちらも人それぞれの感覚だと思います。私にとって今作のストーリーは後者だったというのが最終結論です。
良い点
- 熱いシーンを熱く、悲しいシーンを悲しく、といった盛り上げ方をよくわかっており、BGMと相まって見応えのあるムービーになっている。
- ゼノブレイドと話が繋がったときの感動は胸にこみ上げるものがあった。ゼノブレイドをやって良かったと心から思った。
- エンディングはとても爽やかで光に満ち溢れている雰囲気が非常に良い。
悪い点
- 上記の良い点に水を差すようなシーンがあったり、いまいち話が繋がっていない部分があり、もやもやする。
- 前半の6割は占めるであろうギャグシーンは、前作とのギャップがありすぎてひたすら困惑。そして失笑。見てるこっちが恥ずかしくなる時も。
- 終盤にひたすら回想ムービーを挟んで敵側の心情を語るのはいかがなものか。話自体は好きだけど。
- 展開自体は熱いけど、そこに至るまでの心情が理解できなかったり説明不足だったりして、いまひとつストーリーに気持ちが乗らない。
キャラクター
全体的に掘り下げが中途半端
プレイ中「良い子なんだけど…」「良いキャラしてるけど…」が口癖でした。
ボーイミーツガールである必要がないレックスとホムラ&ヒカリ
出会った直後のレックスとホムラ&ヒカリは正直、お互い打算で成り立っている部分があります。(ヒロイン「命を救う代わりに楽園へ連れて行って」主人公「楽園が本当にあるなら皆のためにも行きたい」)
そこからどれだけ主人公はヒロインを愛し、彼女のために行動できるか?またヒロインはどれだけ主人公に信頼を寄せ、してくれた行動へのお返しができるか?というのが今作の根幹だと思います。
しかし最初の打算な関係はなかったことになり、最初からお互い大好きで最初からヒロインのために動く主人公になってしまっています。
こうなってしまうと物語全体が大きくブレてきます。なぜならボーイミーツガールである必要が全くないから。幼馴染or恋人との約束でもこの物語は十分成立してしまうのです。
ホムラ&ヒカリの「自分たちの存在を消してもらうために楽園を目指す」に対するアンサーをレックスが出したのならば、レックスの「楽園さえあれば土地を追われる心配をしなくて済む、そうしたらきっと争いもなくなる。だから楽園を目指す」のアンサーをホムラ&ヒカリは示すべきです。
最初の打算で成り立つ関係から信頼しあえるパートナーそして何よりも大切な存在へと高まっていく…そういう過程がボーイミーツガールの醍醐味だと私は思います。
最初からお互い大好きなレックスとホムラ&ヒカリはボーイミーツガールである必要はほぼほぼないのです。
寄せ集めのようなパーティメンバー
前作は<機神を倒す>という同じ目標をほとんど持っているほか、ラインやダンバンは最初からシュルクの良き理解者であり、カルナやメリアはシュルクに助けられ…と同行するのに疑問を持つことはありませんでした。リキは勇者として押し付けられたようなものですが…でも家庭のためだし…
今作はトラ以外パーティからいつ外れてもおかしくない状況だったので、5人揃ってもしばらく「また離脱するんじゃないか」とそわそわしてました。というかニアは絶対一度は敵側へ戻ると思ってました。
キャラクター別の感想
レックス
7話で覚醒したはずなのにその後の展開でオロオロしすぎ
7話は、最愛のホムラ&ヒカリを助けることができず、むしろ自分が助けられ、敵に愚かだと蔑まれ、自信を失いなにもかも諦めたレックスが第三の剣を求めると同時に揺るぎない決意を見つける…という(一応)熱い話でした。にも関わらず
- 直前に「楽園があるかは行ってみなくちゃわからない」と仲間にカッコよく宣言したにも関わらず「そんな…こんな所が楽園だって!?ホムラ、どういうこと?」と露骨にショックを受ける
- 仲間(本来の仲間でなく深層心理が作り出す幻影みたいなやつ)に責められて狼狽し「う、ウワアアアアアアアア(逃亡)」
- 上記の明らかにいつもと様子が違う仲間に説得もせず、最終的にホムラとヒカリの優しさに包まれながら「オレ何か悪いことしたのかなぁ(泣)」
- ホムラ&ヒカリの自己犠牲を認められずオロオロし続け、最後にはハナを頼り「ちょっとだけ…ほら、あそこに行くだけで良いから」とひたすらオロオロ
まだ年齢が年齢なのだから仕方がないという意見もありますが、7話の覚醒はホムラ&ヒカリという最強武器を失った状態で助けに行ったのです。それほどの強い決意を持ったにも関わらず、上記のような言動をとるのはいくらなんでも情けない。7話覚醒の意味がありません。
また「最愛の人の自己犠牲を止めたいのは当然では?」と感じるかもしれませんが、7話ですでにホムラ&ヒカリは死にかけているのです。(厳密には違いますが、似たようなもの)
そんな彼女らを救ったレックスなら、彼女たちの想いを堂々と受け止めるか、絶対に死なせない諦めないと踏ん張るか、のどちらかではないでしょうか。
オロオロして仲間から哀れみの視線を投げかけられるという展開は違うように思います。
ホムラとヒカリ
ホムラとヒカリは分ける必要がない
プレイ中ずっと疑問でした。
ヒカリの力を表に出さないために、ヒカリはホムラの人格を作り出した。レックスが危機に瀕したので、ホムラがヒカリを呼んだorヒカリが起きた。
要はヒカリの2重人格ということになるのですが、ここで2重人格キャラあるある…もとい疑問が生まれます。
- あくまで主人格はヒカリであるが、ヒカリが目覚めたらホムラは消えるのではないか?
- 例えヒカリが目覚めたとしても、力を使いたくないのなら極力表に出ることはなく、常にホムラを介して外界と接触するのでは?
しかし上記2つは全く影響することなく、ホムラもヒカリもブレイドとして活躍するし物語にもヒカリになったりホムラになったりして普通に話します。
物語だけで言えばヒカリだけで十分です。ヒカリが覚醒したことにより、悪く言えばホムラは用済みなんですから。
なのでホムラを取るか、ヒカリを取るかで一悶着あると思ったし、そうじゃないならヒカリはアデルに思いを馳せて、ホムラはレックスに思いを馳せるみたいな展開になるのかなーと思ったらそんな事もなく…ヒカリもツンデレを発揮して早々にレックスが大好きに。
分ける必要を全く感じません。せめて「最初から二人で一つとして創られた」という設定なら納得できましたが、ホムラを生んだのはヒカリだし…。
あと個人的な感想ですが私はヒカリがいまいち好きになれず、戦闘中にレックスが瀕死になると「もう見てらんない!」と勝手に出てくるのが地味にしんどかったです。
ホムラに戻そうとすると「ダメ!放っとけない!」といって否定してくる…ホムラに戻したら戻したで「ヒカリちゃん、ここは力の加減が必要です」と言ってくる。いや全力でいかなきゃダメだと思うよ…。
ニアとビャッコ
掘り下げが十分あるように見えるがまだ足りない
ニア自身はすごく好きです。しかし「自分の居場所はあそこ(敵側)だけなんだ」と言ったにも関わらず一度も戻らないのは疑問です。戻らないだけでシンのことは常に気にしてるかと思えば再会してもあまり反応せず…。レックス覚醒と同時にニアも覚醒しますが突然「レックス、大好きだよ!」と告白、一体いつ好きになったのか。
もちろん境遇を聞いて親近感は湧いていたでしょうし、助けられたのだから好きになってもおかしくはありません。しかしそれにしてはホムラ&ヒカリを羨む場面がないのです。(前作メリアには明確にフィオルンを羨む場面があります)
そして何よりシン含め敵側への心情が浅い。そもそも敵側にいたときのニアがどんな思いを抱いていたのか一切語られないのが不服です。もっと「ヨシツネは無駄に本が好き」とか「サタヒコは気持ち悪い」とか「ベンケイはサタヒコのこと満更じゃなさそうだったけど」とか感想いってほしかった。
敵側の居場所も大切だったとした上でレックス達を選び、レックスのことが好きでいて欲しかったです。
というか敵側を完全に見限ったのなら知ってる情報を全部教えて欲しかったです。「今じゃ5人だけの小さな組織」とか今最終話なんですけどー!最後の戦いの間近なんですけどー!
ビャッコもマンイーターであるニアのことをどう思ってるか全然語られないのが気になりました。「お嬢様について行くだけです」で終わってしまった…。
トラとハナ
余計なギャグシーンを作った大戦犯
萌えとかゼノブレイドに要らなかった…もっとお堅い作りをしてくれると思った…。ネットで調べるとゼノシリーズはこういった要素が度々あったようですが、ゼノブレイドには皆無でしたし、ゼノブレイドから入った人にとっては全く関係ないです。
トラの萌え趣味を置いとくとしても、シリアスな最中「そんな顔してお腹空いてるも?」「財布落としたも?」とか状況的に絶対ありえないことを言ってくる。空気読めないアホキャラにしたかったのか分かりませんが、なぜ終盤にすらそんなことを言ってくるのか。
ハナは基本良い子であったし終盤のヒカリとの約束も良かった。ただトラの趣味を全部押し付けられるので…JKモードと聞いたときには失神しそうになりました…。
ゼノブレイドに深夜アニメのノリは一切求めてなかった…。
メレフとカグツチ
最後までブレない軍人
パーティメンバーで一番好きだったのはメレフでした。彼女にもギャグ要素はあるのですが、9割キズナトークにとどまっており本編ストーリーでは取り乱すことなく冷静に助言したり感想を述べたりしてくれたので一番安心して見ていられました。本編じゃないところで、くすりと笑えるのが良い。
とはいえ彼女にも一つだけ気になる点が。
それはレックス達に同行する決め手となったネフェル皇帝陛下…もとい従弟との会話です。
ネフェルが死にかけ、特別執権官としても従姉としても彼の側を離れる訳にはいかない、離れたくないという彼女に対してネフェルは「本当は彼らと旅に出たいんじゃないですか?」と語りかけます。確かにメレフはレックス達との旅を楽しんでいる様子でしたが、果たして死にかけたネフェルを置いてまで旅に出たかったんでしょうか?
ちょっとパーティインのタイミングが良くないのでは…。
カグツチはまさにメレフのブレイドとして相応しい立ち回りで良かったです。昔の自分が知りたいとシンに問いかけるし、かと言って自分の目的ばかりじゃなく帝国軍のブレイドとして立場をわきまえてるし。
ジークとサイカ
ジークは果たして大人なのか
ジークとサイカのやり取りはかなり好きです。
しかしジーク自身、大人になりきれていない部分もあるのに「見守るのが大人の務め」「それが大人っちゅーもんや」など妙に大人を強調するのがちょっと腑に落ちません。
難民キャンプを見ての感想や、「本当は自分たちはアデルの子孫ではない」と偽っていた歴史を説明する父親に対しての台詞はなんだかな…ともやもやしながら見てました。
また序盤のギャグシーン戦犯その2がジークですが、一応「すごく運が悪い」で説明されています。パーティインした際「どっかで運が悪い出来事が起きるんだろう」と思ってましたが、それ以来さっぱり起こらなくなりました。「かめあたま」なんて気持ち悪い台詞をニアに吐かせたくせに自分は「大人」ですか。そうですか。
サイカ…サイカは…よくわかりません…。あまり他のメンバーと話した記憶もないですし、とにかくジーク大好き以外に見当たるものがない…。
まとめ
キャラ同士がお互いどう思っているのかが全体的に説明不足だったり、妙に繋がらなかったりして素直に感情移入できなかったのが今作を楽しめなかった要因だと思います。
特にレックスがホムラ&ヒカリと共に楽園へ行きたい理由がはっきりしないのと、ホムラとヒカリが分かれている必要が全くないのがかなり致命的でした。
終盤ではひたすら「レックスならこの世界をどうにかできるかもしれない」という話になるので、彼を好きになれないと辛い展開だと思います。
元々キャラデザ一新で不安だったのですが、PV見てこれは買うしかない!と思っただけに悲しいです。本当に見た目通りの展開になってしまった…。
楽しんでる方々の水を差すような記事で申し訳ありません。が、否定的なことを吐き出せる場所もないように感じたので愚痴として記事にしました。
それではこの辺で。