【サッカー】乾、10番継承 負傷・中島の「思い背負う」2019年1月7日 紙面から
【アブダビ(アラブ首長国連邦)松岡祐司】サッカーのアジア杯に臨む日本代表に、頼もしい援軍がやってきた。MF中島翔哉(24)=ポルティモネンセ=の故障離脱に伴い、追加招集されたMF乾貴士(30)=ベティス=が6日、チームに合流した。悔し涙を流したW杯ロシア大会決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦以来、実に6カ月ぶりとなる待望の復帰。「日本代表への思いが消えることはない。力になりたい」と静かに意欲を口にした。 穏やかな表情で、乾はアブダビの地に降り立った。1次リーグ初戦・トルクメニスタン戦(9日)までわずか3日。森保体制下では初招集、しかも開幕直前の緊急事態とはいえ、W杯躍進の立役者だ。その胸中には、不安も戸惑いもなかった。 「自分としては、迷いなく来られた。ここでチームの力になりたいという思いがあったので」 W杯1次リーグ・セネガル戦、決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦で鮮烈なゴールを挙げた。その右足で日本を引っ張り上げた。見せつけた決定力、味わった屈辱。成果も反省も、全てがかけがえのない収穫だった。 だから、夢舞台の激戦を終えても、心の灯火が消えることはなかった。新天地のベティスで不遇の時を過ごしながらも、「ずっと日本代表に対する思いはあった」。代表戦の映像を目で追い、イメージを膨らませる作業は欠かさなかった。乾は「若手がすごく躍動しているのを見て、一緒にやってみたいなと思っていた。追加招集でも来られるのは、すごくありがたい」と、千載一遇の好機に感謝した。 負傷で離脱した中島について、乾は「楽しんでいる姿を見ていた。自分も同じタイプ。あいつの思いも背負って、楽しいサッカーを表現できるようにやっていければいい」と思いやった。ドリブルと右足の決定力、背番号10を引き継ぎ、アジアの王座奪還という勲章へと昇華させたい考えだ。 「(乾の追加招集を伝えられ)W杯メンバーはざわつきましたね。経験と明るさをもたらしてくれる。これはすごく大きい」と、盟友の長友は心から歓迎した。実力は文句なし。無邪気で明るい乾の加入は、森保ジャパンの追い風になるはずだ。
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