アインズ様の死んだふり大作戦!   作:アインズ様!
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ついに最終回です!
涙あり笑いありの回となっております!
心してご覧ください


最終回 青の薔薇の場合

うーんNPC達の反応を見るのも楽しいけど、皆んな似たような反応ばかりで飽きてきたなー。

 

あっそうだ!現地人の反応も見てみたいな!

よしそうと決まれば早速作戦会議だ!

 

 

 

「なるほど作戦の内容は承知しました、このデミウルゴスアインズ様のご期待に添えるよう全身全霊で努力させていただきます!」

 

「うむ、デミウルゴスよ宜しく頼むぞ」

 

「かしこまりました!アインズ様!」

 

よし!狙いは誰にしようかな?ふふふ楽しみだなー

 

 

 

 

 

リ・エスティーゼ王国のアダマンタイト級冒険者である、青の薔薇は絶体絶命のピンチに陥っていた。

 

 

 

 

事の発端は、青の薔薇へ依頼の指名が来たことだった。

依頼の内容はトブの大森林にて正体不明の魔物が確認され、調査に向かったミスリル級冒険者チームとゴールド級冒険者チームが消息を絶った。

これにより人類最高峰の冒険者チームであるアダマンタイト級冒険者チーム青の薔薇に依頼の目処が立ったのである。

 

 

「ミスリルとゴールドの連中がやられちまうとは相当強力な魔物か?なぁイビルアイ考えられるとしたらどんな魔物だ?」

 

トブの大森林で足を進める一団がいた。そうの内の1人戦士ガガーランがイビルアイに問い掛ける。

 

「さぁな、トブの大森林は人類未開だ、もしやすると一般には知られていない魔物かもしれん。」

 

そう答えるのは小柄で仮面を被っている魔法詠唱者イビルアイである。

 

「そうね、油断は禁物よ、気を引き締めて行きましょう。」

 

リーダーであるラキュースが場を纏める。

 

「止まって!何か聞こえる!」

 

ティアがそう叫ぶと皆んな一斉に戦闘態勢を取り、いつでも対応できるようにする。

 

皆んなが静まり返った所でかすかに聞こえてきたのは悲鳴。

それも幼き少女の悲鳴。

 

皆んなが目を合わせ静かに頷きあう。

 

「ティアとティナは先行して様子を見てきて!イビルアイは不可視化して2人の援護に回って!ガガーランは私と!」

 

ラキュースが素早く指示を出し確実行動を開始する。

声の在り処へ足を進めると森が開けて広場が見えてくる。その中心で今にもトロールに食べられそうになっている少女がいた。

 

ティアとティナが素早く近づき一瞬でトロールを切り裂き、少女を助ける。

 

周囲にほかの魔物がいない事を確認すると青の薔薇が少女へと集まってくる。

 

「大丈夫?どうしてこんな所で1人でいたの?」

 

ラキュースがうつむき泣きじゃくっている少女へと声をかける。

が、しかし少女は泣き止む事なく顔を下に向けている。

 

「鬼ボス泣かした」

 

「なっ違うわよ!ーーーねぇもう大丈夫だから泣かないで?お家まで連れてってあげるから」

 

すると少女は泣きやみこう呟いた。

 

「助けていただきありがとうございます」

 

その声は可愛いらしさからはかけ離れたどこか冷たい声。

全員が何かおかしいと感じた時イビルアイが叫ぶ。

 

「皆んな離れろォォォ!!」

 

その声を聞いて瞬時に少女から距離をとる青の薔薇の面々。

 

「イビルアイ一体どうしたの?!」

 

「この声間違いないあの時声だ!」

 

その声にイビルアイは聞き覚えがあった。

冷徹で残酷なあの悪魔、国堕としと言われる自分でさえ、手も足も出なかった最悪の存在。

 

「ヤルダバオトだ!間違いない!」

 

青の薔薇に囲まれる形の少女が突然笑い出す。その瞬間辺りの温度が一気に下がる気がした。

 

「ククク、この程度の幻術に気づかないとは全くもって情けない…どうもご紹介にあずかりましたヤルダバオトと申します。」

 

少女の姿が歪みやがて現れたのは不気味な仮面を付けた悪魔、真っ赤なスーツを着こなす姿は紳士のように見えるかもしれない。しかし下半身から伸びる尻尾が人間ではない事を証明していた。

 

「お前がなぜこんな所に?!クソッ私が時間を稼ぐ!その間に全力で逃げろぉぉぉぉ!!!!!」

 

「申し訳ありませんがそれは出来ないですね。この辺り一帯に強力な幻術をかけておりますのであなた方程度の実力では抜け出すのは不可能です。」

 

そう聞いて辺りを見回すと確かに森がゆらゆらと揺らめき強力な幻術の力を感じる。

もはや逃げ出すのは不可能と知り青の薔薇の間に絶望が漂う。

相手はティアとガガーランを一撃で死に至らしめ、メンバー最強のイビルアイを持ってしても絶対に勝てないと言わしめる相手。

 

「モモンさまぁ…」

 

思わずイビルアイの口からこの悪魔に対抗できる唯一の存在にして恋を募らせる人物の名前が漏れる。

 

その名前を聞いたヤルダバオトが微笑む。

 

「ご安心下さい。皆様を殺したりはしません。何故なら皆様は漆黒の英雄モモンを釣るための餌なのですから」

 

その瞬間全員が事の真実をさとる。強力な悪魔ヤルダバオトに対抗できる唯一の存在漆黒の英雄モモン。彼を倒すために利用されたのだと。

 

「ですが対抗出来ないように少し痛めつけさせていただきます。」

 

次の瞬間目にも止まらぬ速さで青の薔薇のメンバー達がやられていく。

 

「では主役をお待ちしましょうか」

 

その呟きを最後にイビルアイは意識を落としていった。

 

 

 

目を覚まし辺りを見回すとここがトブの大森林ではなく闘技場のような場所だと認識する。

 

「帝国か?いや違う…どこだここは?」

 

そこは過去に行ったことのある帝国ではなかった。

両隣を見るとそこには手足を鎖で繋がれて身動きの取れない状態にされている仲間たちの姿があった。

よく見ると自分も身動きが取れないようにされていた。

 

「皆んな無事か?」

 

「イビルアイ、私は何とか大丈夫ティア、ティナ、ガガーランはどう?」

 

「俺っちも何とか生きてるぜ」

 

「同じく」

 

「同じく」

 

メンバーが無事なのに安堵していると目の前に元凶の悪魔が現れる。

 

「皆様おはようございます。ここは私が用意した場所でございます。それと皆様に朗報です。漆黒の英雄モモンが到着したとの事でございます。皆様は英雄の最後を特等席で鑑賞できる席をご用意しました。存分にお楽しみくださいませ。」

 

その言葉を聞いて思い出す、自分が罠にはまりモモンを殺すために利用されている事を。

 

「人質を取るなんて卑怯だわ!正々堂々と戦いなさいよ!」

 

ラキュースが叫ぶ。

 

「悪魔に向かって言う言葉ではありませんねぇ、それと騒がしいので少し黙って貰えますか?」

 

ヤルダバオトが何か魔法でも使ったのだろうかイビルアイ以外誰一人として口がきけなくなる。

 

「なっ何をした!」

 

「おや?貴方には効かないようですね、まぁ良いでしょう。さぁきましたよ」

 

 

悪魔に連れられてやって来たのは漆黒の英雄モモン。

 

「ヤルダバオト!約束通りきたぞ!皆を解放して貰おうか!」

 

「モモンさまぁぁ!私達のことは良い!ヤルダバオトを倒してくれ!」

 

「フフフ、約束を覚えていますか?貴方の命と交換で解放すると言ったのですよ?さぁどうしますか?」

 

「わかった、この命差出そう!だが約束を違えるなよ!ヤルダバオト!」

 

「さすがは漆黒の英雄モモンだ正に貴方こそ英雄と言える存在!勿論約束は守らさせていただきましょう!」

 

ヤルダバオトがモモンに、向かって足を進める、対するモモンは微動だにせず佇んでいる。

 

「モモンさまぁぁ!ダメだ!そんなやつ信用できない!頼むから逃げてください!」

 

「すまないイビルアイ…私はお前達、いやお前を見捨てる事なんて出来ないんだよ…」

 

「ではさようなら英雄モモン貴方の事は一生忘れないでしょう!」

 

ヤルダバオトの鋭利な爪が伸びモモンを切り裂く、鎧から血が溢れ出しモモンが膝をつく。

 

「いやだぁぁぁぁぁぁ!!!!!やめてくれぇぇぇぇ!!!!!」

 

イビルアイの叫びも虚しくヤルダバオトは次々と攻撃をする。

鎧は砕けて血塗れの姿を晒す。

初めて見るモモンの顔、想像よりも若くそれでいて逞しい。まさに英雄に相応しい整った顔立ちだった。しかしその顔は苦痛に歪み頭からは血が止めどなく流れ出ている。

 

「頼む!私の命はいらない!その人を殺さないでくれ!!お願いだモモンさま!対抗してくれ!逃げてくれ!ーーーーー好きなんだ!!!!愛しているんだ!!!おねがいだから死なないでくれ……」

 

「イビルアイ……あぁ私もーーー」

 

しかしその言葉は最後まで放たれる事なくヤルダバオトによって心臓を貫かれる。

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁ!!!!ももんさまぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

パタリと地面に倒れ落ちピタリと動かなくなったモモンを見て喉がはち切れんばかりに叫ぶ。

 

「では約束通りあなた方は解放させていただきます。せいぜい自分達の無力さを恨みながらこの先生きていきなさい。では」

 

ヤルダバオトが姿を消す。

 

そこに残っていたのはもはや人としての原型を留めていないナニかと、絶望などでは言い表せない表情をした青の薔薇の面々だけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様今までありがとうございました!




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