アインズ様の死んだふり大作戦! 作:アインズ様!
<< 前の話 次の話 >>
自分でしっかりと読み直したところあまり良い作品とは言えないと自覚し、急遽作り直してみました。
前回の話は自分への戒めとして消さずに残しておきます。
この話は前話との関連性はありません。
新しいストーリーとしてお読みください。
時計の針が二時を回り、睡眠を不要とする種族以外は大抵眠りに就いているであろうこの時間に山積みとなった資料一枚一枚に目を通している人物がいた。
睡眠を不要とする種族──異形種《アンデッド》である。しかしこのアンデッドの姿は墓場に現れるような下級のアンデッドととは遠くかけ離れている。
黒と紫を基調としたローブに身を包み、そのローブには豪華な金の装飾品が飾り付けられており、その煌びやかさは一目見るだけで思わず息をのんでしまう程の輝きを放っている。
そうこのアンデットこそナザリック地下大墳墓の絶対支配者にして四十一人からなるギルド、アインズ・ウール・ゴウンの長であるアインズである。
「アインズ様、もうかなりの時間職務についておられます。そろそろ休息を取られてはいかがでしょうか?」
そう言って部屋の隅に控えていた黒服の執事、セバス・チャンがアインズに問いかける。
「むっ?もうこんな時間か、いかんいかんつい時間を忘れて没頭してしまっていたな、セバス長時間付き合わせてしまってすまない」
「何を仰いますか、至高の御方に仕えることこそがこのセバスにとっての最高の至福のひと時でございます。何なりと申し付けくださいませ」
「えー…いや、んんっ!そうかセバスお前の忠義を有り難く受け取ろう、では私は自室で少し休むとする」
そう言ってアインズが立ち上がりセバスを供に自室へと足を踏み出した瞬間であった。
執務室に低い唸り声が鳴り響いた。
セバスはそれが自ら発せられた音ではない事を理解すると共に、最悪の事態に気がつく。今この執務室にいるのはセバスとアインズ二人のみ、だとするとこの声の主はアインズの物かもしれない。そのことに気づくと瞬時にアインズの方に顔を向ける。
視界に映ったのは、片膝をつき苦しそうに胸に手を当てて前のめりに倒れて行くアインズの姿であった。
「アインズ様っ!」
セバスは瞬きする間もない程のスピードでアインズの元に駆け寄り、体を支える。
「アインズ様!どうなされたのですか!しっかりしてくださいませ!」
セバスの必死の問いかけに帰ってきたのは、アインズの苦しそうな唸り声だけだった。
セバスは部屋の外に待機しているメイド、リュミエールを大声で呼びつける。
「はっはい!失礼します!どうされました…アッアインズ様!セバス様これは一体「リュミエール今は長々と話しをしている時間はありません。今すぐペストーニャを呼んできてください!」
いつも冷静で落ち着いていた上司の見たことのない焦った表情とその腕の中で苦しそうに倒れ込んでいる自分の仕えるべき主人の姿に、頭が混乱し今にも泣き出しそうなリュミエールだったが、何とか気持ちを抑え込み自分達メイドの長であるペストーニャを呼びに足を走らせる。
リュミエールが今現在走っている場所はナザリック地下大墳墓第九階層、至高の四十一人の方々の自室がある場所である。こんな場所を走ろうものなら直ぐにでもメイド仲間達から叱咤されセバスやペストーニャに何時間も説教をされるであろう。
だが今はそんな事を気にしている場合ではない、先程の光景が頭によぎる。アインズはこの地に残られた最期の至高の御方でありアインズがいなくなると自分は一体誰に仕えれば良いのだろうか、自分の存在意義が無くなってしまうのではないかと思い、これ以上は不敬であると考え思考を打ち切る。と同時に食堂の文字が目に入る。
ペストーニャがいつもこの時間に夜食を食べに食堂に来ているのは知っている。勢いよく食堂のドアを押し開け中に視線をやり、ペストーニャを見つける。そしてこう叫んだ。
「ペストーニャ様!今すぐ執務室に来てください!────アインズ様がお倒れになりました!」
そう告げた次の瞬間、食堂は阿鼻叫喚の嵐に包まれた。
ありがとうございました
全てを書ききることが出来ませんでしたので、数話に分けて投稿しようと思います。近日中にはアップする予定です。
よろしくお願いします。