【サッカー】柴崎「優勝以外は失敗」 全試合フルでやる2019年1月6日 紙面から
【アブダビ(アラブ首長国連邦)松岡祐司】サッカーのアジア杯に臨む日本代表に5日、激震が走った。MF中島翔哉(24)=ポルティモネンセ=が直近のリーグ戦で右ふくらはぎを負傷し、チームを離脱することが決定。1次リーグ初戦・トルクメニスタン戦(9日)を前に攻撃の核を失う緊急事態にあって、MF柴崎岳(26)=ヘタフェ=は4日の練習後、「優勝以外は失敗。負けて得られるものはない」と、アジアの覇権奪還を絶対目標に掲げた。 柴崎はすでに腹をくくっている。その決意を公言するのに、何の抵抗も、ためらいもない。 「優勝以外は、自分の中では失敗かなと思う。『経験を糧に』と言ってられない年代、立ち位置にもなった。負けたら、多くの責任を感じる立場でもある。それくらいの強い覚悟でここにやってきた」 W杯ロシア大会では全4試合に先発出場した。攻守で欠かせぬ働きぶりを見せた一方で、肝心な場面、局面で力不足を痛感した。ただ、単なる技術、戦術以前に、「体にまとわり付くものがあった」と振り返る。日の丸を背負う誇りや重み、責任感を突き付けられ、チームに「貢献したい」から、中心選手として「どう貢献するか」という確固たる自覚が芽生えた。いつもはクールな男が、内に秘めた闘魂をあえて言葉で表現するようになった。 中島、守田が故障で戦列を離れ、同じボランチの遠藤は発熱の影響で出遅れている。ただ、柴崎自身は「言葉は悪いかもしれないが、彼らがいてもいなくても、僕は全試合に出て、フルでやるつもりでいる。決意と自信、責任感も感じている」とまるで動じない。 柴崎に求められるのは「勝利する」「攻守をコントロールする」に、プラスアルファ。それは、チーム全体を見渡し、時に言葉で、時に態度で引っ張っていくリーダーシップにほかならない。言い換えれば「真の中心軸」への脱皮でもある。 柴崎は「負けて得られるものはほとんどないと思っている」と言い切り、「勝つことだけで得られる、優勝者だけが得られる自信と誇り。それが、最後の4年間の集大成であるW杯のチームにもつながると思う」と明確な考えを明かした。勝ってこそ、道は開ける。日本の原動力となり、柴崎がアジアの頂点へ導く。
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