【大相撲】28歳・竜電、幕内最優秀新人賞 中日スポーツ、東京中日スポーツ制定2018年12月30日 紙面から
中日スポーツ、東京中日スポーツ制定の第55回大相撲幕内最優秀新人賞に29日、東前頭7枚目の竜電(28)=高田川=が選考委員による投票で決まった。来年1月13日の初場所初日の中入り前に、東京・両国国技館の土俵上で表彰式が行われる。 28歳という年齢での新人賞。竜電は「新人っぽくないですけどね」と少し照れくさそうに笑ったが、「一生に一度の賞ですから、うれしいです」と喜びをかみしめた。 新入幕は今年の初場所。序盤は1勝3敗と黒星が先行したが気持ちを切らすことなく5日目以降は9勝2敗と見事に巻き返し、敢闘賞も受賞した。6場所のうち4場所で勝ち越し、九州場所では自己最高位の西前頭3枚目まで番付を上げた。上位の壁にはね返されたが、7日目には2分近い大相撲で大関高安を寄り切る殊勲の星を挙げた。 竜電に対する評価は、この1年についてだけではない。芝田山広報部長は「関取(十両)から序ノ口に落ちたが、幕内上位まで番付を上げ、優勝争いの大関高安を粘り強く寄り切った」と話した。 新十両だった2012年九州場所の8日目に右股関節を骨折。その後も同じ場所を2度骨折し一時は序ノ口まで落ちた。力士生命すら危ぶまれる大けがを乗り越え、入門から13年目で新入幕。「これで終われないと思ってました。努力をすれば、と希望を持ってやってきました」という竜電の姿勢を称賛する声が、選考では多く上がった。 竜電にとっても、そんな声は励みになっている。「みなさんにそう見ていただけることはうれしいことです。もっと頑張ろうと思います。ここ2、3年は相撲を取れる喜びを感じています」。すでに来年の目標も定めている。「三役になりたいですね。それはずっと目標です」。28歳のオールドルーキーは目を輝かせた。 (岸本隆) <竜電剛至(りゅうでん・ごうし)> 本名は渡辺裕樹。1990(平成2)年11月10日生まれ、甲府市出身の28歳。190センチ、152キロ。高田川部屋。2006年春場所初土俵。12年九州場所新十両も、故障で14年初場所は序ノ口まで番付を下げる。同年秋場所から序ノ口、序二段、三段目で3場所連続全勝優勝し、16年九州場所で十両復帰。今年の初場所で新入幕。得意技はもろ差し、寄り。趣味は食べ歩き。
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