初場所に進退の懸かる横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が30日、東京都江戸川区の部屋で年内の稽古を打ち上げた。2日ぶりとなる弟弟子の大関高安(28)との三番稽古では、右で前まわしを引く攻めを軸に15勝3敗で締めくくった。
「思い通りにいかなかった一年。良いことは、ほぼなかった」
8場所連続休場明けの秋場所で10勝を挙げたが、九州場所では右膝を痛めて白星を挙げられないまま途中休場。年の瀬らしく、苦い思いを“大掃除”するようにみっちり汗を流して追い込んだ。ぶつかり稽古もこなし、稽古終了時には誰よりも砂まみれになっていた。
右前みつを狙う立ち合いは、秋場所前に重点的に取り組んだ形。「心掛けたところはあるし、まわしが取れたらという意識。当たり負けせず、前に出ること」と新たな勝ちパターン確立を必死に模索している。
平成最後の東京場所へ、来年1月2日から再始動する。右膝も不安はない。「来年こそはという感じ。自分次第だけど、良いスタートを切りたい」。気合十分で、力士人生を左右する2019年を迎える。 (志村拓)