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(萬平)東京は…。社員への奨学金が脱税と判断されて進駐軍に逮捕されてしまった萬平さん。
罰金7万円を払うために東京の会社とダネイホンの販売権を売却せざるをえませんでした。
ところが…。財務局です。
追い打ちをかけるように東京財務局が たちばな栄養食品に10万円の追徴課税を請求してきたのです。
(東)国を 訴えましょう。
萬平さんは 東先生と一緒に精いっぱい抵抗しました。
そのかいあって…。
進駐軍は 立花さんを釈放するそうです。
それは この税金を払えば負けを認めるということですよね。
えっ?嫌です。
僕は 訴えを取り下げません。
かたくなな萬平さんの心をとかしたのはやっぱり福ちゃんでした。
(福子)ダネイホンを作り出したようにみんなを幸せにする何かを世の中に送り出すことがあなたが一番ほんまにやりたいことやないんですか。
そして…。
(克子)萬平さん。(忠彦)萬平君。
おお 源。 重くなったな 源。
やっと家族みんなが そろった。
ああ。
ウフフフ。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「頑固で面倒で 腹も立つけど」
♪「あなたの情熱は」
♪「あたしの誇りで自慢で覚悟なの」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
萬平さんが戻ってきて1週間。
福ちゃんたちは克子姉ちゃんの家に居候していました。
(幸の声)うわ~ ハハ。
よかった。 萬平さんやっと穏やかな顔になったわ。
(タカ)最初は夜中に うなされてたもんね。
(鈴)萬平さんが?聞こえてなかった? おばあちゃん。
せやかて 寝てるんやもん。
普通は 年寄りが真っ先に目ぇ覚ますもんやない。
私は まだ そんな老いぼれやありません。
・ごめんください。
来た。
はい。大阪毎朝新聞の小早川と申します。
立花萬平さん いらっしゃいますか。
ああ…。
タカちゃん 私が。
源 シ~ッ。
また新聞記者?うん。これで何人目?
本当に主人は留守なんです。
読者は知りたがってるんですよ。立花さんが進駐軍に捕まって4年の実刑判決を受けたにもかかわらず逆に訴え返して釈放された。
もう立花萬平は 英雄なんです。
いや 皆さんが主人を応援して下さったのはほんまに ありがたいんですけど…。立花さんの獄中生活や国を訴えた時の気持ちそういうことを伺いたいんです。
(源)お父さん。シ~ッ!
そういうご質問には もう たくさんの雑誌社や新聞社の方にお答えしました。
あの もう そ~っとしといて下さい。
お昼ごはんにしましょう。
巻きずし。昼間から ごちそうですね。
いろんなものが入ってるから栄養満点よ。
萬平さんのために奮発したのよ。
ありがとうございます。ありがとう 克子姉ちゃん。
タカ。 お父さん呼んできて。はい。
・ごめんください。来た。
はい。大村と申します。半田です。
私どもは 苦しい生活をしている庶民から厳しく税金を取り立てる国に対して徴税反対の運動をしている者でございます。
はあ…。タカちゃん 私が。
徴税反対の人やて。何なの それは。
旗頭!?追徴課税に抗議して国を訴えた立花萬平さんは税金で苦しんでいる我々に勇気を与えて下さいました。徴税反対デモは 各地で行われております。
その旗頭になって頂きたい。
そやけど 結局 訴えを取り下げて追徴課税は払いましたよ。
国が そう頼んできたからでしょう。試合には負けても勝負には勝たれたわけですよ立花さんは。
申し訳ございません。主人は お力になれないと思います。
デモの先頭に立てって言われてもな。
萬平さんはそういうことができる人やありません。
ああ。萬平さんは もともと 有名やったから。
萬平印のダネイホン。
今度のことでますます話題になってしもたんよね。
迷惑をかけて すいませんでした。
そのうち ああいう人たちも来なくなります。
源 すごい こぼしてる。
そやけど これからどうするつもりやの 萬平さんは。
えっ?いつまでも ここで子どもたちと遊んでるわけにはいかないでしょう。
しばらく のんびりして気力体力を養えばええよ。
そうそう。しばらくって…。
萬平さんは ちゃんと考えてます。
追徴課税で10万円取られてしまいましたけどまだ2万円 残ってます。それを元手に…。
何を作るの?いや それは…。
何を発明するのよ。いや 発明って…。
それを 今 考えてるんよ。
もうええやないごはん食べてる時に そんな話。
何や これ。 ポロポロ ポロポロ。ごめんなさい。 それ私が作ったの。
何も思いつかないんやったらもう堅気の仕事に就いてほしいわ。
何か作ろうやなんて考えるのは やめて。
どうして そうなるんよ。
そやかて いつまでもここにいるわけにもいかないし子どもたちも養っていかないといけないんやから。
萬平さんは なんとかしてくれます。もう僕の話は…。
忠彦さんかて前は売れない画家やったわ。
(せきこみ)お母さん いろいろ言うてたでしょ。
どうしようもないとか 情けないとか。水。
大丈夫? 忠彦さん。そんなこと…。
言うてた。お茶でもええ?何でもいい。
せやけど 今は忠彦さんの絵はみ~んな売れるわ。
私の見る目は正しかった。そやから何よ。
だから 萬平さんも心配することないんよ。
一回 ダネイホンで大成功してるんやから。
ああ 死ぬか思た。ああ よかった。
びっくりしたあ。食べましょう。
重之君も学君ももうすぐ学校から帰ってきますよ。
ああ あと吉乃ちゃんも。食べよう お母さん。
・ごめんください。
来た。
はい。
(神部)タカちゃん…。
神部さん…。
ああ 神部さん。
見てきました。大阪大学の合格発表。
合格発表? 今日だったのか。そうです。
どうして話してくれなかったんだ。そんなことは どうでもいい。
あえて話題にしなかったんや。タカが触れないでくれって言うから。
タカちゃん 自分で見に行くのが怖いから僕に行ってくれって。
そんなことは どうでもいいの。結果は どうやったの。 タカは 聞いたの?
まだ。 一人で聞くのは怖くて。
で どうやったんですか 神部さん。
結果は…。
ああ~…。
合格です。おめでとう タカちゃん。 ハハハ。
どうして そんなことするのよ。もうやめてよ。
(神部)すいません。合格?
駄目やったのかと思ったやないか。僕もだよ。
寿命が縮まったわ!普通に言うと おもろない思て。
合格?普通に言えば ええやない。
受かったあ~!タカ おめでとう!
(忠彦)大阪大学やぞ タカ。おめでとう。
おめでとう タカちゃん。
(鈴)さすが 私の孫やわ!
(タカ)よかった~。(克子)頑張った 頑張った。
(吉乃)大学卒業したらお嫁さんになるの?タカ姉ちゃん。
(学)誰のお嫁さん?(重之)神部おじちゃんやで。
よろしくお願いしますお義父さん お義母さん。
まだお義父さんやない。
タカが卒業するまでに一人前になって下さいね。
もう神部さんは一人前よ。
北浜食品で 先頭になってダネイホンを作ってるんやから。
神部さんは 班長さんなんやから。
もっともっと偉くならないと。はい。
ダネイホンの売れ行きは どうだ。
悪くはないですが 今は競合の商品がぎょうさん出てきてますから。
うん そうか…。
ほんまは ぼ…。
何でもありません。
ほんまは? 何?どうしたの?
ほんまは… 僕は 萬平さんと一緒に仕事がしたいんです。
タカちゃんと結婚したら萬平さんと親戚になるわけやし。
神部君…。
ありがとう。
そやけど 今 萬平さんは何もしてないから。
お義母さん。また そんなこと。
萬平さんが今のままでいるはずがありません。
僕が必要になったらいつでも声をかけて下さい。
ありがとう 神部君。
みんなが ほっとかない萬平さん。
そして福ちゃんと萬平さんの運命を変えるこの人がやって来たのです。
(大鳥)あ… 私 大鳥屋という織物業を営んでおります大鳥勘一と申します。
あ… えっと… 大鳥さん?
あの こちらに立花萬平様が いらっしゃると伺って池田から やって参りました。
池田?ご存じですか。
はい。おおきに。
それでですが 立花萬平様はおられますか。
え… どういったご用件でしょう。
池田の産業発展のために 是非立花萬平様のお力を貸して頂きたい。
えっ…。立花萬平様にどうか お引き合わせ下さい。お願いいたします!
ちょ… ちょっと待って。
お願いいたします!ちょ… ちょっと待って下さい。
♪~
立花萬平様。
お目にかかれて 光栄至極に存じます。
私 池田で織物屋を営んでおります大鳥勘一と申します。
池田で。敏ちゃんがいる所。
ああ あの福子の親友やった。確か 薬剤師になった。
そうそう。今は結婚して池田に住んでるの。
ええっ! なんと 立花萬平様と私にそのようなご縁があるとは!
これは まさしく 天の巡り合わせや。
いや いや いや…。
実は この度池田を経済発展させるという目的で信用組合を作ることになりました。
信用組合。その名も 池田信用組合。
(2人)そのままや。
池田信用組合には大阪の大手 梅田銀行さんが資金援助をしてくれることが決まっております。
梅田銀行が。そのお金を元手にして池田の中小企業に融資し助けていく。
至極 まっとうで健全な組合であります。
はあ… えっ それで?
その池田信用組合の理事長に立花萬平様 あなたに なって頂きたい!
はあ?(2人)ええっ。
理事長!?