俺は超越者(オーバーロード)だった件 作:コヘヘ
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竜王国に攻め込むビーストマン達を、
俺の超越者(オーバーロード)の能力で六大神…
あの『エレア』の残したワールドアイテム『乞食の肉』を吸収し、彼らに分け与えることで撤収させることに成功した。
世界を救おうとした慈悲深き『魔王』。全てが平等だとばら撒いた『竜』。恐怖を与える『死神』。
この組み合わせでこの国は、平和に向かっていた。
ビーストマン達に占領されていた平原を貸し切り、狭くて広い洞窟からツアーを出した。
八欲王のギルド武器は現在ナザリックNPC包囲網により、完全に安全だとツアーに理解してもらえた。
「流石は『魔王』…我が復活してからこれまで完璧。見事なお手並みでございました!」
スルメさんはそう言って、自ら望んだワールドアイテム『乞食の肉』を食す。
…本当に食べてしまったのか?
「はぁ…スルメさん。今の俺は人化した『魔王擬き』ですよ。
幻術と完全催眠で外目わからない様にしているけど。
ワールドバフ持ちなんだから見破れているでしょうに…」
そう。この三人には俺の人化維持方針を伝えてある。
俺は本来、『魔王』ではなく一般人。
パンドラズ・アクターとナーベラル以外で気軽に話せる存在に苦笑する。
「我はもう『死神』ですが、我が尊敬する盟主『魔王』様はこの世でただ一人。
どのような存在でも変わりありません!」
そうオーバーリアクションを取るスルメさん。
彼はもう人化を望んではいなかった。
俺と違い仲間達と共に過ごした彼は、変質しても偏執しなかったという。
正直羨ましい気持ちもある。だが、俺は俺達の作った息子に救われた。
…今思うと、スルメさんはパンドラズ・アクターに少し似ている。
会わせないようにしよう。いくら黒歴史を受け入れていても辛い。
「ねぇ、モモンガ?」
ツアーが尋ねる。スルメさんがこの『世界』で出来た誇るべき友人だという。
今では、というか最初から変態共の愚痴で仲良くなった。
…ある意味スルメさんのお陰だが。
「何だ、蜥蜴よ!我が賛辞を邪魔する気か!」
コイツ、本当に友達で良いの?目で合図する。
目を逸らされる。うん。
「児戯は辞めよ」
魔王ロールでスルメさんを止める。
「御意」
止まった。
「「はぁ…」」
これは毎回続くのだろう。嬉しい反面面倒臭い。
「…これから君はこの『世界』をどうするつもりなんだい?」
ツアーは尋ねる。
多分この『世界』の守護者として聞いているのだろう。
だから俺は正直に話す。
「この世界の全てを探そう。きっと素晴らしい『世界』が広がっている。
どこまでもどこまでも永遠に」
答えになってない。
だが、俺達は笑い合う。
これから先どれだけの困難が、未知の脅威が沢山あるかもしれない。
だが、この『世界』はどこまでも美しい。いつまでもいつまでも飽きることはないだろう。
仲間達との思い出をも飲み込む『世界』。
例え、どんな脅威からもきっと守ってみせる。
最初の覚悟と同じ、だが含まれる感情は別の覚悟を『世界』に誓った。
これまで読んで下さりありがとうございました。
これ以外に
王国の貴族邸消失事件や(未遂に変更)
竜王国の女王を哀れんだり
プレイヤーの痕跡探したり
思わぬ再開が待っていたり
ンフィーレア少年が某性癖を覚醒させたり
しますが、それは後のお話。
追記
第二部開始しました。
第一部最終回は第三部の未来のお話です。