2007年11月17日にIGDA日本開催のゲーム開発者セミナー連続企画:新世代CG表現の事例報告 ~第3回~ 板野一郎氏が語るCG映像演出の過去と未来に行ってみました。
基本的にセミナー中にメモったものを起こし直したので、 聞き漏らしたり、勘違いしているところがあると思います。すいません。
 自分のことは「表現者」といっている。
 アニメーターではない。
 大事なものに対して、「意図」を拾って表現する。 
  言葉、活字、として読んで、ないたり笑ったりする。
  伝わった人が受け取ったときに、泣くのか笑うのか。
  企業の歯車ではない!感動させる仕事。
  楽しませる仕事はサービス業で、感動を作らなければいけない。
  その分、自分も感動していかないといけない。
   別に3次元でなくても2Dのレイヤーを重ねてもカッコよければいいよね。
  望遠鏡を反対に見ると小さく見える。
   これは子供のころやったよね。
   表現者は、これを続けていかなくてはならない。
 参加者の皆さんは、スキルは持っているのでしょう。でも、楽しませることが磨かれていないのかなぁと思う。楽しみ方を知らないと、楽しませられないんじゃないの? 
 演出家として楽しませる
  リモコンを飛ばして、スターデストロイヤーみたいに見せる。
  レンズをもったまま歩かせて、ガンダムのように感じさせる。
  パンチ:構え->引き->ため(つぶし?)->伸び
  いすに立たせて:いきなり押してよろめかせる
   ゆっくりな動作でも、非常に迫力が出る。
  他の人が同じ事をしたことをダメだし
   リモコンが寄っていない:広角の効果が小さい
  こういうツメの甘さがプロとアマの差:まねする時もどこを見て応用していくか
 椅子に座って作業するだけの人に子供の頃、こんなことをしていたでしょと教えたい。 
 状況説明:望遠レンズと標準レンズを使って車が走っているシーンを描いた。
  望遠レンズ:男性用の車のCMに多い
    スピード感
    デザイン本来の姿を見せる
  標準レンズ:女性用の車のCMに多い
   親しみやすく
    町の中で便利
    デザインは気にしない 
 状況説明:近くで見た絵(傾いている)と遠くからみた絵を描いた
  近くから見た絵:若い人
   冒険好き(傾いて「不安定」に見える)
   アンバランス感
  遠くから見た絵:大人向け
   守りたい家族がいる(水平平行を保つ) 
 ガソリン屋さんが売りCMの絵
  基本的に広角か標準(28-50mm)で全体を見せる
   最初:店とエンプレムを見せる:広角
   中盤:サービスを見せる:標準
    日常の生活観
   最後:車が立ち去るのを速っぽく見せる:広角 
 暗黙に何を入れているのか->それが意図
 ゲームの人は、スキルは高いんだけど、画面が眠くなったりとかメリハリなく感じる。
 ただ速くするんじゃなくて、予備動作をつけるとか、
 いろいろと考える余地があるんじゃない? 
 ゲームを難しくすることをあきらめて、家族で楽しませるようにしたのが任天堂がうまく言っている原因じゃない?
 今のユーザーを相手に売ることだけを考えて本末転倒になってない?
 楽しませる軸がぶれてない? 
みんなに見せたい絵を考えて、それにピントを合わせるようにしていけばいいんじゃない?
プレミアムエージェンシーさんが、板野さんに言われて心に残っていること
 □神眼:1フレームが見える(一瞬で、そのフレームがいらないと見抜く)
  昔のアニメはリテイクが簡単に出せなかった。
  1つでも多く見つけるために、みんなでリテイクを探す癖がついている。
  どちらかというと、継続は力なり
  目ヂカラで動体視力は100だった 
 Q.どうやってアニメを勉強したの?
 A.アニメスタイルに書いてある。好きで楽しみながら 
 □君たちの10倍忙しい。妥協するな(板野さんから言われたことを一週間ほっぽっておくとおこられる)
  今の若い人は自分のせいにしたがらない。それを戒め 
 □「どうすればいいんですか?」ではない。まず君がどうしたいかだ(どうですかと聞くと起こられる)
  自分で考えろ。
   攻略本かってクリアするのは最悪
   オハヨウの代わりにバカとか言いたくなる。
  板野さんがいなくても同じ仕事ができるように。
  間違いを恐れるな。 
 □オリンピックの3位と4位の違い
  メダルがあるかないかというだけだが、
  それによって、宣伝効果、その後の収入は大きく違う。
  0.00001秒違うだけでも、その差は大きい。 
 □マザーボードを変えろ(考える能力が足りないときに)
  最初はメモリを変えて、OSを変えろといっていた
  適当にやって、あとで修正すればいいやという考えは駄目 
 □リニア嫌い。最初からスケート靴履いて生活しなさい
  軌道に沿った流れだけしか作らないのはだめ
  わざといやみったらしくいっている 
 □よいモーションは、必ずリズムがある
  いい絵には、目線誘導が仕込まれている。
  適当に前後つなげだけでバラバラな絵を見たとき言う。 
 □動体視力
  めを鍛えてください 
 □詐欺師になれ。言い方がいやだったらマジシャンだ!最高のマジシャンになれ
  ちゃちくても、ばれなければよい。
  きっちりしたものを作らなくてもよい。
  マクロスのゲームを作っているときに、なかなかディフォルメモデルを作ってくれなかった。
   おもちゃがあったので、それを無理に動かして壊して、ポリゴンは壊れないんだから無理をしても大丈夫と(無茶な)指導した。 
 □俺たちは表現者なんだ!表現者としての自覚を持て!
  既出 
 アニメーションを伝えるときに使っていた方法
 弾むボールを見せる
 3種類の弾ませ方
  □補間割り
   
  □重力の効果
   少しつぶす(跳ね返ったとき伸びる)
  □つぶす効果を入れた手描き
   初動の動きも鈍い
   極端につぶす(跳ね返りで伸びる)
   跳ね返りの速度が速い(途中で) 
今給黎が心の中で思ったこと:補間割りの時に、放物運動してなくない?平等な勝負でない気がする…
 少年の立ち上がり
  □タップ割り
   腹筋で立ち上がる
  □演技を変える
   手前と奥を意識して描く
   体を横にして立ち上がる
   頭が重いだとか、腰からあげようとしているとか
   猫背にして立ち上げる 
 マクロスプラス:最後の手で描く作監。以降はCGを育てる方向に
  1カット作るのに3日(1カット5千円:凝れば凝るほど儲からなかった昔…)
  何が起きているか見えるように
  アメリカに行って空軍基地の盗撮(袖にマメカムを入れて…)
  お金を払えば飛行機を運転させてくれる(何が起きても訴えない契約書を結んだが)
  主人公は、最後にブラックアウトして伸びてしまう。自衛隊では実戦経験(10Gぐらい)がないので経験者が少なそう。アメリカに行った時に実際にやってみた。
   界王券みたいな感じ。
   伸びているときは、体が耐えられないのでひどかった。
   記憶がない状態。
   遠くからの呼びかけが最初は遅く聞こえた。
   目を覚ましたときに、どこにいるかがわからなかった。1分ぐらいで普通の感じになった。
   一人で飛んでたら、
   トップガンはひどい飛び方。
    バイキングでお尻がなくなる感覚。
    シェイクされまくり。
    方向がわからない。
    空がきれいだった(なので、ゼロのポスターが空の絵になった)
    バンダイの人はひどい人で、その後ブラックアウトの絵を描かせた。 
  戦闘はCG
  これもアメリカ行って飛んだ
  ドッグファイト中は、Gに耐えるため前を向いていられない。それをやった。
  だんだん、他の人に作業を移すようにした。
   そのスタッフはアクエリオンを作るようになった…
   自分は、その後ウルトラマンに言ったので、アクエリオンはやっていない
  若い人への伝え方のもどかしさ。
   それで口がうまくなっていった。
  雪風ですでにCGをやっていたので、トゥーンをやめることにした。
   (自分が好きだった)ハセガワのプラモの質感を目指した。
  空も紫などのありえない色を増せた
  むかつくのがステルスが、マクロスをぱくって平気でオリジナルのつもりでいること
  話がつまらない(絵はトップクラスなんだけど…) 
板野サーカスの特徴はミサイルが沢山飛んでいるだけではなくて、色々な情報が見えること。
  自分のコンテを理解してもらえなかった
  監督だけかばってくれた。
  ライティングの質感を合わせるのが大変だった。 
  2週間で180カット(ゲームをやっている人には信じられないスケジュールでしょう)
   モデリングなんかやっている暇はない。
   ラフモデルで作成し、最後に差し替えるとかやった。
  CG班の人は、今も板野サーカスを受け継いでがんばっているはず(死兆星が見えているけど…)
  実写の欠点は、ライトを置いているのが見えるので、へんなカットを作れないんだけど、CGはその制限がない。 
  来春公開予定
  若手を教えながら作っている。
  GONZOさんつぶれそうだけど…
   株主優先の目先の利益
   インスタントラーメンみたいなアニメが多い
   たぶん、どっかに買われるんだろうなぁ
   変われる前に株価を上げたい。
  自分が好きな企画をやってみたい
   色々なこだわりをしている
   GONZOの考え方の改革をした
    TVだから使えない…
    今のアニメーターは絵を描ける人がいない
    ->そんな言い訳をやめて、TVだからこそできるものを見て欲しい
     プリプロに時間をかけた
     少数精鋭で土台と柱を作った
     駄目なのは、できてからいちゃもんをつける人が出ること。
      首が取れるのを直せとか言ってきたりする
       GANTSはそれで…
     駄目ならローカル局でも…
   すぐにYouTubeに出ちゃうと思うんですよね。 
  すごいよね。キングコングから追いつけないという気がした。
  けど、話がつまらない
   恋愛?軍事話?中途半端
  でも、こいつは何とかなりそうという気がした。 
 Q.板野サーカスとゲームの違い
 A.あまりない。昔は、ゲーム映像はループで繰り返し見るものなので、細かく作っているようだが、いまはTVの映像もそんな感じにしている。
  マクロスのゲームはひどかったね(特にサターン)。
  なので、よいイメージはない1980円程度のゲームばかり。
  ムービーだけはがんばったという抵抗しかできなかった。
   VFX2でドックファイトしている2つの機体を、別の飛行機からのカメラでとるというのができたが、それはよかった
  ゲームはあきらめている 
 Q.3Dの人に足りないことは。
 A.人を楽しませると思っていない。 
 Q.ミサイルの軌道は?
 A.ミサイルの軌道は、アニメスタイルにきちんと書いてある。バカミサイル。天才ミサイルを作って追っかけ。 
 Q.自分で3DCGはしないの。
 A.自分が覚えたのは六画大王。あとは Premire, AfterEffects。
  覚えると自分でやりたくなる。するともどかしさがでる。
  たとえ話が通用しなかったりするのも、もどかしいが…
   「ライオン丸スイザンのきめポーズ」が通じない
   加速装置が通じなければクロックアップと、勉強している 
 Q.空間を捉えて動かすのは初めてだと思うが、なぜできた。(森田)
 A.若い人と話して、まじめすぎて間口が狭いと感じている。価値観が違うなかで理解しようとする働き。お客を損させないようにクライアントの要望を答えながら、価値観を認めてもらうものを作らなくてはいけない。
 Q2.立体を描けたのは?
 A2.コロンブスの卵の感覚(決め付け)
 工業高校の電子化で、3点透視の図面を書いていた。 
 Q.誇張表現をするときに、リアルにしたほうがよい部分(うそ臭い動きのためしょぼく見える)とリアルでなくてよい部分の線引きをどう判断しているのか?(今給黎)
 A.見えないところは、手を抜いて良い。 
 Q.トランスフォーマーのメイキングでも今回の話と同じようなことを言っていた。普遍的な話だろうか?
 A.そうだろう。 
 Q.日本のノウハウはアメリカでも通じるか、違うところは?
 A.アメリカは、独立して生きているか試される場所。
  実力を認めると手のひらを変えてくれる。それまではやな場所。 
 Q.ミサイルを追うカメラの場合、ミサイル相対においているのかグローバル相対に置くのか?
 A.ミサイルにストーカーがいる。一番きれいな軌道やきれいな煙に首を振っている。ミサイルはGを意識して動かしている。あえて変なミサイルを沢山作っている。 
 なんか、身振りなどの動作が他の人と違うなぁという感じがしました。
 キーフレームがあるような動きというべきか、原画が繋がって動いているという雰囲気がしました。 
話すときに問いかけが多かったなー。セミナー慣れの問題か?
ていうか、普通にラフに描いた時点で絵がうまくて速い。