レポート代行は違法なのか?

 レポート代行は違法なのでしょうか。調べてみました。

 

1.「レポート代行」の定義

 まずはレポート代行の定義ですが、「レポート代行」には複数の意味が有ります。第一に「誰かの代わりにレポート内容を100%代筆すること」。代筆ですね。第二に「資料調査や原案作成、添削等により、レポート執筆をサポートすること」。これは「教育支援」と位置付ける事ができます。第三に、第一の意味と第二の意味の中間に「模範解答の作成」が有ります。

 

2.法的な事例

 「模範解答の作成」に、法的には問題ないのでしょうか。調べた限り、「模範解答の作成」の他の意味も含め、レポート代行が犯罪とされた事例はありませんでした。

 

3.行政の見解

 「レポート代行」は宿題代行の一種です。文部科学省の見解は、次の記事に示されています。

「宿題代行」への対応について:文部科学省

 文章によると、メルカリやヤフオク等での「宿題代行」について、文科省と各社は「宿題代行に関する役務を提供することはこれまでも禁止としていましたが、宿題の完成品の売買についても禁止であることを明確化するとともに、宿題代行に関する出品を発見した場合には、速やかに商品削除等の対応を行」う事で合意したそうです。

 また、「宿題代行」とは「子供たちに代わって宿題を行う役務を提供することや,読書感想文や自由研究といった宿題の完成品を売買すること」を指すとの事です。

 

上記で「宿題の完成品」の売買を、明確に認めないと述べています。従って「第一の意味」「第三の意味」でのレポート代行を、行政は認めない事になります。レポート代行の第二の意味、「教育支援」だと微妙になります。何故なら、塾や予備校の出す「模範解答」や「指導」「添削」と似た業務と見なせば、問題がない事になる為です。

 

4.他業界との比較

ゴーストライター

 政治家や芸能人が著書をゴーストライターに書かせ、自分の名で発表する事はありふれています。そして当然、政治家や芸能人が罪を問われる事はありません。とは言うものの、政治家や芸能人がゴーストライターを使う事が望ましい事だと言う人は、多くないでしょう。レポート代行をゴーストライターの一種とすれば、同様の扱いになります。

ところが、意外なことに堀江氏に対する批判はあまり出てきていない。それどころか、ネット上ではゴーストライターの利用について「タレントや著名人の本では当たり前」「一概に否定されるべきものではない」「出版業界に定着している慣習をなぜ今さら暴露するのか?」といった擁護の声や、批判に対する疑問が多数を占めている。 

堀江氏小説ゴースト問題、出版業界の慣習としてもルール違反のワケ〜透ける出版不況の深さ - ライブドアニュース

 

退職代行

 近年では、退職したいけど言い出せない本人に代わり、会社に退職希望の連絡をする「退職代行」ビジネスが人気を集めています。EXIT社が有名です。退職代行は、弁護士法72条に違反し、弁護士の業務範囲を侵害しているのではないか?と少なくない弁護士が批判しています。これを「非弁行為」と言います。

なぜ広がる?「退職代行」サービス - NHK クローズアップ現代+

EXIT社の見解は、次の記事に詳しいです。

EXIT社の「退職代行サービス」は法律的に問題ないの? 労働者の権利について詳しい弁護士の先生に聞いてみた | REBOOT

論争ある領域ですが、今のところ社会的ニーズは高いです。退職代行業と比べ、レポート代行業は弁護士法72条のような法律が無い状態と言えるのではないでしょうか。

 

5.まとめ

 これまでの論述から、「模範解答の作成」に関し結論を引き出します。まずレポート代行が違法とは言えません。より正確に言えば、どのような意味で違法だと疑われているのか、この点が不明確です。次に、行政的には認められません。他業界との比較した場合、レポート代行がゴーストライター業の一種ならば、有名人のゴーストライターとの違いは何か?という問いが生まれます。難しい問題です。当記事ではその答えを示しません。退職代行業と比べると、現状で法律的な問題が小さそうだとは言えます。いずれにせよ、業者はその業務実態を「模範解答の作成」から「教育支援」へ近づけて行く努力が重要です。また利用者も、塾や予備校、家庭教師のように活用する事が望ましいでしょう。

 

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