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【格闘技】

井岡、4階級制覇 夢散 14年間無敗男に判定負け

2019年1月1日 紙面から

12回、ドニー・ニエテス(左)と打ち合う井岡一翔=マカオで(共同)

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◇WBOスーパーフライ級王座決定戦

 【マカオ山本直弘】ボクシングのトリプル世界戦が31日、当地で行われWBOスーパーフライ級王座決定戦で同級3位の井岡一翔(29)=SANKYO=が同級1位のドニー・ニエテス(フィリピン)に判定1-2で敗れ、日本人男子初の4階級制覇を逃した。WBA世界ライトフライ級1位の京口紘人(25)=ワタナベ=は、同級スーパー王者のヘッキー・ブドラー(南アフリカ)と対戦し、10回TKO勝ちしてミニマム級に続く世界2階級制覇を達成。IBF世界フライ級14位の坂本真宏(27)=六島=は、王者モルティ・ムザラネ(南アフリカ)に10回TKO負けした。

 4階級制覇の夢はマカオに散った。井岡がニエテスとの“3階級制覇王者”対決に1-2の僅差判定で敗れてプロ2敗目。平成最後の大みそかに、日本ボクシング史を塗り替えることはできなかった。

 緊迫した高水準の技術戦が繰り広げられた。接近戦ではニエテスに分があったが、中盤以降は井岡が足を使い、疲れの出たニエテスの追走を許さない。互いにダウンどころか有効打すらない“ジャッジ泣かせ”の展開。3人の採点がそろったのは10回だけで、判定は大きく割れたが「そういう試合をしてしまった、倒し切れなかった僕が悪い。(判定は)受け入れないといけない。今日は僕の日じゃなかった」と潔く敗戦を認めた。

 当然、悔いは残った。「もっといけばよかったが、距離感や駆け引きが簡単ではなかった」。試合後、ほとんど傷のないきれいな顔で振り返った。ニエテスは04年9月を最後に14年間無敗、世界戦もここまで18戦不敗(16勝2分け)というフィリピンの伝説。求めていた本物の強敵だったが、「思っていた以上に老獪(ろうかい)でキャリアを感じた」。ペースを握れず探り合いのままラウンドだけが進み、もどかしい気持ちだけが募っていった。

 今後については「終わったばかりで軽はずみなことは言えない」と前置きした上で、「願望としてはリマッチしたい。そういう日が来るような気がする」と再戦を希望した。さらにスーパーフライ級戦線に残り、「僕なりのやり方で自己証明できればいい」と、海外での試合を継続していく考えも示した。

 17年大みそかの電撃引退会見から1年。昨年7月に現役復帰を表明し、同9月には1年5カ月ぶりの再起戦を飾ったが、偉業を前に思わぬ足踏みを強いられた。「見据えていたものは、そんなに甘いものじゃなかった。期待に応えられない未熟さに歯がゆい気持ち。逆に燃え上がった」。闘争心が消えない限り、唯一無二への歩みを止めることはない。

 

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