【一般スポーツ】樋口監督「高校サッカーは甘くない」 四中工初戦敗退、勇退飾れず2019年1月1日 紙面から
四日市中央工(三重)は0-2で秋田商に敗れ、今大会限りで勇退する樋口士郎監督(59)に白星をささげることができなかった。東邦(愛知)は1-3で大分に敗れ、岐阜工は0-4で立正大淞南(島根)に完敗。丸岡(福井)、星稜(石川)、富山第一は初戦を突破した。 サッカーの神様は最後の最後までシビアだった。今大会限りで勇退する樋口監督の下、初の単独優勝を目指した四日市中央工が初戦敗退。プロになった教え子も多数駆けつけたスタンドへのあいさつを終えると、名将は静かにピッチを去った。 「やっぱり高校サッカーはそんなに甘くない。感慨深いものは生まれてこないが、僕のようなもんに監督をやらせてもらって幸せを感じている」 前半34分、左からのクロスを起点に先制された。その後は攻勢に出たものの、後半28分に再び失点。終盤は大会直前にFWからDFに配置換えされた中村(3年)を前線に上げたが、ついにネットは揺らせなかった。 部員から「士郎さん」と呼ばれる親しみやすさの一方、監督初年度には門限を破ったエースを全国選手権のメンバーから外すなど厳しい一面も。「高校サッカーの良さは内面にアプローチできること」と選手としてはもちろん、人間としての成長を重視してきた。 最初に退任を考えたのは3年ほど前。1995年に30歳代半ばで監督に就任した自身の経験から「伊室(次期)監督に早いタイミングで渡したい」と考えていたが、周囲の慰留もあり、今季まで監督を務めた。 今後は三重県サッカーの発展のため、新天地へ場所を移す。一時代の終焉(しゅうえん)は、同時に新たな時代の始まりでもある。 (牧原広幸) 四日市中央工OBの日本代表・浅野拓磨(ハノーバー)もスタンドから声援を送った。2年生だった2011年度大会では得点王に輝き、樋口監督の下での最高成績だった準優勝に貢献。恩師の勇退について「サッカーでも私生活でもいろんなものを学んだ。それが今の自分にもすごく生きている。高校3年間で教わったことは大きな財産だなと思っている」と感謝を口にした。
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