神室はハズレ。
本編P104参照。あとP220とか。
私は綾小路の部屋にいた。ある目的のために。
「何か飲み物出して。少し長話になるし」
我侭な要求に、綾小路は面倒臭そうにしながらも準備を始める。
「じゃあお茶かコーヒーを沸かす」
そう言って準備を始める綾小路。
その無防備な姿に、私は疑問を感じた。
坂柳からマークするように言われていた綾小路。
正直この男がどれだけの実力者で、何を考えているかは全く分からない。
「ココアはないの?」
「……ある」
「じゃあ、ココアで」
試すように、私は更に意味の無い要求をした。
「それで話ってなんだ。寒いならロビーでも良 かっただろ」
「ここなら誰の邪魔も入らないだろうし、話をするにはベストでしょ」
「どんな話なんだか」
「もしかして警戒してる?」
「警戒しないほうがおかしいだろ。親しくもな い女子、しかも敵であるAクラスの生徒が部屋に上がりこんできたんだ」
「あんたのとこの山内とは違うわけだ」
そう言うと、一瞬だけど綾小路の目が私の方を見た。
「気になる?」
「全く」
「そう。じゃあそっちの件は触れないようにし ておく。どうでもいいしね」
実際、今山内のことなんて関係ない。 重要なのはこの先の話。
「さっきの一之瀬の手紙。どう思った?」 一之瀬帆波が犯罪者と書かれた手紙。
「どうとは?」
「そのままよ。犯罪者だって話、信じる?」
「さあ。それにも興味がないからな」
「興味がなくても考えるくらいするでしょ。 一之瀬が善人なのか悪人なのか」
「犯罪者だからって悪人とは言えないし、犯罪 者じゃないから善人だとは言えない」
揺さぶりをかけていく。この男が、本当に使 える男なのかどうか。
それが私に課せられた使命。