監査役会の働きに透明性を

社説
2018/12/28付
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企業の監査役会の働きが外部からわかるように、情報開示の内容が詳しくなる。経営のチェック役である監査役が、企業価値を高めるためにしっかり役目を果たしているか。投資家と対話する手掛かりになることを期待したい。

東芝問題など会計不祥事が相次ぎ、監査への信頼が揺らいだ。財務諸表の確かさを保証する監査のプロセスでは、外部の監査法人だけでなく、企業側の監査役会も大事な責務を担う。

ただ、現状では、監査役会の働きぐあいを判断するにも、情報が少なすぎるとの不満が投資家側に根強くあった。

すでに英国をはじめ、監査役会に相当する監査委員会の活動について情報を充実する動きが世界で広がる。透明性を高めることは監査の信頼性向上につながる。日本も後れをとるべきではない。

金融庁が内閣府令を改定し、有価証券報告書で監査役会などの活動状況について開示内容を増やすよう促したのは妥当だ。適用は2020年3月期からになる。

監査役会の開催頻度や出席の状況といった定量的な情報のほか、検討した事項についても具体的に開示が進むのが望ましい。監査法人から指摘された事項を、監査役会としてどう対応したかも大事な情報といえるだろう。

企業と監査法人とのなれ合いを防ぐ意味では、監査法人の選任や再任について、その方針や理由が示されるべきだ。

開示の表現は企業ごとに工夫したい。状況は各社違うはずで、横並びの文章では意味がない。情報を利用する投資家側もきちんと理解したうえで、分析と対話に生かす姿勢が求められる。

会計問題だけでなく、企業の不祥事があとを絶たない。スルガ銀行の不正融資事件では第三者委員会の報告書で監査役の機能不全も指摘された。内部統制が機能するようにし、不正の兆しがあればちゅうちょせず経営にものをいうのが監査役だ。企業統治のかなめ役として果たすべき役目は重い。

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