午後11時頃、尾崎紀世彦が『また逢う日まで』を歌い、視聴者を声量で目覚めさせる。
「彼の歌唱力には誰もが度肝を抜かれました。『また逢う日まで』は'71年の発売当初はエアコンのCMソングでしたね。
『ふたりでドアを閉めて』という歌詞に、なぜ世間が共感したかと言えば、当時は『同棲ブーム』だったから。別れの曲が身につまされると感銘したのです」(前出・橋本氏)
紅組のトリの前で、'80年に引退して以来、一切の表舞台から消えた山口百恵が復活する。『プレイバックPart2』と迷うところだが、ここは『いい日旅立ち』だろう。
「今年の締めとしてしっとりと歌ってほしいと思います。忘れちゃいけないのが、桜田淳子と森昌子がゲスト出演して、『花の中3トリオ』が久しぶりに舞台で揃うこと。見ればおのおの40年前の思い出が蘇えってくるでしょう」(前出・影山氏)
この時点で視聴率は80%超えが確実だ。
一方、白組のトリの前は北島三郎の『まつり』。
「盛り上がっても、まだまだ終わらないという流れです」(前出・亀渕氏)
白組のトリを務めるのは、「本業じゃないから」と言って、紅白を断り続けた昭和の大スター、石原裕次郎だ。曲は『夜霧よ今夜も有難う』。
「紅白の最後を飾るので、石原軍団が勢ぞろいして歌ってもいいかもしれません。浅丘ルリ子や渡哲也が脇を固めて、裕次郎が登場なんていうのもいい。露払いに舘ひろしが『泣かないで』を歌っても盛り上がるのではないでしょうか」(影山氏)
そして、大トリはやはり歌姫・美空ひばりだ。
「『愛燦燦』を、次の時代に愛と平和が訪れるようにという願いのもとで歌ってほしい」(亀渕氏)
ひばりの大熱唱もあって、紅組が優勝旗を手にする。最後は藤山一郎の指揮で、『蛍の光』を合唱し、フィナーレを迎えた。それぞれの思い出の歌が、余韻として胸に残り、厳かに除夜の鐘が鳴る――。
「週刊現代」2018年12月15日号より