沖縄県宮古島の北4キロに位置する人口約20人の離島「大神島」と、宮古島を結ぶ旅客船がエンジントラブルで25日から欠航している。大神島には商店がなく、船は島民の足として冬季は毎日往復4便運航している。年末のこの時期は帰省客も加わり、1日に数十人行き来することもあるといい、正月を控えた島民は「早く運航再開してほしい」と不安を口にしている。

大神島と宮古島を結ぶ大神海運の旅客船(角田正彦さん提供)

大神島と宮古島を結ぶ大神海運の旅客船(角田正彦さん提供)

大神島と宮古島を結ぶ大神海運の旅客船(角田正彦さん提供)

長引く欠航

 大神島には現在、16世帯21人が暮らす。島民の平均年齢は76~77歳。宮古島周辺離島で唯一橋が架かっていない。宮古島と大神島を結ぶ船の大きさは15トンで30人乗り。船は1隻だけ。

 運航する大神海運(宮古島市)の伊佐清正代表によると、船は24日午後、大神島から同市島尻港に到着した際にエンジンに異変が見つかった。翌25日からの運航をやめ、部品を取り付けたが、また別の部品が故障したため現在、部品を取り寄せ中だという。

 新たな部品は30日に到着予定だが「エンジンが直っても、天候や波の状況次第で運航できない可能性がある」と伊佐代表。30日は漁船を手配し、正月用の買い物に出かける島民を運ぶ予定だ。「安全第一で運航しているが、島民に影響が出ていることは心苦しい」と語った。

買い物もできない

 大神島で民宿や食堂を営む大浦高儀さん(71)は「大神の人はみんな困っている。正月の買い物もできない」とこぼす。島から出ることができず、薬を受け取りに行けない人も2人いるという。

 帰省客や観光客も島に渡ることができなくなり、大浦さんも民宿の宿泊客5人の予約を断った。島に帰省予定の大浦さんの弟や同級生も宮古島で足止めされている。「別の船でもいいから、早めに船を通してもらいたい」と願っていたところ、29日夕方、30日に漁船で代わりの運航をするとの連絡が入り、「ほっとした。良かった」と語った。

 久貝愛子自治会長(63)は「台風が来るたびに同じような経験をしているが、早く元通りになってほしい」と早期復旧を求めた。