サン電子(6736)が27日より2日連続ストップ高しています。
AR関連銘柄として監視リストには入っていたものの、連続赤字企業ということもありそこまで関心はありませんでしたがなぜ連日ストップ高となったのか原因を調べると、サン電子は子会社Cellebriteの株式を最大50%売却する事を検討しており、企業価値を4億ドルと算定しているというニュースによるものだと分かりました。
サン電子は28日大納会の終値602円で時価総額135億円程度なので、サン電子によるバリュエーションが適正であればストップ高も当然です。という事で、サン電子の経営状況等を詳しく調べてみることにしました。
保有資産
47期有価証券報告書によると子会社株式はバランスシート上27億円と評価されており、純資産は80億円程度あるので仮にCellebriteが子会社株式評価額の100%だとしても、80億ー27億+Cellebriteの企業価値がサン電子の純資産である事が分かります。
まだ余裕はあると思いますが、10億円程度の赤字が続くと少し厳しくなってくるので現時点で資産の25%以上を占める関連会社株式を本格的な不況が来る前に一部現金化しておこうという考えなのかなと思います。
経営状況
サン電子は2年ほど赤字続きで、今期中間決算発表では黒字転換していますが事業譲渡益による一時的なものであり、まだ経常利益は赤字です。
パチンコ関連事業とモバイルデータソリューション事業が収益の柱で、IoTやVR/AR関連のIT事業が先行投資という事で赤字拡大中です。IT事業の営業赤字や減損処理が経常赤字の原因で、パチンコ関連事業やモバイルデータソリューション事業の営業利益で穴埋め出来ない状況が続いています。
Cellebriteはこの内モバイルデータソリューション事業に位置します。
モバイルデータソリューション事業
売上高は2009年度の42億円から順調に成長していますが営業利益率が数%〜20%強でブレが大きく、過去最高益は2014年度の売上136億円に対する営業利益28億円です。前期は売上150億円で営業利益0.3億円でした。
今期は中間決算発表によると売上高92億円で営業利益8.5億円で通期換算すると売上180億円の営業利益17億円です。10/31発表の業績予想の修正に関するお知らせによると、"下期に計画していたものの一部が上期に前倒しとなった"とありますので、単純に上期の売上・利益を2倍し売上成長率+36%とみて良いのかという点はありますが、売上は下期に偏重傾向にあるので大きな下振れはないかと思います。
株価の水準
時価総額を4億ドル×110円で来期営業利益を17億円とした場合、PERは25倍程度です。8年間の平均売上成長率は20%程度で、営業利益率を8%と仮定した場合5年後には売上高470億円で営業利益38億円程度になります。
この8年間は景気拡大期にあったので楽観的な予想ですが、個人的には4億ドルという評価に割高感はありません。営業利益率が20%超であれば今期予想売上でPER15倍程度でも180億×0.2×15で540億円にはなるので、Cellebriteは現在売り時ではないと思います。憶測記事にあれこれ言ってもしょうがないですが。
本体のサン電子に話を戻すと、仮に3日連続ストップ高して株価が702円になっても時価総額は160億円未満です。4億ドルの半額以下です。予想PER25倍なんてもんじゃない。
子会社株式評価額を差し引いたサン電子の純資産分50億程度もあるので、時価総額400億円・株価1800円は鉄板だと思います。2000円前後での利益確定売りは結構出そうですが、500億円・2200円は越えて欲しいところ。
とはいえ、1単元ながらジェイリースで決算発表延期からの不確定要素買いをして失敗しているので、自分の見通しに確信は持てていませんが流石に今回のサン電子では少し冒険してみます。
という事で、PTSで800株買いました。まだ売りに出ていたのでもう少し買っておけばよかったと早速後悔しています。4日朝のPTSや成行で買えればまだ買うつもりです。
悪材料としては地合いの悪さに加え、サン電子が憶測否定のIRでも出せば失望売り(?)が出てくるのでしょうか。何れにせよ、余力は残しつつも買えるなら買いの姿勢で臨みます。
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