徳島など瀬戸内海沿岸7県を拠点に活動するアイドルグループ「STU48」が、2019年2月13日に発売する2枚目シングル「風を待つ」のミュージックビデオ(MV)を公開した。「坂の街」広島県尾道市を舞台に、メンバーが100段以上ある石段を駆け上がりながら初挑戦となるコンテンポラリーダンスを踊る様子を、ドローンを使って空中から全編1カットで撮影した意欲作となっている。
MVの監督は、乃木坂46の「太陽ノック」のMVなどを手掛け、情緒や空気感のある映像美と劇的な演出を持ち味としている三石直和さんが担当した。4分25秒の全編をノーカットで撮りきるという試みについて、三石監督は「これからのSTU48への期待を込めた今の彼女たちにしかできない企画。青春の1ページとなるMVを目指しました」と狙いを話している。
ダンスの振り付けは辻本知彦さんが手掛けた。世界的なエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」で日本人男性では初となるダンサーを務めた経験があり、徳島県出身のシンガー・ソングライター米津玄師さんの楽曲「LOSER」や、米津さんがプロデュースしたFoorinの「パプリカ」なども担当しており、猫のようなしぐさで「尾道らしさ」を表現しているという。
撮影は2日間で全10テイクというハードなもので、センター瀧野由美子さんは「1カットで何テイクも撮影しているのですが、そのテイクの一番良いカットを使う訳ではないのですごく大変でした」と振り返った上で、「初めてのことでみんな苦労していましたが、今笑顔でMVを見ることができてとてもうれしいです。このMVを見て尾道に来たいな、瀬戸内に来たいなと思ってもらえたらうれしいです」とPRした。
完成したMVは、開始2分32秒で岡田さんが転ぶ様子がそのまま使われるなど、ほのぼのとした中にも一発撮りならではの緊張感がみなぎっている。このほか、AKB48「NO WAY MAN」のダンスオーディションで見事にセンターとフロントを勝ち取った今村美月さんと門脇実優奈さんに、磯貝花音さんを加えた選抜常連組の〝ダンス御三家〟が開始1分4秒で見せるキレッキレのダンスなど見どころ盛りだくさんだ。
楽曲は、作詞をSTU48の全楽曲の詞を手掛けている総合プロデューサーの秋元康さんが担当。瀬戸内地方を想起させる地方都市で暮らす若者が、離ればなれになった片思いの相手を故郷に連れ戻してくれる「風」を待ちながら、秘めた思いをどう伝えるか自問しているという恋の歌となっている。メジャーデビュー曲「暗闇」と同じく今作でも「都会で暮らす友達」が登場している。
ツイッターなどではファンの間から、暗闇の中で希望の朝を待つ「暗闇」から、凪(なぎ)の中で追い風を待つ「風を待つ」へと続く流れが、メジャーデビューから西日本豪雨による2枚目シングルの発売延期、そして満を持しての2枚目シングル発売、そしてさらなる飛躍を期するSTU48の状況を反映した内容になっているのではないかといった見方も出ている。
作曲はNGT48の「青春時計」などを手掛けた大河原昇さん、編曲はAKB48グループの楽曲を数多く手掛けている若田部誠さんが担当している。「ウォール・オブ・サウンド」「ナイアガラサウンド」と呼ばれるさわやかで切ない曲調で、暖かな春を待つ2月に発売されるシングルにふさわしい内容となっている。ファンの間からは「『暗闇』を超える〝神曲〟が来た」といった高評価が多く寄せられている。
MVはユーチューブ公開から2日間で13万再生を突破している。視聴したファンからは「(長い階段を)踊りながら駆け上がったメンバーすごい」「美しくて心が浄化された」「尾道に行きたくなった」といった声のほか、早くもMVのロケ地を訪れる〝聖地巡礼〟を行い、メンバーが登場したのと同じ場所で撮影した写真をツイッターにアップする熱心なファンも複数現れている。
徳島出身の谷口茉妃菜さんと三島遥香さんは、カップリング曲のうちメンバー全33人で歌う共通カップリング曲(タイトル未定)と、20世紀生まれの1期生16人で構成されたユニットで歌う楽曲(同)の2曲で参加している。
■センター瀧野由美子さんコメント “1カット撮影”で何テイクも撮影をしているのですが、そのテイクの一番良いカットを使う訳ではないのですごく大変でした。カメラが見えていないところでも、全速力で走ってまわりこんで先にスタンバイというシーンも何回もありました。ダンスも“コンテンポラリーダンス”という私たちがあまり経験したことないものに挑戦をしました。私も他のメンバーも初めてのことでみんな苦労していましたが、今笑顔でMVを見ることができてとてもうれしいです。撮影は瀬戸内の広島県尾道で撮らせて頂きました。尾道はすごく坂や階段が多かったりしますが、そういうところを使って撮ったので、私たちだけじゃなく、尾道の景色の良さもたくさん感じて頂けるMVになっているんじゃないかなと思います。このMVを見て尾道に来たいな、瀬戸内に来たいなと思ってもらえたらうれしいです。来年はSTU48で歌番組にたくさん呼んでいただきたいです! この曲でたくさんの歌番組に出演して、瀬戸内の魅力を全国に発信していきたいと思っています!
■岡田奈々さんコメント 今回のMVは、メンバーもスタッフさんもすごい事前に準備をして、みんなで話し合って取り組ませていただきました。MV撮影をするにあたっての資料を三石監督から事前に頂いていて、そこに「覚悟してください」ということが書いてあって、そのときに「あ、これはただごとじゃないMVだな」と思いました。振付の辻本さんにも厳しく指導していただきました。今回は自主練して撮った動画も先生に見ていただいたり、いろんな方々のお力もあり、今までにないほど1人1人ががんばった、悔いの無い良いMVになったと思います。8月リリースから2月に伸びてしまったということで、たくさんの方にご心配をおかけしてしまったことと、楽しみを伸ばしてしまってごめんなさいという気持ちもあるのですが、延期したのも運命だったんだなと思えるくらいすてきなMVになりました。STU48のまた新たな代表曲としてたくさんの方に知っていただけるように歌い継いでいきたいですし、2019年はSTU48の年にしたいので、ぜひこれからも私たちの成長を見守っていてください!
■三石直和監督コメント これからのSTU48への期待を込めた今の彼女たちにしかできない企画。青春の1ページとなるMVを目指しました。すばらしい景色と階段。尾道に行くとわかります こんなところでやったのかと…そこいる猫たちが、僕らを癒やしてくれました。瀬戸内の猫たちの様に彼女たちが愛されて行くことを願います。やり遂げた彼女たちとスタッフそして、尾道の皆さんに感謝しています。
■辻本知彦さんコメント 初めてSTU48の振付を担当させていただいて感謝しております。今回のMVは私にとってもこれからの人生においても忘れられないキュート
な振付のMVを送り出せたと感じております。監督の熱意、全方位スタッフの皆さんの気持ちが一つとなりでき上がったものだと、そしてSTU48のメンバーの一生懸命な姿勢にも助けられ、フォーメーション、振りも複雑で時間の限られてる中、メンバー全員の気持ちを表現できたのではないかと思います。撮影場所である広島の尾道という町と景色そして海と山々によって振付がその土地その場所に引き寄せられっていったんだなと心の奥で感じております。最後にSTU48の皆さんへ、すてきな歌詞とメロディーの中で僕の振付を踊っていただけることが幸せです、ありがとうございました。
■STU48 2ndシングル「風を待つ」 2019年2月13日発売
(選抜メンバー=敬称略)石田千穂、石田みなみ、磯貝花音、市岡愛弓、今村美月、岩田陽菜、岡田奈々、沖侑果、甲斐心愛、門脇実優菜、瀧野由美子、田中皓子、土路生優里、中村舞、福田朱里、薮下楓