6話 下等魔法
サイゼについてから1時間ほど、あっちの世界のことを青山さんに話した。
青山さんは必死にノートをとり、なんだか僕たちは先生になった気分だった。
俺たちはあらゆる小魔法を青山さんに実際に見せることにした。
「じゃあまずは火属性魔法ね。
何回やっても火はつかない。
青山さんが当惑した顔でこちらを見てきている
これはまずい、ダサすぎる
日本に来てから魔力が劇的に弱くなったとはいうものの下等魔法の一つすらろくに使えないとは。
「あんた下手ねぇ、私が代わりにやるわ!」
渋々リズに交代。
「リズ。かなり魔力を使わないと火がつかないと思うぞ」
「わかった、じゃあ私のありったけの魔力を使うわ。」
ん?嫌な予感が。
「
リズを止めるのが0.5秒遅かった。
俺は
俺たちの「ピザ」が燃えたのだ。
とっさに空の容器を被せ、すぐに鎮火はできた。
「ふぅ。危なかった。おい、リズ今のはやりすぎだろ!」
リズの方を見ると、不服そうな顔をして丸焦げしたピザを見ている。
「おい、聞いてるのかリズ」
「おかしいわね...。私の渾身の一撃がたったのこれだけなんて。ねえレン、そう思わない?」
「お前はもともと店ごと燃やすつもりだったのかよおい」
この「アホ」は頭が良くても「良識」が足りないようだ。
「あ...あぁ」
青山さんが
「しゅごいですリズさん!!」
あまりの驚きからか、
ってそうじゃない!本来なら俺がかっこよく魔法を見せて手を握られてるはずだったんだ!
くそ!あのリズの野郎!
「お客様!!」
突然、怒号が走る。
店員が顔を真っ赤にして俺らを見ている。
テーブルの上には焦げたピザ。
馬鹿騒ぎする高校生3人。
追い出されるには十分な理由があった。
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俺たちは泣く泣く店を出た。
もっとも、もう時刻は18時を回っていて、帰るのにはちょうどいい時間だった
「また明日、青山さん」
「じゃあねレンくん」
心がズキューンと言ったのは多分気のせいではないだろう。
「またねー鈴羽ちゃん!」
ん?ちゃん?おい、なんなんだお前はさっきから!お前らはどういう関係なんだ!
「どうしたのよ。渋い顔しちゃって」
一回殴ってやろうかと思った。
「どうもしないさっ」
吐き捨てるように言い返した。
「なんで怒ってるの?」
「怒ってなんかないさ」
「怒ってるわよ!」
「怒ってない!」
リズは
なんとなく申し訳なさを感じながら、肩を並べて家に向かった。