堕天使のちょこっとした冒険 作:コトリュウ
<< 前の話 次の話 >>
しかもチョイ役。
戦士長ファンの方は御免なさい。
さて、主人公は犯罪者になりました。
これから追われる立場ですね。
後先考えない直情的思考は今後改めてもらいたいものです。
モモンガ様を見習ってほしいですね~。
王国最強の戦士であり、王国戦士長の地位を授かっているガゼフ・ストロノーフは、痛む体を押して王都へと向かっていた。
任務途中で受けた傷の具合はあまり良くない。
もうしばらくエ・ランテルで休養していれば傷の痛みで顔をしかめる事もなかったであろうに、王への報告を急ぐあまり少々無理をし過ぎたようだ。より重篤な部下にポーションを譲ったのもその一因と言える。王国要人としては問題行動でしかない。
とは言え第一報は早馬で知らせているのだから、それほど焦る必要もないと思うのだが、やはり報告すべき内容の重大さが安静にしていることを許さなかったのだろう。
スレイン法国の偽装兵と特殊部隊。
蹂躙された村々。
そして謎の
特に最後の案件は重要だ。
扱いを誤れば国家転覆の危機になりかねない。
「私だけでは手に負えんな。誰か信頼できる者に相談したいところだが……」
自分で言いながらも笑ってしまう。そんな相手が何処に居ようか? 今の王国は誰も彼もが己の欲を満たす為に動いており、国の――国民の幸福を願っているのは国王ぐらいしかいないのだ。
王国戦士長は視界に映る王都の巨大な正門を見つめながら、新たな戦場へ突入すべく馬を急かすのであった。
「――うっ! な、何があった? 襲撃でも受けたのか!? この死体の山はいったい……」
血の匂いも死体の山も慣れてはいたが、細切れの肉片状態で元が人間であるかも分からない有様では話が違ってくる。転がっている生首のおかげで人間の死体である事は知り得たが、それが百を超えて解体されているとなると何が起こったのか想像もできない。
「あぁ、戦士長! 良くぞお戻りくださいました!」
「君は市街警護の巡回兵か? 教えてくれ! この場で何が起こった?!」
救世主を見つけたかのように駆け寄ってくる一人の若者は、嘔吐物で汚れた身を隠そうともせず、血の気が引いた顔でガゼフの問いに答える。
「冒険者です! 三人組の冒険者が一般人を殺し、止めに入った者や通りすがりの者を襲って、捕縛に動いた衛兵隊までこの有様なのです! に、二百人近くの死者が出ました。ですが……分からないのです。誰が誰だか……バラバラにされ過ぎて……私の親友も何処かに居るはずなのですが……う、ぅぐ……」
堪えていたものが両眼から零れ落ちていく。若い兵士は膝から崩れ、もう立てそうにない。
その者の手は人の血で真っ赤に染まっており、今までどれほどの死体を抱え、ひっくり返し、掘り出してきたのか……。
とても正気ではいられまい。
「冒険者がこのような虐殺行為を? しかも三人で? いったい何があったと言うのだ! 何が?!」
ガゼフの問いに答えられる者はもう居ない。
いや――多くの兵士達が集まってはいるのだが、誰もが呆然と佇むだけなのだ。血溜りの中へ足を踏み入れ死体の回収を行えば良いのか? その前に何か調査をすべきなのか? それとも犯人を追いかければ良いのか?
もっともその前に――胃の中のモノを吐き出してくるべきなのだろうが……。
王国戦士長が事態の把握に努めようと躍起になっていた頃より少し前、多くの兵士達が血の池を眺めている――その群衆の中に『蒼の薔薇』のリーダー、ラキュースは居た。
「信じられない、王都でこんな事が起きるなんて……」
手拭用の小さな布で口と鼻を覆いながら、ラキュースは悪魔が造り上げたであろう地獄のような光景を心に刻んでいた。これ程の残虐な行いを実行出来る者など人間ではあるまい。恐らくは人に化けたモンスターが街の中へ入り込んでいたのだ。
被害の状況からして、難度五十を超える化け物が複数居たのだと思われる。衛兵の武力では太刀打ちできなかったに違いない。それでも誰一人として逃げ出すことなく立ち向かったからこそ、多くの被害が出たのだろう。
ラキュースとしては街を護ろうとする衛兵の気概に頭が下がる想いではあったが、一方で力量差を感じて撤退して欲しかったとも思う。もっとも衛兵が戦ったからこそ、モンスターは住宅街へ押し進むことなく街を出て行ったのだろうから、異論を唱えるべきではないのだが……。
「ボス、住人から話を聞いてきた。……ちょっと問題発生かも?」
「ああ、こりゃ~ヤバいかもな。俺達も他人事じゃねぇぞ」
ティアとガガーランが何を言わんとしているのか? それは分からないが、人混みからラキュースを引っ張り出し人気の無い所へ移動しようとしている事からして、抱えている問題の大きさが推し量れる。
「それで、暴れたモンスターについて何か分かったの?」
ラキュースの発言に、ティアは何故か顔を曇らせる。
「悪いけどボス、暴れたのはモンスターじゃない。……パナだよ」
「……えっ?」
想像もしていない言葉が耳から入ってきた場合、一瞬相手が何を言っているのか理解できなくなる。『蒼の薔薇』同士では珍しい事だが、現時点に於いては仕方がない。
「マジでパナだぜ。何人もの住人が目撃している。肝心の斬り合っているところは見ていない――つーか目に映らなかったらしいが、だからこそパナの奴がやったって分かる。……で、どうするよリーダー?」
ガガーランにしては珍しく緊張感のある発言だ。と言うのも――王国の衛兵を殺しまくったパナは、間違いなく国を挙げて討ち取るべき重罪人となるからである。もちろん冒険者やワーカーの手配リストに記載されるだろう。――信じられないような破格の賞金と共に。
「う、嘘でしょ? どうしてパナさんが……こんな事を……」
ラキュースにとってパナは、物語の中でしか聞いたことのない伝説的英雄『ぷれいやー』なのだ。しかも一緒に食事をし、寝床を共にし、楽しく語り合った仲なのだ。その一般女性としか思えない人格に触れた事実があるからこそ、信じられないし――信じたくはない。
「……ボス、イビルアイが向こうで手招きしてる。何か見つけたみたい」
「おいラキュース、しっかりしろよ。まずは事態の把握だろ?」
「そ、そうね。……そうよね。ごめんなさい」
チームのリーダーが呆然自失なんて
リグリットが見ていたら「何やってんだい嬢ちゃんども!」と一括してくれただろうが、今はあの老婆も忙しいだろうからラキュース自身がしっかりするしかない。
呼吸を整え、四肢に力を込め、視線をイビルアイへ向ける。
「ラキュース、向こうで空になった荷馬車を見つけたぞ。貴族の持ち物をパナの奴が襲ったらしい……。荷馬車の中身は子供の奴隷だとさ」
「どういう事? パナさんは奴隷を逃がす為に襲ったの?」
「ボス、それは違う。目撃情報では子供達をそのままにして立ち去ったらしい。その後、子供達は別の運び屋に連れて行かれた」
ひょこっと顔を出したのはティナだ。
周辺の情報収集から戻ってきたようだが、イビルアイの説明に一言加えながらも、まだ何か言いたそうにしている。
「ボス、あっちの路地裏で裏の人間が死体を五つ回収していた。其の内一つは打撲痕だらけの娼婦、他はミンチになっていて不明。だけど……、娼婦を殺したのはパナじゃないと思う」
殺し方が違う――ティナの言いたい事はラキュースにも伝わった。
故に考える。
この場で何が起こったのか?
パナが何を想い、どんな相手と出会い、どう行動したのか?
最大のヒントは娼婦の死体であろう。殺された娼婦、そして娼婦を殺した者、加えて其の場にパナが居たとすれば……。
「あぁそんなっ、もしかして……パナさんは娼婦が殺される瞬間を見てしまったのではないかしら? それで――」
「ブチ切れたってか? いくら何でも短絡的過ぎだろ?」
「いや、我々にとっては既知の醜聞でも、パナにとっては信じられない光景だったのかもしれん」
「うんうん。娼婦殺し、子供の奴隷、平然としている衛兵達。客観的に見れば私達だって同じ穴のムジナ」
「でも改善に向けて努力している。けどパナにとっては関係ない。屑は屑、屑をそのままにしている奴も同罪」
仲間達の言葉を聞けば聞くほど頭が痛くなる。ラキュースとしてはその場で蹲って泣き出したいくらいであった。
「――そちらに居られるのは『蒼の薔薇』の皆様でしょうか? 私は冒険者ギルドの使いの者です。至急、ギルド本部へ出頭願います。ギルド長がお呼びです」
振り返れば、どこかで見た事のある顔があった。確か冒険者ギルドの若い職員だったと思うが……。
「申し訳ありませんが、この事態を放ってはおけません。ギルド長には少し遅れると――」
「冒険者パナの件なのです! エ・レエブルから移籍者名簿が届き、その中に今回目撃された犯人とそっくりな人物が居たのです。短い黒髪の若い女性、
反論させまいとして一気に捲くし立てる若い男の行動は、ある意味称賛に値するものであっただろう。つい先ほど冒険者が凶行に走り大量虐殺を行ったのだ。その直後に王国最強の冒険者へ立ち向かうなんて、金を積まれてもやりたくはない。
ほんの少しでも『蒼の薔薇』の機嫌を損ねたら、正門でバラバラになっている哀れな死体の仲間入りだ。強大なモンスターを幾度も相手にしているのだから、ギルドの職員ぐらい軽いモノだろう。
「あ~ぁ、そういや俺達が推薦したんだった……。こりゃヤベェな」
「気にする必要ない。私達は推薦しただけ、認めたのはギルド。こっちに責任は無い」
「それで通用すれば良いがな。ギルドとしても王国から厳しく追及されるだろうから、逃げ道は欲しいはずだ」
「何も知らないで通せばイイ。実際、パナと一緒に居た仮面の二人組に関する情報は持ってない」
仲間の言葉を聞けば聞くほど事態は悪い方へ傾いているように感じてしまう。ラキュースとしては「黒粉」の栽培村を特定した直後であるだけに、頭を抱えて蹲りたくなる。
「仕方ないわね……。先ずは冒険者ギルドに寄って身の潔白を証明しましょう。パナさんの事は――エ・レエブルで出会った腕の立つ旅人、という設定にするわよ。イイわね?」
ギルドの職員に聞かれないよう小声で指示を飛ばし、ラキュースは歩き出す。
パナが『ぷれいやー』である事を公には出来ない。今の王国では権力争いの道具にされるのがオチだろうから……。加えてパナ相手に高圧的な態度に出て、信じられない暴言を吐くだろう。そんな事になったら、正門の血の池が血肉溢れる湖へと変わってしまうに違いない。いやもしかすると――物語で登場する『地獄の番犬』なんかを召喚して王国の住人全てを喰らい尽くすのかも……。
(やっぱり目を離すんじゃなかった。予感はしていたのに……、パナさんがあまりに普通の女性みたいに見えたから、それに甘えてしまったんだわ。私ったらなんて――)
「ラキュース、自分を責めるな。今回の事は誰にも防げなかった。リグリットだって大丈夫だと判断したからこそ、パナから離れたんだ。……気にするな」
イビルアイなりの慰めだったのだろう。
仮面で表情は読み取れないが、恐らく少し悲しそうな瞳でラキュースを見つめていたに違いない。
「ありがとうイビルアイ、それに皆。こんな所で悩んでいても仕方ないわよね。……さぁ、ギルドへ急ぎましょう」
意を決し、歩を早めるラキュースではあったが、一つだけ決めておくべき案件が残っていた。イビルアイとしては問いたくない内容だったが、先延ばしにしておくわけにもいかない。
「済まないラキュース、今決断してくれないか。パナへの
イビルアイが言いたいのは、パナとの接触を持って良いかとの事だ。
事件発覚後も魔法で連絡を取り合っていたとなれば、共犯の汚名が『蒼の薔薇』を襲うだろう。事件前に推薦したのは「そんな人物だとは知らなかった」で通るかもしれないが、事件後も
親友であるラナー、そしてラキュースの実家に対しても多大な迷惑が掛かる。それは間違いない。
「それは……、それはその……」
言いよどむ気持ちはイビルアイを含め、皆が分かっている。
連絡を断てと言うのは、我が身の保身を考えパナを切り捨てる行為に等しい。ラキュースの叔父ならバレなければ良いと言うのかもしれないが、発覚した時のリスクが高過ぎて身が竦む。とても安易に決めて良い事柄では無かろう。
とは言え決断はリーダーの仕事だ。
「――イビルアイ、今後パナさんとの連絡は一切禁止よ。分かったわね」
冷酷に冷静に、ラキュースは指示を下した。
その言葉の裏には苦渋に満ちた決断が隠されているのだろう。――仲間だからこそ分かるし納得できる。
今は麻薬撲滅に動いている大事な時期だ。こんな時に横ヤリが入ったら今までの苦労が水の泡になってしまう。ただでさえ王国は傾きかけているのだ。協力者も少ない。そして強い味方になってくれると信じていた人物も、今では史上空前の大犯罪者だ。
二兎追う者は一兎も得ず。
スレイン法国から伝わった教訓ではあるが、現状を言い表すのにこれ以上の言葉は無いであろう。あの国自体は気に入らないが、確かに麻薬撲滅と英雄取り込みを両方成し遂げようとするのは無謀としか思えない。しかも英雄の方は犯罪者に成り果ててしまったのだから諦めるしかあるまい。
「私達にはやるべき事が有るのよ! 今ここで足を引っ張られる訳にはいかないわ!」
苦悩を吐き出すかのようにラキュースは言い切った。
二百名近くの王国臣民を殺したパナを王国の英雄とする事はもはや不可能。故に切り捨てる、無関係を装う。――それが最適解だと信じて……。
『蒼の薔薇』は冒険者ギルドの職員に先導され、ギルド本部へと向かった。
王都リ・エスティーゼの冒険者ギルド長は四十にもなる女性で、元ミスリル級冒険者だ。か細くなった長い髪を後ろで纏め、四肢五体は細身ながら引き締まり、未だ現役でも通用しそうな眼光をもってして『蒼の薔薇』を見つめる。
「よく来てくれました。今王都は大変な騒ぎでして……、まぁ知っているとは思いますが……」
若干探りを入れるような言い回しは、ギルドと『蒼の薔薇』の関係性を示すものだ。
ラキュース達がギルドを通さずに「とある仕事」を行っているのは公にされていない秘匿行為であったのだが、当然冒険者ギルドには感付かれている。ギルドとしては止めてもらいた案件――とは言いつつも、アダマンタイト級に面と向かって苦情は言い辛く及び腰だ。だからこそ見て見ぬふりを続けていたのだが……。
「正門での大量殺戮、目撃証言から首謀者は
「……何を仰りたいのですか?」
本題に踏み込まないギルド長を前にしてラキュースは不快感を露わにしていた。他の仲間は何も言わない。珍しくガガーランも――である。
「まぁ最後まで聞いて下さい。……衛士隊の詰所からも、門の通行人に関する検査記録を貰ってきたのです。……チーム名『堕天』、リーダーは『パナ』、メンバーは『アン』と『マイ』の二名で、計三名の冒険者チームです」
少し間を挟んでギルド長は話を続ける。
「このパナと言う名のリーダーは、記載されている外見からも――エ・レエブルから王都へ来たという点からも、間違いなく貴方達が推薦した御仁、……そうですね」
「その通りですが……何か問題でも?」
ラキュースは平然と答えた――まるで打ち合わせでもしてきたかのように澱み無く。
「問題? 貴方達、これがどれ程重要な――」
「失礼ですがギルド長、私達はエ・レエブルで武に長けた女性と出会い、冒険者へと推薦しただけです。彼女が何者でどのような思想を持っているかなんて知りません。第一、冒険者として認めたのは冒険者ギルドであって私達ではありませんよ。責任の所在を間違えないで下さい」
一瞬火花が散ったかと思うような視線がぶつかり合い、静寂が訪れる。
ギルド長としては、人類の切り札たるアダマンタイト級冒険者が推薦した人物なので冒険者として登録してしまっても仕方がない、大量殺戮は想定外であった――そのように王国側へ報告したかったのだ。王国側も
王国は――特に貴族達は、冒険者ギルドが力を持つ事を快く思ってはいない。此れを機に冒険者ギルドの権限を大きく制限しようとするのは明白だ。故に、何としても正面衝突は避けたいところであったが……。
「貴方達は無関係だと? そう言いたいのですか?」
「その通りです。私としても――通りすがりの街で軽く推薦しただけの人物に、責任なんて持てる訳がありません。実際、私達は彼女のチーム名もメンバーの名も全く知らなかったのです。エ・レエブルを出てからも連絡一つとってはいません」
一息で言い切ったラキュースは、徹底的にパナを切り捨てた。
保身の為と言われるかもしれないが、今此処で行動を制限されるのは冒険者としても『八本指』対策としても致命的なのだ。王国に住まう病巣どもを取り除こうとしている『蒼の薔薇』が、こんな道半ばで花を枯らす訳にはいかない。
たとえ……憧れるべき英雄を生贄に差し出したとしても。
「……これ以上は話しても無駄のようですね。はぁ、……仕方ありません、容疑者パナの件はエ・レエブルに職員を派遣して裏付けを取ります。他の冒険者にも事情を聴くとしましょう。……アインドラさん、ほどほどにお願いしますよ。ギルドが潰れないよう加減して下さい」
年齢を感じさせぬほど気力に満ちたギルド長であったが、最後の最後に少しだけ弱音を漏らしてしまう。これから始まる王国側のイチャモン――と言うか冒険者ギルドへの凄まじい糾弾に、どう対処したものかと頭を痛めていたからだ。
日頃からくだらない言い掛かりをつけてくるだけあって、被害者の立場になった貴族共――実際に被害に遭ったのは衛士達なのだが――の要求は予想がつかない。そんな事より先にやるべき事があるだろうに……。
今回多くの衛士達が命を落としたが、どうせなら馬鹿な貴族連中を殺しまくって欲しかった。さすれば王国も少しはマシになっただろうに――と思わずにはいられない。無論、そんな事は口が裂けても言えないが。
「ではギルド長、私達はこれで……」
「はい、何かあれば宜しくお願いします」
全く心の入っていない挨拶を交わしてラキュース達はその場を後にした。
珍しい事だが忍者姉妹やイビルアイ、ガガーランまでもが――場を和ませる軽い冗談一つ口にしない。
何故ならラキュースの機嫌が悪いからだ。
見た目は優しげな乙女なのに、内に秘めた怒りは天まで届くブチ切れ状態――言わば闇のラキュースが降臨していたのだ。
その怒りは誰に……何処に向けられていたのか? 大量殺戮を行ったパナに対してだったのかもしれないし、それを止められなかった自分に対してなのかもしれない。
どちらにせよ、今のラキュースは国を丸ごと滅ぼしかねないほど危険だ。
刺激しないでおこう――とイビルアイを始め仲間達は軽く頷き合い、恐るべき暗黒の呪いが薄まるのを待つしかなかった。
ラキュースさんの背後に『ゴゴゴゴゴ……』という擬音が見えそう。
絶望のオーラ(厨二版)が溢れ出して、周りはパニックだぜ!
まぁでも、エ・ランテルの『漆黒』に依頼を出せば即解決だね。
コイツ犯罪者だから捕まえて~って言えば、ありんすちゃんが来てくれるかも?
それで「武技が使えない奴」と思って、あっさり殺害バッドエンド。
後になって「魔法が使える奴も攫ってくるよう言われていんした! アインズ様に叱られる~」となるんですね、はい。