防衛省が韓国駆逐艦レーダー照射事件の動画を公開

防衛省より画面上部に韓国駆逐艦、右下に韓国海洋警察、その間に北朝鮮漁船(推定)

 12月28日、防衛省は20日に日本海で発生した海上自衛隊P-1哨戒機への韓国海軍駆逐艦クァンゲト・デワンからの火器管制レーダー照射事件の動画を公開しました。

韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について:防衛省(平成30年12月28日)

 驚いたのは韓国海軍の駆逐艦「クァンゲト・デワン(広開土大王)」とすぐ傍に居た韓国海洋警察の警備救難艦「サンボンギョ(参峰号)」は、彼らが捜索していた目的の北朝鮮の漂流漁船らしきものを既に発見しており搭載艇を出して回収中だと思われることです。

防衛省公式YouTube動画より
防衛省公式YouTube動画より

 これで「波が高かったので漂流漁船を捜索する為に水上捜索レーダーだけでなく対空用のMW-08三次元レーダーを対水上モードで使用した」という韓国側の説明はおかしなことになります。目の前に視認できる距離で探していた漂流漁船を発見済みであるなら、通常の航海では使う必要が無い本来は対空レーダーのMW-08を漂流船の捜索目的で稼働させる理由がありません。また現場の海はとても穏やかで波の高さは1m程度、冬の日本海とは思えないほど波が小さく静かな海況です。韓国側の波が高かったという説明は首を傾げざるを得ません。

防衛省の添付資料より
防衛省の添付資料より

 自衛隊は韓国駆逐艦からFCレーダー(火器管制レーダー)の照射を受けたと明確にしています。韓国駆逐艦クァンゲト・デワン搭載のSTIR-180火器管制レーダーのことです。基本的にMW-08三次元レーダーで捉えた空中目標に対してSTIR-180を照射して艦対空ミサイルを誘導するという使い方をします。STIR-180は稼働中も常時回転はせず、MW-08は稼働中は常時回転するという明確な違いがあります。MW-08は回転しながら360度全周にレーダー波を出しているので電波の当たり方がレーダーアンテナ回転数の周期的なものになります。対してSTIR-180は常時回転をせずアンテナを目標に向けたらレーダー波は当たりっ放しになります。このように電波照射の特性が全く違うので、誤認することは考えられません。そもそもMW-08はCバンド、STIR-180はXバンドで周波数も違うのです。自衛隊は韓国駆逐艦がMW-08三次元レーダーを対空目標の捕捉追尾用として稼働させSTIR-180火器管制レーダーを哨戒機に向けて使用したと判断しています。

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 またP-1哨戒機からの無線での呼びかけを無視した点について韓国側は「電波が弱く受信できなかった、海洋警察を呼び出していると思った」と説明していますが、海上自衛隊のP-1哨戒機は明確に韓国海軍駆逐艦クァンゲト・デワンの艦首に描かれた艦番号971を名指しして呼び出しています。目と鼻の先の距離で天候も穏やかな状況で電波が受信できなかったというのは無理があります。国際VHF(156.8MHz)と緊急周波数(121.5MHzおよび243MHz)の3つのチャンネルから呼びかけを聞いていながら無視したと受け取るよりほかありません。漂流漁船を捜索していた艦艇が緊急周波数の呼びかけに気付かなかった、北朝鮮海軍とのホットラインにも使っている国際VHF(韓国では国際商船共通網と呼称)に気付かなかったというのも信じることが出来ません。

 韓国側の説明は気象条件、漂流漁船の位置、無線の応答、いずれも虚偽であったと判断するしかない状況です。