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2018年の株式市場は記録ずくめの1年だった。日経平均株価の18年の終値は2万0014円77銭。年間で2750円(12%)安と7年ぶりに下落した。12年末から始まった「アベノミクス相場」では初の下落となる。10月に27年ぶりの高値を付けたが、その後は失速した。世界的に株式相場が変調をきたす中、海外投資家の日本株売越額も5.6兆円を超えて31年ぶりの大きさとなった。
18年のえと、戌(いぬ)にちなんだ相場格言は「戌笑う」。だが、戦後の東証再開以降6度目の戌年となった18年は、1970年以来の下落に終わった。
18年の日経平均はことあるごとに急落に見舞われた。2月には米国株の予想変動率を示す「VIX指数」が急騰して世界的に株安が広がり、日経平均は6日に1071円安を演じた。3月には米中貿易摩擦が浮上。世界経済をけん引する両大国の争いを受け、日経平均は3月23日にも974円下落した。
その後は米国経済の強さが意識されてドル高が進行。円安の恩恵を受けて、日経平均は10月2日に27年ぶり高値となる2万4270円をつけた。
だが米長期金利の高まりを背景に米国株が急落すると、わずか6営業日後の10月11日には915円安となった。相場は月末まで下げ止まらず、10月の下落幅は2199円(9%)と、リーマン・ショック直後の08年10月以来の大きさとなった。
12月に入るとさらに不安定さを増した。米連邦準備理事会(FRB)が世界経済の先行き不透明感を指摘しながら利上げの継続方針を示し、米国株が再度急落。トランプ政権の高官辞任など混乱も相次いだ。25日に日経平均は1010円安となり、1年3カ月ぶりに2万円を割った。
その結果、日経平均は18年に2度、1000円超下落した。1000円超の下げが複数回あったのは、最高値からの下落が続いた90年以来28年ぶりだ。12月の月間の下落率は10.5%と、欧州の経済不安が高まっていた10年5月以来の大きさとなった。
指標面での割安感も強まった。25日時点の日経平均のPBR(株価純資産倍率)は0.99倍と、6年ぶりに1倍を下回った。予想PER(株価収益率)も10.7倍と6年半ぶりの低水準となった。
日本株の下落がここまで大きくなった背景には、海外投資家の巨額の売りがある。東京証券取引所の12月第3週までの投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計)をみると、海外勢は現物株を5.6兆円売り越した。売越額は87年以来31年ぶりの大きさだ。現物と先物を合わせると海外投資家の売越額は13兆円に達する。6兆円あまりの上場投資信託(ETF)を買った日銀も太刀打ちできない規模だ。
個人投資家の動きも鈍っていった。2月第1週には7458億円と過去最大の買い越しを記録したにもかかわらず、12月第3週までの累計では1991億円の売り越しとなっている。
世界的な好景気や、安倍政権による構造改革への期待などを背景に、日経平均は17年末まで6年連続で上昇してきた。18年は米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題の混迷など、世界経済の先行きに不透明感が高まった。「日本経済の成長率は低く、そうした国の企業への投資はためらわれる」(インベスコ・アセット・マネジメントの岸本伸一氏)との声もある。指標面では割安感も強いが、19年に再び上昇相場に乗れるかは予断を許さない。(坂部能生)
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