皆さんはいつお風呂に入っているでしょうか。朝風呂に入る方もいらっしゃると思いますが、帰宅後に自宅でリラックスする前、もしくは就寝前に入る方が多いかもしれません。
お風呂に入ると血管が拡張し、血流が良くなるとさまざまなメリットがあります。たとえば、血流により老廃物や疲労物質の除去が進むため、疲れやコリをほぐせたり、内蔵の働きを活性化させたりすると、ホルモンの分泌サイクルを適正化するなどの効果が得られます。
また、寝る前にお風呂に入ると体温調節サイクルの影響で寝つきが良くなり、睡眠の質も高くなります。
一方、誤ってお風呂の中で寝てしまうと大きなリスクが発生します。
この記事では、お風呂の中で寝るリスクと、お風呂で寝ないためにできることについてご紹介します。
お風呂で寝ることとは?
お湯の中は気持ちがよく、ついウトウトしてしまう人もいるかもしれません。
ですが、お風呂で寝るのはとても危険。ここでは、お風呂で寝ることについて見ていきます。
危険な失神状態?
お風呂で湯船につかると体が温まり、リラックスしてくるとウトウトしていい気持ちになりますが、この状態は通常の「眠い」状態とは異なります。
お風呂でウトウトするのは、血流の効果により意識レベルが低下し、失神に近く、意識障害の状態にあるとされています。
血圧とお風呂の関係
お風呂に入るときのリスクの一つに「ヒートショック」がありますが、お風呂での失神もほぼ同じメカニズムで発生します。最大の原因は血圧の過度な上昇と降下です。それでは血圧変化のメカニズムを見ていきましょう。
- 脱衣所で服を脱ぐ際に、周りの気温が低いと血管が収縮して血圧が上昇
- 暖かい湯船に入ると体が温まり、血管が拡張して血圧が低下
- 風呂から上がると体温が下がり、血管が収縮し再度血圧が上昇
ヒートショックでは、このような血圧の乱高下により、脳血管や心臓などに大きな負荷をかけ、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす可能性があります。
お風呂の眠気の正体
入浴時の血圧の上昇や低下が生じたとき、上記の2.の血圧低下と眠気の正体には深いつながりがあります。
お風呂の暖かさで毛細血管が広がると、それまで脳に流れていた血液が足りなくなり、脳が酸欠状態になります。酸素が不足して朦朧としているのがお風呂の眠気の正体です。
お風呂で寝るとこんな危険性が!
ここでは、お風呂で寝る危険性についてご紹介します。
最悪の場合は溺死も?
お風呂の中で眠ってしまうと、通常の眠りよりも失神に近い状態になります。
そのまま湯船に沈んでしまうと、覚醒できず、最悪の場合は溺死してしまいます。
体温調節ができない!
お風呂で寝てしまうと、長風呂になりすぎることも……。
長風呂になると体温が上がりすぎていわゆる「のぼせ」た状態になります。
長時間風呂につかると体温が上がるため、発汗を促そうとしますが、浴槽の中では汗による体温調整が効きません。体温が上がりすぎる状態が続くと、めまいや頭痛、その他脳疾患などのリスクが高まります。
脱水症状を起こす
体温を下げようと発汗が促されるので、体の水分が急激に減少します。体内の水分が2%失われるとめまいや吐き気などの症状が顕著になり、20%失われると死に至ります。
また汗と一緒にナトリウムも排出されるため、急性の低ナトリウム血症となり、けいれんや最悪の場合死にいたります。
風呂で寝ないためにできること!5個【入浴時】
入浴のときに寝ないためにできることはあるのでしょうか?
ここでは、5つの方法をご紹介していきます。
水分補給をしっかりとする
脱水症状に陥ると脳の活動が低下します。夏場の脱水症状対策と同様に、水と塩分の補給を行いましょう。
脱衣所と浴室の気温差を作らいない
周りの気温の急激な変化はヒートショックの引き金になります。
ヒートショックが起こっても、脳が酸欠に陥りやすくなるので、脱衣所や浴室にも暖房を導入すると効果的です。
入浴時間に注意する
長時間の入浴はのぼせにつながります。10分~15分程度の適切な入浴時間を心がけましょう。
入浴温度を適切に調整する
お風呂の温度は41度が適切とされています。
高すぎるとのぼせやすく、低すぎても長風呂になりやすいので注意してくださいね。
お風呂な中で出来ることは?
意識を保つためにストレッチやマッサージを行ったり、音楽や動画の視聴をしたりするのも効果的。
楽しくて長風呂にならないようにしましょう。
お風呂で寝ないようにできること!5個【生活習慣】
お風呂で寝ないためにも、生活習慣を見直してみませんか?
生活にすぐに活かせる習慣を5つご紹介します。
睡眠不足をしない
睡眠不足はさまざまな場面で眠りに落ちやすくなります。
交感神経のバランスが取れずに血圧のコントロールが効きにくくなっていたり、そもそも眠りに落ちやすい状態にあったりするので、寝不足はしないようにしましょう。
食事の前に入浴する
食事の直後は消化器官に血流が集まり、脳の活動が低下しています。
これは、失神しやすい条件となるので、食事の前に入浴する方がいいでしょう。
質の良い睡眠を取る
睡眠時間を十分に取っていても、アルコールの飲み過ぎや過度のストレス、睡眠サイクルの狂いなどにより睡眠の質が下がっている場合があります。
自覚症状がないままで、実は体は睡眠不足・睡眠負債に陥っている場合もありますので睡眠の量だけでなく質も大切ですね。
疲れすぎているときには疲労回復を優先
肉体的に疲労がたまっているときも眠りに落ちやすくなっています。
疲労がたまりすぎていると感じる時には睡眠を優先してリスクを回避してください。
お風呂に入る事を家族に告げる
万が一眠ってしまっても異変に気付いてもらうため、可能であれば家族に告げてからお風呂に入ることをオススメします。
快適なバスタイムを!
入浴には血圧変化によるさまざまなリスクがあることがわかりました。
ですが、一日の最後に入るお風呂は心身ともにリフレッシュできるため、毎日の疲れを癒し、次の日を気持ちよくスタートするためにも欠かせないものといえます。さらに、入浴には入眠スイッチをオンにする、深部体温に関わる体温の上げ下げができるメリットもあります。
お風呂の入り方に少し気を使うだけで、入浴に伴うリスクを大幅に減らすこともできるので、適切な入浴方法で快適なバスタイムを過ごせるようにしてくださいね。