韓国は照射で詳細な説明を

社説
2018/12/26付
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日韓関係に憂うべき事態が重なった。石川県能登半島沖で自衛隊のP1哨戒機が韓国軍駆逐艦から火器管制レーダーを照射された、と日本政府が発表した。攻撃の前提とされる行為であり、極めて危険だ。韓国は防衛協力の相手のはずで、日本側に衝撃が走った。

照射は分単位で複数回あったという。24日の外務省局長会談で日本側が遺憾の意を伝え、再発防止を求めたのは当然だ。韓国側は遭難船を探す追跡レーダーのカメラを哨戒機に向けたとして、意図的な照射との見方を否定。双方の言い分は食い違ったままだ。

韓国軍では自衛隊が保有する哨戒機などの能力への評価が高く、文在寅政権も日本との防衛協力の必要性を認めている。それだけに今回の行為は解せない。仮に韓国側の説明の通りだったとしても、疑わしい行為で自衛隊に脅威を与えたのは間違いない。

相手への不信感を抱えたまま応酬を続けるだけでは将来に禍根を残す。両国間の活発な文化交流や観光などに波及させるのは望ましくない。それには照射問題の事実解明が先決だ。韓国政府には経緯について日本の国民が納得できる詳細な説明を求める。

日韓の火種は膨らむばかりだ。24日には、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に韓国人元徴用工への賠償を命じた判決を受け、原告側は外交交渉も考慮しながら、同社の韓国内資産を差し押さえる執行日時を決めると表明した。

元徴用工への補償をめぐり、歴代韓国政権は1965年の日韓請求権協定で国家間では解決済みとしてきた。判決によるビジネスへの悪影響を危惧しているのは韓国企業も同じだ。負の連鎖を断ち切るため韓国政府は一刻も早く対応策を示す必要がある。

北朝鮮の核・ミサイル問題をはじめ地域の安全保障に日米韓の連携は不可欠だ。レーダー照射問題の解決を信頼回復の足がかりとしたい。徴用工問題でも政府は毅然とした態度をとりつつ、緊張拡大を防ぐ道も探ってもらいたい。

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