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【スポーツ】

[フィギュア]宇野昌磨は3連覇 右足首ねんざ、強行出場

2018年12月25日 紙面から

男子フリーで演技する宇野昌磨

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◇全日本選手権

 ▽最終日(24日)▽大阪府門真市・東和薬品ラクタブドーム▽男子フリーほか▽世界選手権(来年3月・さいたま)などの代表選考会を兼ねる

 ショートプログラム(SP)で首位の宇野昌磨(21)=トヨタ自動車、中京大=がフリー187.04点の合計289.10点で3連覇を達成した。来年3月の世界選手権代表に決まった。22日のSP直前に右足首をねんざし、前日の公式練習も休んだが、強行出場し、2位以下に大差をつけた。

 “非常事態”の中で、宇野が気迫の演技を披露した。4回転を3本、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2本。ジャンプ構成を下げることはなかった。

 「最初は歩くことも難しかった。SPが終わって1日空かなかったらフリーに出ることはできませんでした」

 22日のSP前に、右足首をねんざ。それでも、宇野は試合を諦めなかった。棄権を考えていた樋口コーチから「どうして出たいのか」と問われた宇野は、こう言ったという。

 「僕の生き方です」。本人にその真意を尋ねると「プライドですかね」と答え、こう続けた。「僕は、無理してもどの試合も休みたくない。全日本は僕にとっても大きな試合で、歩けるなら試合には出たいという気持ちでした」

 ひょうひょうとしているが、大の負けず嫌いで努力家。幼少時にアクセルジャンプができなかった時、近所の公園に行って転んでも痛くない砂場で練習に打ち込んだ。だから今回も勝つ努力をやめようとはしなかった。

 けがの詳細について、SP当日の公式練習前に行ったウオーミングアップ中に右足首をひねったことを明かした宇野は「すごく痛くなったが、何とかSPができたことに自分でも驚きだった」と言う。翌日に大阪府内の病院で精密検査した結果、骨に異常はなく診断結果は強いねんざ。試合前には痛み止めを飲んでリンクに向かった。

 ジャンプを跳んで降りる時に使う最も重要な右足首を負傷しながらも「アクシデントの中で自分を信じることができた」と、SPもフリーも最後まで滑り切った。合計289・10点の自己ベスト(非公認)を出したことは価値ある結果で、今後につながる試合になったに違いない。

 来年2月の四大陸選手権(米国)と3月の世界選手権(さいたま)の代表にも決まった。「今回の全日本で自分を信じることが一番いい演技に近づけると分かった」と、シルバーコレクター返上を誓った。 (辛仁夏)

演技を終え、笑顔の宇野=東和薬品ラクタブドームで(いずれも木戸佑撮影)

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◆宇野☆一問一答

 -全日本を終えて

 「けがをしたことでSP、フリーで自分を信じる演技ができた。けがに感謝したい」

 -収穫は

 「アクシデントの中で自分を信じることができた。シーズンの後半に生かせたら」

 -現役復帰した高橋と一緒に滑って

 「今年は自分のけがのことで頭がいっぱいだった。また来年、一緒に滑っているところを堪能したい」

 -世界選手権に向けて

 「シルバーコレクターと皆さんに言っていただいて、満足できる演技、できない演技があったと思うが、1位を目指して頑張りたい」

 

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