［フィギュア］高橋大輔、復活２位　６年ぶり表彰台　32歳「まさか」

　▽最終日（２４日）▽大阪府門真市・東和薬品ラクタブドーム▽男子フリーほか▽世界選手権（来年３月・さいたま）などの代表選考会を兼ねる

　復活の表彰台だ。ショートプログラム（ＳＰ）で２位の高橋大輔（３２）＝関大ＫＦＳＣ＝はフリー１５１・１０点の合計２３９・６２点で堂々の２位に食い込んだ。２位だった２０１２年大会以来、６年ぶりの表彰台。それでも選出された世界選手権は辞退した。宇野昌磨（２１）＝トヨタ自動車、中京大＝は、フリー１８７・０４点の合計２８９・１０点で３連覇を達成。２２日のＳＰ直前に足を痛め、前日の公式練習も休んだが、貫禄のＶだった。　

　復活の手応えをつかみつつ、日本代表の座を後進に譲った。ＳＰ２位発進。高橋は満を持して臨んだフリーはジャンプのミスが続出したものの、２位を守り切り表彰台に上った。それでも来年３月の世界選手権（さいたま市）の代表を「これから日本を引っ張っていく選手が経験を積んでほしい」と辞退し、後輩の奮起を願った。

　冒頭に予定していた４回転トーループは、現役復帰後初めて挑んだ４回転ジャンプ。「緊張してこわばっていた」と体が思うように動かずに３回転にとどまった。その後も３連続ジャンプの３本目で転倒するなど精彩を欠いた演技。最後の決めポーズ後には苦笑いを浮かべ「もっとすっきりした演技をして、この場にいたかった」と悔しさものぞかせた。

　来年３月に世界選手権が開かれるさいたま市は、高橋にとって因縁の舞台だった。ソチ五輪後の２０１４年、同じさいたま市で開かれた世界選手権には代表入りが決まっていたものの、けがの影響で出場を断念。そのまま同年１０月に引退を表明し「本当だったら出られるはずの世界選手権。やっぱり出たかった」と振り返る。ただ、いくら後ろ髪を引かれる思いだろうと、世界の舞台でぶざまな姿は見せられない。「戦う自信を持てなかった。その覚悟を持てないのに出るべきでない」。勇気ある撤退－。１０年に世界選手権を制し、その戦いの厳しさを熟知してるからこその決断だ。

　ただ、日本中が沸きに沸いた「大ちゃんフィーバー」が決して色あせることはない。「まさかの２位です。うまくいかないことや大変なこともあったんですけど、貴重な体験をさせてもらった。いまは一段落ついてほっとしています」。来季以降の現役続行にも「辞めるつもりはない」と意欲を燃やす３２歳のレジェンド。今季カムバック賞を受賞した中日・松坂のように、来年もフィギュア界の「大輔」が日本中に元気を与える。（谷大平）

　「最低ですね」「練習でもここまでボロボロなことはない」「きょうは４０点ぐらい」。現役復帰戦の近畿選手権と続く西日本選手権で、自身の演技を振り返った言葉の数々。並んだ言葉の意味は全てネガティブでも、顔にはいつも「大ちゃんスマイル」が浮かんでました。大ちゃんフィーバーの取材に右往左往されながら、マダムと同じく記者もその笑顔に癒やされた１人です。

　現役復帰宣言後の８月。練習中のけがで２週間、リンクに立てなくなりました。それでも当の本人は、やっぱり笑顔。「やっちゃった。でも焦りはないです」。周囲の不安を、その明るさで吹っ飛ばしてくれました。

　全日本選手権では鬼気迫る表情の宇野に対し、高橋の対照的な柔らかい表情が印象的でした。「昌磨は世界の中で頂点を目指して戦っている。僕自身は勝たなくていい。勝っても負けても、僕はすっきり終わっているんだろうな」。ちなみに私は同じ「大ちゃん」でも、読み方は「たいちゃん」の偽物。初めての全日本選手権の取材に「大ちゃんスマイル」とはいきませんでした。　（谷大平）

　松坂大輔は２０１５年から３年間在籍したソフトバンクでは、右肩痛などの影響でわずか１試合の登板。中日に移籍した今季は、１１試合で６勝４敗、防御率３・７４の成績を残し、カムバック賞を受賞した。

　ゴルフ界では、２０１７年に腰の手術などで大半を欠場したタイガー・ウッズが、８月の全米プロで首位に２打差の単独２位。９月のツアー選手権では５年ぶりとなるＰＧＡツアー優勝を果たし、世界ランキングも１１９９位から１３位まで戻した。レスリングの伊調馨はリオ五輪後に競技から遠ざかったうえ、５月にはパワハラ問題の当事者に。それでも１０月の全日本女子オープンに優勝し、１２月の全日本選手権では３年ぶり１３度目の優勝。