
インドといえば、ミルクです。インドの食べ物の影にミルク有り。仏様が悟りを開かれる前に食されたのもミルク粥と言うのはみなさんもご存知でしょう。ちなみにその粥を差し出した村の女性の名前はスジャータ。そうです、日本人には耳になれたあの商品です。ミルクの代名詞的ネーミングを意識して使われたことは間違いないでしょう。 それほどまでに(どれほど?)インドとミルクは切っても切り離せない縁深いものなのです。
インドではミルクを加工して作られた製品や副産物など、総じて30余の名前があるといわれています。<参考:
インドにおいて生産されている主な乳製品>
これほどまでに生活と密接な関係を築いているミルクですが、インドの全生乳生産量の45%をギーの生産に当てているのは驚きです。ましてその量たるや日本の全生産乳量の約2.7倍に相当するというのも私たち日本人には想像のつかない量でしょう。
それほどまでに製造されるギーというのは、牛乳の純粋な油分だけ、不純物を丁寧に丁寧に除去し精製した腐らない油として知られています。
古くから食用はもちろん、様々な形体に加工され重宝されてきました。
その防酸化能力はムガル帝国時代の戦争時、負傷した兵士たちのためにギーの壷を用意したということからもうかがわれます。この熱いインドにおいて、傷をほおって置くことは命取り。その壷に浸かり傷を癒したという記録があるそうです。
また現在においても、ギーを使った薬剤も多く、インドの医療として知られるアーユルヴェーダの施術や処方としても多く場面でギーが活用され、大切にされています。
ギーは古の時代からインドの人々の体を癒してきたのでしょう。
そこで今回は本格インド料理にはかかせないアイテムのひとつギーを自宅で作ってみようと思います。
なかなか良質の牛乳が日本では手に入りにくいので、同じように作るのは難しいとは思いますが、実際インドではどんな風につくるのか知っていただければと思います。
また日本でギーを作る場合は、お店で普通に売られている無塩バターから精製する場合が多く紹介されます。検索ですぐに出ると思いますので、ぜひお試しください。
 | 今朝も我が家の牛乳屋さんがカランカランとミルクボトルをぶつける音を鳴らしてやてきました。 古くからその土地に住んでいる人たちは、こうした自転車で毎日新鮮な牛乳を必要な分だけ運んできてもらいます。 我が家の牛乳は500mlあたり10ルピ、日本円にして約27円です。(レート1ルピー約2.7円で換算) 毎日2リットル購入しています。 |
 | 本物の生乳を手に入れる
この牛乳は日本でいうホモジナイズド、加えて無殺菌、何せ絞ったまま運んでくるという貴重な生乳です。(もちろんかさましするため水で薄めるなどはするでしょうが。。。) したがって、ミルクには藁や誇りなどいろいろゴミも浮いています。我が家では茶漉しを通して鍋にもらいます。 鍋にもらうのが、まるで昔の豆腐屋さんですね。 |
 | 加熱し皮膜を集める
その牛乳を熱してしばらく置くと、日本で言う牛乳チーズ、表面に浮かぶ皮膜が出来ます。 しかしその厚さたるや、日本の牛乳のそれとは比較になりません。2リットルを熱して50g強できてると思います。 その皮膜を「マーライ」とインドでは呼んでいます。 レストランに入ったらマラーイ・コフタをオーダーしてみましょう! インドの家庭ではこのマラーイはそのままパンに塗って食べたり、お肌に塗ってスキンケアとして使われたり、その家庭でいつも冷蔵庫に保管されているいわば常備品でもあります。 |
 | ダヒを加え発酵マラーイを作る
それを数日ためて「ダヒ」と呼ばれるインドのヨーグルトをスプーン1匙ほど入れて、油脂分たっぷりのマラーイを発酵させるのです。 これがその発酵したマラーイを2週間分ためたものです。 |