初場所に進退を懸ける横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が24日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で綱打ちに臨み、背水の陣へ相棒と第一歩を踏み出した。
まずは真新しい綱を締めた姿を披露し、初場所への覚悟を示した。綱打ちは年3回の東京場所前にあるが、秋場所前は直前3場所を全休して見送ったため、8カ月ぶりの新調。当初は部屋の方針で報道陣シャットアウトだったが、横綱の計らいで本人が締める最終確認から取材OKとなった。
九州場所で痛めた右膝を気にするそぶりはなく、テーピングも見当たらなかった。横綱土俵入りの所作を繰り返し、締め心地を確かめて「良かったです」。見学者との記念撮影でも、リラックスした表情が目立った。
とはいえ、初場所初日まで20日を切って心配は尽きない。右膝の治療とリハビリを優先し、冬巡業は全休した。部屋では四股、すり足など基礎運動どまり。相撲を取る稽古は再開できていない。
九州場所後、横綱審議委員会が奮起を促す「激励」を初めて決議。委員からは初場所出場を強く求める声が目立つなど、正真正銘の崖っぷちだ。
25日の番付発表からいよいよ本番ムード。帰り際、気が引き締まるかと問われて「そんな感じ」と歯切れよく応じた。まずは、稽古ぶりから目が離せない。 (志村拓)