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Jabraは左右の基板構成が違う
今回分解した、Bragi社のTHE DASHとデンマークGN Audio社の「Jabra Elite Sport」は共にNFMI型を採用しているが、基板の設計は対照的といえるほど異なる。THE DASHの場合、スマートフォンとの通信担当は左右のイヤホンで固定されていない。基板構成は左右のイヤホンで共通部分が多く、共にBluetoothの通信ICを実装するなど冗長な構成になっている。左右のイヤホンの役割を決めず、使い勝手の良さを重視したといえる。
一方、Jabra Elite Sportは、左右のイヤホンで基板の構成が大きく異なる(図6)。Bluetooth ICは右イヤホンの基板だけに実装され、心拍センサーも右イヤホンだけ。冗長性を最小限に抑えて左右のイヤホン間をNFMIで通信することで、TWSイヤホンとしての機能を確保した格好である。
充電はワイヤレス給電になるか
(3)のTWSイヤホンの収納兼充電器とイヤホン間の電気的接触の安定的な確保は、必ずしも実現できていない製品が多い。簡単に思える一方、使い勝手の良さとのトレードオフがあるためだ。メーカーの対策の1つは、接触端子を増やすこと(図7)。THE DASHやIconXでは5端子まで増やした。
図7 ワイヤレス給電で充電する製品も登場か
TWSイヤホンの課題である、充電器による安定的な充電を実現する工夫やアイデアを示した。Samsung社は、IconXと充電器との接触端子を5端子にした(a)。他社の多くは2~3端子である。TRUU社は、電磁誘導によって置くだけで充電するTWSイヤホン「TRUU」を開発中(b)。薄いサーキュラー型コイルと、フェライト代替と見られるN52ネオジム磁石をイヤホンに実装する。TDKは2016年10月の展示会などで、磁界共鳴によるワイヤレス給電のコンセプトを示した(c)。イヤホンを容器に入れる向きを気にしなくて良いのが特徴である。広島市立大学の谷口氏は、LED光で充電する“充電器”を試作した(d)。谷口氏が「イヤラブル」と呼ぶイヤホン「halo」(赤枠内)には、充電器向け“端子”で、しかも2次電池の寿命を伸ばし、装飾にもなる太陽電池を多数実装した。充電器自体への給電は、机からの電磁誘導を用いる。(写真:(b)はTRUU社、(d)は谷口氏)
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近い将来は、スウェーデンTRUU社が開発中の製品のように、ワイヤレス給電で充電する製品も登場しそうだ。端子が不要で、防水性も確保しやすくなるメリットがある。
出典:2017年6月号 pp.39-44 日経エレクトロニクス
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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