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(東)たちばな栄養食品を 解散するんです。
(福子)萬平さんは 納得したんですか。
はい。 僕を信じて下さると。
分かりました。
そしたら 私も 東先生を信じます。
もう あのころには戻れない。
戻れない。
せやけど… せやけど大丈夫 源ちゃん。
絶対… 絶対 なんとかなるから。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
(克子)会社を解散するって…。
(忠彦)福ちゃんが そう言うたんですか。(タカ)ほんまに?
(鈴)家も なくなるって…。
(克子)家は うちに来たらいいわ。せやけど…。
何で そんなことに…。どの占い師も誰も そんなこと言わなかった。
萬平さんが 大器晩成っていうのもうそや!
(真一)譲渡先の候補?
自分が大阪に着く前に考えといて下さいって 東先生が。
ああ それはダネイホンを作れる会社いうことやな。
そう言われてもなあ。
やっぱり三田村さんに相談した方がいいですよね。
ああ 大阪商工会会長やった…。
今まで 何度もお世話になってきました。
うちの会社に投資して下さったり手榴弾騒ぎで みんなが捕まった時も進駐軍を説得して下
さって。
投資してくれたいうことは会社がなくなることを真っ先に伝えないといけない人やないか。
せや…。
お願いしに行くどころか謝りに行かないといけないよ 福ちゃん。
(ため息)
℡三田村興産でございます。
たちばな栄養食品の立花福子と申します。
あの 三田村社長をお願いできますでしょうか。
℡お待ち下さいませ。はい。
最初に すぐ謝るんやぞ。どれだけ嫌みを言われても我慢するんや。分かってます。
℡三田村です。あっ… え?
(勘介)立花福子さんですね。父がお世話になっておりました。
℡あっ 息子さん?
はい。 三田村勘介と申します。
父の亮蔵は社長を退きまして今は会長職に就いております。
会長さんに?会長?
ですから 今は もう会社には出てきておりません。
え…。
実は… 入院しておりまして。
入院!?
(萬平)新しいこと 新しいこと…。
新しいこと 新しいこと…。 新しいこと…。
(剛田)もうやめなさいよ。
新しいこと 新しいことって念仏みたいに。
ああ… あっ あっ あっ…。
(くしゃみ)
面白いくしゃみしますね。ほっとけ。
ここを出たら 何か新しいことを始めなきゃいけないんです。
僕が今まで築き上げたことが全部なくなってしまうんですからね。
ん?ん?
ん?な… 何ですか。
あれ あんた 近いうちに転機が来るぞ。えっ?
昨日までなかった相がね 顔に出てる。ここ この辺。
それは 会社がなくなるってことですか。
もっと個人的なことだな。個人的なこと。
ああ。 あれ!えっ。
あんた あれに似てる。 看板の。
えっ 何…。蝶ネクタイの ひょうきんなやつ。
ダネイホン?
それ それ それ それ。 似てる。
今頃それを言うって…。
剛田さん 本当に人相見なんですか。
ハハハ。 似てるわ。
似てる… あれ 僕ですよ。
またまた。またまたじゃないですよ。
(ドアが開く音と足音)
あっ 先生。すいません 道に迷ってしまって。
いえ。 わざわざ東京からありがとうございます。
ああ いえ。 あの ここに三田村さんという方が。
はい。 大阪商工会の会長をされてらしてとても人脈のある方です。
ああ…。 何のご病気で?
それは 息子さんからは聞けませんでした。
ああ…。
あっ ここですね。
・(笑い声)・(三田村)そら愉快やったな。
・(世良)おもろいでしょ。・(笑い声)
じゃあ 僕は ここで待ってます。
そしたら 後でお呼びします。はい。
(ノック)
・(三田村)ああ どうぞ。
失礼します。
(世良)おお~ 福ちゃん!
(三田村)こら参った。わざわざ来てくれんでもええのに。
息子さんから三田村さんのこと伺ってびっくりして…。
ああ いや こら すまん すまん。 フフフ。
あっ これを。ああ。
かえって気ぃ遣わせて申し訳ないね。
立花君 大丈夫なんか。元気にしてるんか。
体の方は。 そやけど…。
ああ… 世良君から話は聞いた。
東京の会社と ダネイホンの販売権売ってしもたそうやな。
新聞で事件のことは知ってたんやが大変やったね。
人生 山あり谷ありや。
そやけど 福ちゃんが しっかりしてればなんとかなる。
2人目の子どもも産まれるんやしな。
そやけど 実は東京財務局から追徴課税が…。
追徴課税?
10万円です。10万!?
それで ダネイホンの商標と製造方法を売って会社を畳むことにしました。
畳む…。何や それは。
三田村さんには3万円も投資して頂いたのに本当に申し訳ありませんでした。
いやいや それは もうダネイホンが売れた時に4万にして 返してくれたやないか。
4万!? 1万も儲けたんでっか 会長。
すんません。それで 厚かましい話なんですけど三田村さんにお願いが。
ああ 何や。
今日 弁護士の先生がいらっしゃってるんですけど。弁護士?
その先生から話を聞いて頂けないでしょうか。
ああ もちろん いいよ。
ありがとうございます。 そしたら。
先生。
東 太一先生です。
東京の会社を売却した時からお世話になっております。
弁護士の 東 太一です。
ああ 三田村です。
それで 私にお願いというのは。
追徴課税の話は もう。
ああ…。(せきばらい)
あれは どう考えても不当な課税です。
それで 立花さんと相談してたちばな栄養食品を…。
えっと その話も もう。
あ… ついては 売却先を三田村さんに紹介して頂きたいんです。
ああ そういうことですか。
ダネイホンの商標と製造方法を譲るわけですからまずは ダネイホンを作れる会社であるこ
とが条件です。
それから 譲渡額はそれなりの金額を頂きたい。
ダネイホンは 立花さんが独自に開発したものですから。
それは僕の方が よう知っとる。
京泉大学病院の推薦を得られるはずだったそうですね。
そうや。その話は今からでも まとめられるはずです。
そうすれば 類似品が出ても大丈夫。つまり…。
ダネイホンの商品価値は上がる。
はい。 高い値で売れるはずです。
なるほどね… 福ちゃん。
はい。世良君とちょっと席 外してくれへんかな。
この先生と2人でちょっと話がしてみたい。
分かりました。 行こう 福ちゃん。
失礼します。
♪~
東先生。はい。
ああ まあ どうぞ。あ… 失礼します。
会社というのはそれを作った者にとっては我が子も同然や。
分かってます。それを売るということは我が子を売るということとおんなじやぞ。
分かってます。
本当に立花君は納得してるんか。はい。
君が納得させたんか。そうです。
うん… どうやって。
僕の妹は ダネイホンで救われました。
まずは とにかく ダネイホンを残したい。
そして 立花さんには次の新しいことを考えてほしい。
立花さんには それができると僕は思いました。
でも… 国とケンカするんです。
どんなに不当なやり方をされても向こうは強い。
思い切ったことをやらなければやられてしまいます。
立花さんや 福子さんそして社員の皆さんを救うためにはこの方法しかないんです。
♪~
君は ええ弁護士になるな。
よさそうな会社が 3社ほどある。そこを紹介しよう。
あっ… ありがとうございます。
まあ これが私の 最後の仕事になるな。
えっ…。
がん…?
胃がんや。 余命3か月やて。
えっ?
僕かて 信じられんかった。
病気が見つかった時にはもう相当進んでたそうや。
せやけど 三田村さんは医者に何もせんでええ言うたらしい。
どんなに あがいても人は いつか死ぬもんやって…。
うう~…。
福ちゃん。(すすり泣き)
何で こんな つらいことばっかり…。
三田村さんは泣いてへんぞ。
それどころか 福ちゃんをきっと助けてくれるはずや。
僕かて できることは やったる。
福ちゃんにはぎょうさん 味方がおるんや。
泣いてる場合ちゃうぞ 福ちゃん。
(すすり泣き)
はい。