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(福子)今まで頑張ってきたからこそそれを無駄にしてはいけません。
これからの人生に 生かして下さい。
お願い。
(森本)はい。(野村)はい。(赤津)はい。
そしたら 今日をもってたちばな栄養食品は 解散します。
(東)たちばな栄養食品は 解散しました。
(増岡)解散?(加瀬沢)やりやがったな…!
会社を売ったということか。その金は どこにある。
それは… 黙秘します。
(電話が切れる音)
(ため息)
(加瀬沢)GHQは何て?
どうにかしろと言われた。
もう あの会社は ないんですよ。
しかし 今のままじゃ目標額に届かない。
(加瀬沢)GHQの押しつけですよあんなもの。
やつらに面と向かってそう言ってみろ。
(ため息)
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「頑固で面倒で 腹も立つけど」
♪「あなたの情熱は」
♪「あたしの誇りで自慢で覚悟なの」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
年が明け福ちゃん 源ちゃん そして鈴さんは泉大津の家を引き払って克子姉ちゃんの家に居候することになりました。
(ため息)(克子)また ため息。
(タカ)泉大津が恋しいのよねおばあちゃん。
(鈴)そやかて みんないい人たちやったもの…。
本当に いろいろとお世話になりました。
いや~ ここのラーメンはほんまに おいしかったです。
(まさの)さみしくなりますね。
(竹春)いつでも また食べに来てえな。
何やったらうちから出前 持ってっても構へんで。
大阪まで?列車で1時間かかるのに?
麺が のびきってしまうやないの。冗談やがな。
そんなん すぐ分かるやろうがな。全然 おもろないわ。
気持ちやがな 気持ち。
(ため息)
最初はあんなに嫌がってたくせに。
泉大津の塩屋の飯炊き女になるのは真っ平やって。
そんなこと言うてません。言いました。
また ここで暮らすようになるやなんて。
それは こっちのセリフです。
もう東京に着いたかな 福子おばちゃん。
臨月のおなか抱えて東京と大阪を行ったり来たり。
会社のこと 萬平さんに報告しないといかんのやから。
何だか 末っ子が一番しっかりしてきた。
(忠彦)お義母さんまたモデルになってもらえませんか。
モデル!? 喜んで。
文鳥を お義母さんの指に止まらせたいんです。
本当に 私でいいの? ウフフフフフ。
描いてもらえるのは手だけや。おばあちゃん 分かってへん。
(萬平)北浜食品 神部 岡 森本 佐久間赤津 長久保 大和田 高木 峰岸。
次は。
大國商会 野村 堺 倉永 堀。
次は。
梅下電器 小松原 増田。
ああ…。
じゃあ もう みんなこの新しい職場に…。
頑張ってます。
ありがとうございます 先生。いろいろと お世話になって。
僕は 立花さんの代理人です。何でも言いつけて下さい。
泉大津の家はもう 全部 整理したのか。
はい。 水島さんにもちゃんとご挨拶できました。
うん。水島さん?
私の女学校時代からの友人のご主人です。
私たちが苦しい時にお金を用立てて下さったこと一生 忘れません。
(賢作)そんなことはよろしいんです。
ほんまに残念や。
(ハナ)ダネイホン作った萬平さんはすごいっていつも2人で言うてたんよ福ちゃん。
ありがとう ハナちゃん。
わしらが力になれることがあったら何でも言うて下さい。
はい。
赤ちゃんが産まれたら池田にいる敏ちゃんとまた3人で会おな。
うん… うん…。
大丈夫。(すすり泣き)
そうか…。本当に いい人たちばかりなんですね。
あっ でも それはお二人の人徳ですよ。
人徳やなんて。
もう臨月か。
予定どおりやったら来週末には産まれてきます。
実は もう 名前を決めてあるんだ。
どんな名前ですか。
男の子だったら 太。
ふとし?
男の子は やっぱりたくましく 強くなきゃいけない。
そして お世話になった 東 太一先生から一文字もらいたいんです。
えっ…。あっ 太一の「太」。
いやいや あの… 僕の名前なんて…。
いや もし男の子だったらです。
私も太がいいです。ええっ いや…。お願いします。
あっ でも 光栄です。
もし 女の子やったら?
幸。
さち?
幸せの「幸」。
立花 幸…。
福子さんと合わせて 幸福ですね。はっ…。
はい。 2人一緒になって幸福になってもらいたい。
それが僕の願いだ。
ありがとう 萬平さん。
じゃあ 立花 幸でいいんだね。
大阪に帰ったら私がお母さんを説得します。
ああ 頼むよ。
いいなあ。えっ?
ああ いや 何でもありません。
福子さんが大阪へ帰る時は僕も一緒に。
まだ 三田村さんにちゃんとお礼を言えてないんです。
ああ 僕からも よろしくお伝え下さい。
いや 東先生が一緒なら安心だ。
こんな体の福子一人で長旅させるのは心配ですからね。
よろしくお願いします 先生。
あっ 任せて下さい。
じゃあな 福子。
元気な赤ちゃんを産むんだぞ。
いろいろ よろしくお願いします 東先生。
はい。
この子が産まれてくる時は萬平さんはいないんですね。
僕は… 僕は どうしたら 立花さんをここから出せるのか 毎日考えてます。
そもそも 社員に奨学金を渡しただけで4年の実刑なんて…。
ありがとうございます 先生。
(汽笛)
では こちらでお待ち下さい。
(三田村)よかった生きてるうちに福ちゃんに会えて。
そんなこと おっしゃらないで下さい。
私は もう長くはない。 これも天命や。
受け入れる覚悟はできています。
(世良)あきません。もっと いろいろ僕らに教えて下さい。
おお そしたら いろいろ教えてあげよう。
人生 いろんなことがあったけれども後で思たらどれもこれも 大したことなかった。
あと5年 いや1年 生かしてもろたらまあ 面倒な もめ事を全部解決してすっきりできるのになあと思うよ。
あいつに謝って あいつと仲直りをして…。
けど 死んでしもうたらそれも もう無理や。
会長にも そんな人がいらっしゃるんですか。
ああ おるよ。
なんとかできたと思うことはぎょうさんある。
(三田村)福ちゃん 座りなさい。
はい。世良君。はい。
東先生 すまんがちょっと席外してくれるか。
福ちゃんと2人で話ししたいことがあるんや。
はい。
あんまり長くはあきませんよ 会長。
分かってるよ。
福ちゃん。はい。
はあ… 今 僕が言うたことは愚痴やないよ。
生きてさえいれば希望はあるということや。
生きてさえいれば…。
そうや。
立花君は 4年間牢屋に入ったままなんか 東先生。
どうにかしたいと思ってます。
このまま 財務局が引き下がるとは思えんな。
それは大丈夫ですよ。なくなった会社から 金は取れません。
今の世の中何が起こるか分からんぞ 先生。
決まりなんて あってないようなもんや。
そうか 来週末か。
ああ そしたら その子は私の生まれ変わりかも分からんな。
えっ。えっ 冗談や。 ハハハ。
そんな迷惑そうな顔せんでよろしい。
迷惑やなんて…会長の生まれ変わりやったら立派な人に育ってくれますね。ハハハ。
福ちゃん。はい。
負けるなよ。
あの弁護士先生も きっとようやってくれてると思うけれども最後まで立花君を支えてあげられるのは福ちゃんだけや。
はい。
どんなことがあっても 笑てなさいよ。
生きてさえいれば 希望はある。
そうや。 ハハハ…。
♪~
三田村さんが息を引き取ったのはその3日後でした。