本来なら決して戦うことはなかったであろう、平地の超一流馬との大一番。それでも、決してひるむことはなかった。ハードル界の絶対王者オジュウチョウサンは9着。歴史的な挑戦は実らなかったが、それでも中山競馬場を訪れた約10万人のファンは、勝ち馬にも劣らない拍手でその奮闘をたたえた。
スタートは抜群。外からキセキが主導権を主張すると、控えて2、3番手のインで脚をためた。4コーナーを回ると、鞍上の右ステッキに応えて最後の力を振り絞り前を追う。しかし、急坂の途中で力尽きた。武豊は「やりたいレースはできた。馬場が悪い中で走りにくそうだったけど、一生懸命走ってくれた。このメンバーに入って見せ場はつくってくれたし、4コーナーの走りは乗っていて感動した」とパートナーの走りを振り返る。
平地デビューも2連敗。障害に活路を求めたものの、いきなりしんがり負け。そんな厳しい立場から、まるで運命に導かれるように障害レースのトップに上り詰めた。陣営が有馬記念参戦を表明し、平地条件戦を一気に2連勝。ファン投票3位に支持され、たどり着いた夢舞台だった。
「結果は残念だが、今日(23日)の走りでファンの応援に応えることはできたかな。彼が今年の有馬記念を盛り上げてくれた。ナイストライだった」。幾多の名勝負を演じてきた競馬界のレジェンドは「思い出に残る有馬記念だった」と満足そうだった。