幕末の安政5年(1858年)にアメリカをはじめ5ヶ国と結んだ通商条約によって、神奈川・長崎・函館・新潟・兵庫の開港と江戸・大阪の開市等が決められ、翌年には函館・横浜・長崎が開港した。兵庫は、慶応3年(1868年)開港が実施された。
開港に伴い設けられた外国人居留地は慶応4年(1869年)に竣工し、永代借地権の競売が開始された。神戸の居留地の基本的な設計を行ったのは、イギリス人土木技師ジョン・ウィリアム・ハートで、居留地内を126区画に分け、西側にパブリック・ガーデン、海岸沿いにプロムナード、東側にレクレーション・グラウンドが計画されている。
外国人の居住開始とともに欧米のさまざまなスポーツがもたらされた。そのための公園を開設することは幕府と約束されていたが、すぐには着手されなかった。外務省・兵庫県・居留地行事局で協議が続き、明治8年(1875年)「神戸外国人居留地内に公園地取設け議定書」を締結し、正式に公園として開設された。公園は無税地とし、開設維持費用負担及び管理は居留外国人が行うとされ、「内外人公園地」と称された。
明治32年(1899年)、条約改正に伴い、全国の居留地が一斉に返還された。神戸の居留地も市域に編入され、地内の遊園は公園として残され、県知事から神戸市長に引き継がれた。以後、公園は神戸市の管理となり、神戸市条例を制定し、名称も「加納町遊園地」となった。翌年には、日本人と外国人による維持管理のための「遊園地保護委員会」が設置され、昭和16年(1941年)まで続いた。
大正11年(1922年)、神戸市告示第54号により「東遊園地」と改称された。
昭和30年(1955年)、東遊園地の北側部分に神戸市役所を建設することが決定され、昭和32年(1957年)に完成した。本庁舎北側には日本で最初の花時計が設置された。
昭和38年(1963年)には加納町7丁目の南部が公園に編入され、大噴水が設置された。その後昭和48年(1973年)に公園の再整備が行われ、地下駐車場が設置された。
平成7年(1995年)1月17日、阪神・淡路大震災が発生、東遊園地は避難場所として使われた。同年12月、尊い犠牲者の慰霊と鎮魂、神戸の復興と再生を願って「神戸ルミナリエ」が旧居留地と東遊園地一帯で開催された。また、平成11年(1999年)には「阪神淡路大震災1.17のつどい」が開催され、竹灯籠で形作られた1.17の文字に再生ろうそくを浮かべ鎮魂の祈りが捧げられた。以後、毎年1月17日に開催されている。平成12年(2000年)には、「慰霊と復興のモニュメント」・「希望の灯り」が完成し、震災を記憶し、犠牲者を慰霊する場となっている。
1866(慶応2年) | 初めて公園の概念を持った言葉が現れるのは、「横浜居留地改造及競馬場墓地等約書」。この条約では「遊園」(public garden)を設け、外国人と日本人の共用とすること、租税は取り立てないことが規定されている。 |
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1867(慶応3年) | 外国人居留地が定められる「兵庫港並大阪に於て外国人居留地を定むる取極」 |
1868(明治元年) | 外国人居留地の土地の競売が開始。居留地条約「大阪兵庫居留地約定書」では公園に関する規定は何もないが、後の東遊園地が公園として利用されていた記録が残っている。 |
1869(明治2年) | 東遊園地の開設にあたって紛糾が生じ始める。 |
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1870(明治3年) | |
1871(明治4年) | |
1872(明治5年) | |
1873(明治6年) | 公園開設の太政官布告 |
1875(明治8年) | 各国公使と日本側の協議が成立、「神戸外国人居留地内に公園取設け議定書」を締結。 |
1876(明治9年) | 横浜/横浜公園の設置 |
1883(明治16年) | 居留地住民が、隣接する道路が広すぎるとして、公園に編入することを要望。協定の成立により、東遊園地が拡張された。(3.69haに) |
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1899(明治32年) | |
1900(明治33年) | 遊園地保護委員の設置(風致の維持、外国人と日本人の利用の共生を図る) |
1922(大正11年) | 「東遊園地」に改称 |
1927(昭和2年) | 毎週土曜日は外国人専用、日曜日は日本人専用、その他の日は出願順、などの調整が行われていた |
1942(昭和17年) | 太平洋戦争中、防空用軍用地として利用 |
1945(昭和20年) | 進駐軍による接収、1952(昭和27年)まで |
1957(昭和32年) | 神戸市役所完成 |
1995(平成7年) | 阪神淡路大震災以降、ルミナリエや1.17のつどいが開催されている |
2011(平成23年) | 国の登録記念物(名勝地関係)として登録 |
出典・引用:「東遊園地と居留外国人」編集発行 神戸市教育委員会