【スポーツ】[フィギュア]観客総立ち 5年ぶり全日本に帰ってきた高橋、男子SP2位2018年12月23日 紙面から
◇全日本選手権<第2日>▽22日▽大阪府門真市・東和薬品ラクタブドーム▽男子ショートプログラム(SP)、ペアSP▽世界選手権(来年3月・さいたま)などの代表選考会を兼ねる 今季現役復帰し、5年ぶりの全日本選手権に挑んだ2010年バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔(32)=関大KFSC=は88・52点の2位で上々のスタート。7月の現役復帰時に目標としていた全日本選手権のフリーでの最終グループの座を射止めた。平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(21)=トヨタ自動車、中京大=が102・06点で首位。直前にケガをしたとみられるが、3連覇に向けて好発進した。今月上旬のジュニア・グランプリ(GP)ファイナルで銅メダルの島田高志郎(17)=木下グループ=が80・46点で3位と健闘した。 ◇ 万雷の拍手に包まれたリンク。5年ぶりに全日本選手権の舞台に戻ってきた。演技を終えると、真剣な表情にふっと笑顔を浮かべだ。「これだけたくさんの人に応援していただいて、うれしいことなんだとかみしめました」。約5700人の観衆から大歓声を浴びる喜びに再び浸った。 冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は少し詰まりながらも着氷。続くフリップ-トーループの連続3回転ジャンプを降りると、最後の3回転ルッツを滑らかに決めた。 坂本龍一作曲の「ザ・シェルタリング・スカイ」のピアノの音に情感たっぷりに乗った。「冷静な部分と感情を出した部分がうまくできた」と自画自賛の演技。後半には世界一といわれたステップで会場を埋めた観客を魅了した。 もはやかつての自分を超えているのかもしれない。SPの得点は88・52点。5年前の全日本選手権の82・57点を6点近く超えてみせた。大舞台で今季の自己ベストをたたき出した32歳は、「ジャンプ抜きで言えば、今シーズンで1番いい演技ができました」と充実感をみなぎらせた。 約半年前の現役復帰会見で、全日本選手権のフリーでの最終グループ入りを目標に掲げた。SP6位以内なら達成するその目標をトップの宇野昌磨(トヨタ自動車、中京大)に次ぐ2位に入り、難なくやり遂げた。24日のフリーでは4回転トーループを入れることも示唆。「ギリギリまで考えて、チャレンジできる精神力があればやりたい」。今季まだ試合で披露していない秘策の披露に、あらためて前向きな姿勢を示した。 このまま2位に入れば3枠ある世界選手権代表も見えてくる。「自分の100%の演技をしないと表彰台は見えない。今シーズン、ここを目標に頑張ってきた。高橋大輔っていいな、と見てもらえたら自信にもつながる。レジェンドと言われるだけあるな、という感想をもらえたらうれしい」。自分の演技を追求した先に、遠ざかっていた世界の舞台も見えてくる。 (谷大平)
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