朝鮮日報

韓国警察が摘発した69件のフェイクニュース、55件は文政権批判

 最近警察が「フェイクニュース」として削除や遮断要請を行った掲示板などの書き込み69件のうち、55件が政府・与党を批判する内容だったことが分かった。

 保守系野党・自由韓国党の安相洙(アン・サンス)議員は16日、先月末に警察庁から提出を受けた資料を公表したが、それによると警察は今年9月から2カ月にわたり69件のフェイクニュースを摘発していた。警察はうち59件について放送通信審議委員会に削除や遮断を要請し、残り10件はサイトの管理人に削除を要請した。いずれも警察が正式に捜査するよりも短時間で終わる対応だ。

 警察がフェイクニュースと判断した69件のうち、55件は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と現政権、そして与党を批判するものだった。例えば「(文大統領は)利敵・従北事業に没頭している」「北朝鮮から国民年金200兆ウォン(約20兆円)を要求された」などのネットでの書き込みや「南北の国民年金が統合される」「文大統領認知症説と関連して公開の健康診断が必要だ」などの発言が出るユーチューブ映像もあった。「文大統領の支持率は北朝鮮によるサイバー攻撃により操作されたもの」との主張もフェイクニュースとされていた。

 警察は「社会に混乱を引き起こし、国民生活を侵害する虚偽の事実はフェイクニュースと判断し、対応に当たった」と説明した。しかし警察内部ではフェイクニュースに関する客観的な基準はない。警察庁の関係者は「階級が総警(日本の警視正に相当)の警察庁サイバー捜査課長が先月初めから検討を行い、放送通信審議委員会に削除などの要請を行っている」と説明した。各地方警察庁が把握しているフェイクニュースのうち、どれを遮断するかは警察庁幹部が直接判断しているということだ。

 一部では「警察の幹部たちは与党の顔色をうかがい過ぎている」などの指摘も出ている。警察庁のミン・ガプヨン庁長は今年10月の国政監査で「(前政権に対するフェイクニュースも)同じ法理に基づいて念頭に置きたい」と述べたが、これは最近の取り締まりが現政権を批判する保守系のユーチューブチャンネルやツイッター、掲示板の書き込みに偏っているからだ。委員会は警察が先日削除要請を行った「文大統領認知症説」などのフェイクニュース16件について「問題なし」として削除に応じなかった。委員会は「表現の自由を侵害する明確な危険性が認められない以上、虚偽の情報などに対する国家機関の審議は最低限にとどめるべきだ」とコメントした。

キム・スギョン記者
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