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奈良・唐招提寺に二重ふた蔵骨器 - 追葬を初確認、弟子の骨か
奈良市の唐招提寺などは21日、鎌倉時代に伽藍復興に尽力した高僧証玄(1220~92年)の蔵骨器は、ふたの中心部だけが独立して外れる二重構造を持った珍しいタイプだったと発表した。弟子とみられる、少なくとも2人分の骨が納められていることも判明、同じ蔵骨器で追葬が確認できたのは初めてという。
唐招提寺の宗派・律宗は師と弟子の結びつきが強く、調査した元興寺文化財研究所の担当者は「師弟の関係性の強さを示すもので、このふたは追葬を想定していた可能性が高い」としている。
元興寺文化財研究所によると、蔵骨器はつまみが付いたふたのある筒状の銅製で高さ約34センチ、直径17センチ。証玄の遺骨を納め、ふたの外周部分を銅のピンで留めていたが、つまみ周辺の直径約9センチ分だけが外れる構造だった。証玄は鎌倉時代に金堂や講堂の修復に尽力。蔵骨器は唐招提寺近くの西方院にある五輪塔の下に納められていた。
1969年の塔の解体修理で見つかっていたが、本格的な調査はされていなかった。
また、蔵骨器側面には銘板が付けられており、証玄が現在の奈良県大和郡山市の出身であることや、生年や没年を5行にわたって刻んでいた。
容器は来年2月8日~3月14日、奈良国立博物館で展示予定。
(共同通信)