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2018-12-21

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

吉本隆明さんが、無人島に持っていくなら
 どういう本を選びますかという問いに答えて、
 「古代からの日本の詩歌を集めたもの」
 というようなことを語っていたっけ。
 もともと「化学を学んだけれど詩人」であった方が、
 無人島で数々の詩歌を読み味わっているところは、
 他人事として想像できたので、なるほどなぁと思った。
 宗教書でもなく、物語でもなく、理論の書でもなく、
 詩と歌を持っていくという考えは、おそらく、
 何遍もじぶんに質問したことの答えだったのだろう。

 先日もここで書いたけれど、
 「ほぼ日の学校」での万葉集講座をきっかけに、
 短い詩のつくられ方詠まれ方に興味が湧いてきて、
 それに関係する本などを取り寄せたりしはじめている。
 むろん、そのまま積みっぱなしで終わる可能性もあるが、
 ちょっとどれどれという程度に文字を追うだけでも、
 なんだか頭のなかの錆がとれるような気がしてくるのだ。

 昨日は、『今はじめるための短歌入門』という本を、
 眠くてしょうがない風呂のなかで読みはじめた。
 短歌をはじめたくてという理由よりは、
 岡井隆という歌人の、短歌についての本を読みたかった。
 岡井隆さんは、医者という職業を持っていて、
 同時に歌人として知られている方だ。
 吉本隆明さんとは過去に論争相手だったのだけれど、
 ぼくは吉本さんの口から、敬意をこめての
 「岡井隆さん」という名を聞いていた。
 入門の導きになるようにというテーマのある本なので、
 ほんとうに親切丁寧に書き出しているのだが、
 文のなかに通り一遍のうそがひとつも見当たらない。
 三十一文字の短歌に向ける目を、
 じぶんの書く入門書の文章にもたしかに向けている。
 この目で世界を見ているのだなぁという驚きと尊敬、
 そして短歌に関わる人たちは、こういうものを
 読んだり学んだりしているのかと畏れ入ってしまった。
 たくさんの人間が、ずっと続いてきた時間のなかで、
 ほんとうにたくさんのことをしてきた。
 いいこと、すばらしいことがいっぱいあると知るよ。
 もう、わしも年じゃ、生まれ直さねばならんかもしれん。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
年末年始の名付けようない時間のトンネルに向かっている。


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