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【取材録 2018】数日立ち往生 いらだち 豪雪被害の国道8号

国道8号で長時間にわたって立ち往生したトラック=加賀市内で(2月7日撮影)

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 二月に北陸地方を襲った記録的な豪雪。福井県境に程近い加賀市や小松市の国道8号では、六日昼ごろから大渋滞が発生した。先に現地に入っていた記者に続いて七日朝から取材に加わった。この時点で石川、福井両県境では二・七キロ、そこから少し離れた加賀市黒瀬町-小松市津波倉町に九・三キロの車列ができていた。

 原因は六日、北陸自動車道の敦賀-砺波インターチェンジ(IC)間が大雪で通行止めになり、国道8号の車が急増したためだ。チェーン未装着の大型トラックなどが、積雪で動けなくなり、国道をふさいだ。

 七日朝、現場に近づけるからと、脇道を通って加賀市黒瀬町を目指した。道中は除雪がされておらず、わだちで道はでこぼこ。なんとか、いつもの約二倍の二時間超かかって現場に着いた。

 雪は相変わらず、降り続いていた。積雪でどこが道路なのか分からなかったが、大型トラックの列から国道8号だと分かった。運転席で毛布をかぶっていた運転手に話を聞いた。「小型車なら脇道に迂回(うかい)できるが、大型車は無理。(渋滞解消を)待つしかない」。大型トラックが数珠つなぎになっていた理由が分かった。周りに何もない場所で停車した別の運転手は「食べ物も飲み物もほとんど手に入らず、最悪」と嘆いた。

 夕方、再び現場を訪ねた。降りしきる雪の中、一向に改善する気配がない渋滞に、いらだつ人もいた。車載テレビのニュースやスマートフォンによるインターネットでも、満足いく情報が得られないためだ。

 北陸道福井-加賀IC間は上下線とも七日午前三時ごろには復旧した。立ち往生した車を少しずつ、北陸道へと流し、石川県内の渋滞は八日午前四時半ごろ、ようやく解消した。福井県側は長引き、解消には九日未明までかかった。しかも同県では雪で車内に閉じ込められ、一酸化炭素中毒による死者が三人も出た。

 「自然災害だからしようがない。でも行政は雪を甘く見ていた」。大型トラックのある運転手の言葉が忘れられない。

 この豪雪を踏まえ、両県境の北陸道、福井県側の国道8号は大雪時のタイヤチェーン装着義務対象とするほか、予防的通行規制をするなど国や県などが矢継ぎ早に対策を打ち出す。雪で車が立ち往生すれば、死につながる危険性が潜むだけに何時間も立ち往生する事態は避けたい。 (長屋文太)

 

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